グループホームは認知症高齢者の方が少人数で共同生活を行う施設であり、在宅のように生活を行う場ですが、在宅と同じように福祉用具の貸与はできるのでしょうか?
福祉用具を貸与する場合は、介護保険が適用され一部負担となるのか、自費になるのか、詳しく解説します。
介護保険制度におけるグループホームとは?
グループホームとは地域密着型サービスの一つで、認知症高齢者を対象に少人数で共同生活をする施設です。
認知症高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるようにすることがグループホームの目的です。
グループホームに入居するには、65歳以上、要支援2または要介護1以上の認知症患者である必要があります。
また、地域密着型サービスであることから、施設と同一地域内の住居と住民票があることが求められます。
介護保険制度における福祉用具貸与とは?
介護保険制度における「福祉用具貸与」は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、指定を受けた事業者が、利用者の心身の状況、希望及びその生活環境等をふまえ、適切な福祉用具を選ぶための援助・取り付け・調整などを行い、福祉用具を貸与します。
福祉用具を利用することで日常生活上の便宜を図り、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。
介護保険を利用して1割負担(一定以上所得者の場合は2〜3割)にて福祉用具をレンタルすることができます。
福祉用具貸与の対象種目
福祉用具貸与の対象種目となるのは、以下の表の13品目です。
要介護度によって異なり、軽度の要介護度の場合は保険給付の対象外の品目もあります。
例えば、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、車いす、車いす付属品、移動用リフト、認知症老人徘徊感知機器に関しては要介護度が要支援1〜2、要介護1の方は原則保険給付の対象となりません。
また、自動排泄処理装置に関しては要支援1〜2、要介護1〜3の人は原則保険給付の対象となりません。しかし、一定の条件に該当する方は、例外的に利用できる場合もあります。
福祉用具貸与の対象者
福祉用具貸与は介護保険制度の居宅サービスのため、対象者は要介護認定を受けている在宅で生活をしている方になります。
しかし、全ての種類の福祉用具を全ての要介護度の方がレンタルできるわけではありません。
その方の介護度に合わせたレンタルが対象となっているため、要介護度が軽度の方は保険給付対象外の品目があります。
【結論】グループホーム利用中に福祉用具貸与はできるのか?
これまで福祉用具貸与について詳しく説明してきましたが、グループホーム利用中に福祉用具貸与のサービスは利用できるのか、結論を述べます。
その① グループホームは施設利用になるので福祉用具貸与は利用できない
福祉用具貸与は、居宅サービスであり、自宅で自立した日常生活を送ることができるようにするためのサービスのため、原則的には在宅で利用することとなっています。
グループホームは「認知症対応型共同生活介護」と言われ、居室、居間、食堂、台所、浴槽その他利用者様が日常生活を営む上で必要な設備を設けるものとされており、地域密着型サービスではあるものの、入居系サービスと位置づけされています。
そのため福祉用具サービスは併給できず、介護保険による車いすなどの福祉用具貸与は出来ないことになっています。
まずは、グループホームへ福祉用具について相談をしてみると良いでしょう。
その② どうしても福祉用具をレンタルしたい場合の方法
グループホームでの生活中に車いすを必要とする状態になった場合、原則としてはホーム側で車いすを準備することになります。基本的に利用者側が負担するものではありません。
しかし、どうしても自分で福祉用具をレンタルしたいという場合は、介護保険は適用しませんが、全額自己負担とすることで、レンタルすることができます。
まとめ
この記事ではグループホームでの福祉用具貸与について詳しく解説しました。
以下にこの記事についてまとめます。
- グループホームとは地域密着型サービスの一つで、認知症高齢者を対象に少人数で共同生活をする施設であり、認知症高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるようにすることが目的です。
- 「福祉用具貸与」は介護保険制度の居宅サービスであり、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、日常生活上の便宜を図り、家族の介護の負担軽減などを目的としています。対象者は要介護認定を受けている在宅で生活をしている方であり、車いすなど13品目が福祉用具貸与の対象種目となります。
- グループホームは施設に分類され在宅ではないため、福祉用具貸与の利用はできません。どうしても利用したい場合は、介護保険が適用されず、全額自己負担となります。
グループホーム利用中でも車いすや歩行器などの福祉用具が必要なときもあります。そのような場合は、施設側で準備された福祉用具を使用することができます。
しかし、種類などにこだわりがある場合は、利用者負担でレンタルも可能です。
入所当時は歩くことができて車いすが必要なくても、年齢が進むにつれ、車いすが必要になることもあります。
グループホームへの入所を考えている場合は、車いすでの生活が送りやすいスペースが確保されバリアフリー化された施設や、また必要となる福祉用具が備わっているかなどが重要となります。
一度施設の環境などを確認してみると良いでしょう。