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グループホームにおける医療連携体制加算とは?算定要件や基準もご紹介!

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グループホームの加算に、医療連携体制加算と呼ばれるものがあることをご存知でしょうか。

医療連携体制加算を算定している施設は、何らかの形で看護師が配置されており、特にグループホーム入所後に医療ケアを受けたい方は、事前に確認しておきたい加算の1つです。

今回は医療連携体制加算について、詳しく解説していきます。

グループホームにおける医療連携体制加算の概要

はじめにグループホームにおける、医療連携体制加算の概要から確認していきましょう。

グループホームは、原則的に認知症を患った高齢者が他入居者と共同生活を送り、認知症の進行を緩やかにすることを目的とした施設です。

グループホームには看護師の配置義務が存在しませんので、施設によって看護師の配置状況が異なります。

一方で認知症高齢者は環境の変化を受けやすく、グループホームにおいて継続した生活を送るためには、利用者の状態に応じた医療ニーズに対応できるよう、看護体制を整備しなければなりません。

そこで看護体制を整備している事業所を評価するために設けられた加算が、医療連携体制加算です。

平成30年(2018年)の介護保険法改正により、それまで1種類しかなかった医療連携体制加算が、医療連携体制加算Ⅰ~Ⅲの3種類に大別されました。

看護師の配置状況や提供された医療ケアによって、医療連携体制加算ⅠからⅢのいずれかが算定されます。

それぞれの医療連携体制加算について解説する前に、次の項目では医療連携体制加算を算定するために必要となる、施設基準について解説していきます。

グループホームにおける医療連携体制加算の施設基準

グループホームにおける医療連携体制加算を算定するために必要となる、施設基準は以下の通りです。

  • 医療連携体制加算の算定に必要な業務を行うための時間確保
  • 施設入所者が重度化した場合の対応に係る指針の整備
  • それでは各施設基準について、具体的な内容を確認していきましょう。

その① 医療連携体制加算の算定に必要な業務を行うための時間確保

医療連携体制加算の算定に必要な業務は多岐にわたります。

当該加算の算定に必要な代表的な業務は、利用者に対する日常的な健康管理や、通常時の協力医をはじめとした医療機関との連絡・調整です。

これら以外にも入所者の状態が悪化したときの医療機関への連絡や、看取り介護に関する方針の整備などがあります。

医療連携体制加算を算定するには、上記の業務を行うのに必要となる時間の確保をしなければなりません。

その② 施設入所者が重度化した場合の対応に係る指針の整備

「施設入所者が重度化した場合の対応に係る指針」を整備し、入所の際に入所者または家族に指針の内容を説明し、同意を得なければなりません。

「施設入所者が重度化した場合の対応に係る指針」ですが、複数の要項からなります。

1つ目はグループホームの入所者が重度化したら、どのような手順で協力医や医療機関と連絡調整を行うかです。

2つ目に施設の入所者が病院等の医療機関に入院した場合、入院期間中の居住費や食費はどのように取り扱うかを定めなければなりません。

3つ目が看取り介護に関する事項です。

具体的には施設の看取りに関する考え方や、入所者本人や家族への看取り介護を希望するかどうか、意思確認の方法等です。

医療連携体制加算の算定に必要な要件や単位

医療連携体制加算の算定に必要な要件や単位は、医療連携体制加算Ⅰ~Ⅲで異なります。

それぞれの医療連携体制加算は併用算定できず、いずれか1つのみ算定可能です。

また各医療連携体制加算を算定するには、入居者の状態が急変、あるいは重度化した場合の対応指針を別途定め、その内容を入居者および家族に説明し、同意が得られていなければなりません。

それでは医療連携体制加算Ⅰから算定に必要な要件や単位を解説していきます。

その① 医療連携体制加算Ⅰ(1日当たり:39単位)

医療連携体制加算Ⅰを算定するには、グループホームの従業員または医療機関、訪問看護ステーションに在籍する看護師と連携し、24時間の連絡体制を確保する必要があります。

医療連携体制加算Ⅰに限らず、医療連携体制加算における看護師とは、国家資格を取得した正看護師を指します。

准看護士は医療連携体制加算における看護師に該当しませんので、注意が必要です。

医療連携体制加算Ⅰを算定している施設の場合、1日当たり39単位の加算が発生します。

次に医療連携体制加算Ⅱについての解説です。

その② 医療連携体制加算Ⅱ(1日当たり:49単位)

医療連携体制加算Ⅱは事業所の職員として、看護職員を常勤換算で1名以上配置していることが算定要件です。

また事業所の職員として配置している看護職員が准看護師のみの場合には、病院もしくは訪問看護ステーションの看護師との連絡体制を確保すれば、医療連携体制加算Ⅱを算定することができます。

医療連携体制加算Ⅱは看護師の配置状況だけでなく、算定日が属する月の前12月間において、かく痰吸引や胃ろう等の経腸栄養といった医療的なケアを提供している実績も求められます。

医療連携体制加算Ⅱの単位は、1日当たり49単位です。

さいごに医療連携体制加算Ⅲについての解説になります。

その③ 医療連携体制加算Ⅲ(1日当たり:59単位)

医療連携体制加算Ⅲを算定するには、事業所の職員として看護師を常勤換算で1名以上配置しなければなりません。

さらに看護師または病院、診療所、訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間の連絡体制を確保することが算定要件になります。

なお医療連携体制加算Ⅱと同様に、算定日が属する月の前12月間において、かく痰吸引や胃ろう等の経腸栄養といった医療的なケアを提供している実績が必要です。

医療連携体制加算Ⅲを算定しているグループホームだと、当該加算の単位は1日当たり59単位となります。

まとめ

グループホームにおける医療連携体制加算の概要や施設基準、算定に必要な要件・単位を解説してきました。

医療連携体制加算について、理解が深められたのではないでしょうか。

グループホームにおける医療連携体制加算とは、をまとめると

  • 医療連携体制加算は、認知症高齢者がグループホームにおいて継続した生活を送れるよう、利用者が必要としている医療ケアに対応するために、看護体制を整備している事業所を評価する加算である。
  • 医療連携体制加算の算定には、当該加算を算定するのに必要な業務を行うための時間確保、入所者が重度化した場合における対応に係る指針の整備を行わなければならない。
  • 看護師の配置状況によって、医療連携体制加算はⅠからⅢに分類され、医療連携体制加算ⅠよりⅢの方が看護師の配置状況が手厚く、加算によって発生する単位も多くなる。

ということがあります。

入居者や家族が負担する利用料金が割り増しになりますが、医療連携体制加算を算定しているグループホームであれば、何らかの形で看護師が配置されており、医療ケアを受けることができます。

看護師の配置義務がないため、日常的な医療ケアを必要とする方はグループホームへ入所が難しい側面があります。

しかし医療連携体制加算を算定しているグループホームであれば、日常的な医療ケアが必要な方でも入所できる可能性があります。

日常的な医療ケアが必要となる方や、施設へ入所した後に医療処置を受けたい方は、医療連携体制加算を算定している施設への入所を検討するとよいでしょう。

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