グループホーム…認知症に興味や関心がある読者の皆様であれば、一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。
認知症がある方が入居して生活するタイプの介護サービスではあるものの、介護保険法上では特別養護老人ホームや老人保健施設のような“施設サービス”ではなく、“地域密着型サービス”という分類に位置づけられている介護サービスです。
普通の介護施設とは違う、この入居型サービス。
今回は、グループホームの特徴やチェックすべき項目について解説していきたいと思います。
グループホームの特徴
グループホームは、正式名称を「認知症対応型共同生活介護」と言います。まずはこの特徴を、3つのポイントから解説していきます。
とにかくアットホーム
グループホームは、要支援2以上の方を対象にした小規模の介護施設です。
9名を1つのグループとして、認知症の診断を受けた方々が家事や買い物などの役割分担をしながら共同生活をする施設になります。
認知症患者の特徴として、環境の変化に対応することが難しいということがあります。
利用者や職員も小規模であるために、同じメンバーで顔なじみの関係性が出来上がるため、こういったユニット型の生活環境が認知症ケアに適していると言われています。
こういったアットホームな生活環境が、認知症の利用者に安心感を与えて心穏やかな生活を送ることに繋がっています。
なお、居住の場であるハード面においても、中規模の民家や小さい旅館のような建物を改装して使用している場合が多く、よりアットホームな印象を与えています。
医療的に弱い
ここはマイナスポイントになりますが、人員配置の基準では看護師の配置が義務付けられていません。
そのために継続的な医療処置が必要になった場合や、寝たきりになって日常的な病状管理を求められる状況になると退去を求められるリスクもあります。
ただ、現在は看取り加算の創設等もあり、看護職員を配置する施設が増えてきています。
地域に根ざしている
グループホームは、介護サービスの中でも特に地域の実情に合ったサービス提供ができる地域密着型サービスに分類されています。
国としても、「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」として、認知症高齢者を地域で支えて自分らしく暮らし続けるための政策を進めているのです。
そのため、下記のような活動を通して地域の介護拠点としての役割も担っています。
- 認知症啓発、認知症サポーターの養成
- 認知症の人や在宅介護をしている家族を支えるための相談支援
- 認知症カフェやサロン等の運営
- 入居者の地域行事への参加
- 地域に開かれた行事の開催
- 認知症理解の醸成
- 地域に対し認知症ケアに関する技術や知識などのノウハウを還元
- 地域の認知症介護力の底上げ
グループホームを選ぶポイント
次に、グループホームを選ぶうえでの注意点をご紹介します。
費用面で適切か
グループホームの月額費用は、要介護度によって変わる介護サービス基本料金や家賃、居住費、食費等を合わせて月15~20万円程度です。
オムツや日常生活上で必要な衣類や身の回り品は実費となっています。
また、保証金や入居金などの名目で初期費用が発生する場合もあります。
居住費や食費は土地や建物に係るコスト、食事内容や介護体制によっても違いがありますので、それぞれの施設に問い合わせて個別に詳しく確認するのがよいでしょう。
職員体制は充実しているか
利用者3人に対し1人以上の介護職員を配置します。
夜間帯は利用者のにんずうに限らず常時1人以上配置する必要があります。
つまり、9人満床のグループホームの場合、日中に3人の介護職員が基本でそれを超える介護職員がいるとかなり手厚い人員体制と言えるでしょう。
それ以外にも、法律上義務付けられていない看護職員が配置されている施設は優良であると言えそうです。
なお、介護職員以外に配置義務があるのはケアマネジャー資格もしくは認知症介護実践者研修を修了した資格を要する計画作成担当者や、管理者が1名以上必要であると義務付けられています。
医療行為はどこまで対応してくれるか
グループホームには、看護師の配置が義務付けられていないため、一般的にはあまり十分であるとは言えません。
しかし近頃は看護師をしっかり配置したり、外部の訪問看護事業所と委託契約を結ぶなどして医療的ニーズに対応する施設も増えてきています。
しかし、その看護師の勤務時間や医療的行為にどこまで対応が可能なのかという点については、そこそこの事業所によって大きな違いがあります。
看取りにまで対応しているかどうかも、重要な確認事項です。
入居する前にしっかりと確認することをお勧めします。
グループホームを選ぶまでの流れ
最後に、グループホームを選定し、実際に入居するまでの流れをご紹介しましょう。
問い合わせ
自分の住む地域にどのようなグループホームがあるかは、役場の福祉担当課窓口に問い合わせると情報をもらえます。
または、インターネットで介護施設の検索サイト利用したり、厚生労働省の介護サービス情報公表システム
(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)を利用するとよいでしょう。
すでに在宅で介護サービスを利用している方は、この時点で担当のケアマネジャーに相談しましょう。
有益な情報を集めてくれたり、助言をくれる場合もあります。
資料請求
目星となる施設が見つかったら、資料を取り寄せましょう。
それを以て次のステップに進むと、なお施設の特徴をつかみやすいです。
見学
見学は必ず行いましょう。
利用者の家族だけでなく、利用者本人も見学できればなお望ましいです。
複数のグループホームを見学し、比較できるようにすることが大切です。
自宅の近くには1か所しかないとしても、同一自治体であれば入居要件を見たすので見学に応じてくれます。
そうすることで各施設ごとの特徴を掴みやすくなり、選定の一助となるでしょう。
体験
もし検討している施設があれば、体験利用をしてみるとよいでしょう。
空き室があれば大王してもらえる場合や、日中帯のみなら受け入れ可能な場合など施設によっても取扱いに差があります。
また、グループホームには認知症専門の小規模なデイサービスを併設している場合もあります。
そちらを利用しながら施設に慣れるという方法もあります。
その際も担当のケアマネジャーさんに相談してみてください。
契約・利用
具体的に施設が決まったら、料金や緊急時の体制や対応方針、入院した際の家賃等の取り扱いや居室をキープしておける期間の確認、退去要件などについて詳しく確認し、納得した場合に契約しましょう。
利用開始し実際に入居するとなれば、要介護者のリロケーションダメージを最小限に抑えるため、極力自室を自宅環境に整えるなどの工夫が必要になります。積極的に協力しましょう。
まとめ
まとめると、グループホームは要支援2以上で認知症の診断を受けており、施設が所在する自治体に住民票がある方が入居対象となります。
入居時点ではある程度の日常生活動作は自分で出来ることが必要とする施設もあります。
医療面では弱い所があり、体調が悪化すれば退去を求められる場合もありますので確認が必要です。
ただ、認知症に特化した施設であるため、様々な認知症の方でも安心して入居することができ、自分らしく尊厳を持った生活を送ることができるでしょう。
認知症状が進み在宅生活に困難さを感じてきた場合は、ぜひ積極的に検討してみてください。