高齢化により、地域で生活する高齢者の方には、独居や認知症などの問題があります。
ショートステイを利用する方にも認知症の方は多くいます。
ショートステイにおける加算に、「認知症専門ケア加算」というものがあるのはご存知ですか?この記事では、認知症専門ケア加算について、詳しく解説します。
認知症専門ケア加算の概要
認知症専門ケア加算とは、介護保険施設やグループホームにおいて認知症介護で一定の経験を持つ者で、国や自治体が行っている認知症介護指導者研修の修了者である専門の者が介護サービスを行うことに対して評価をするものです。
対象事業者は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合していると認められ、都道府県に届け出て指定を受けている事業者となります。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム※地域密着型も含む)
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム※介護予防も含む)
- 特定施設入居者生活介護(指定を受けた有料老人ホームなど※地域密着型も含む)
- 介護老人保健施設
- 短期入所生活介護(※介護予防も含む)
- 短期入所療養介護(※介護予防も含む)
- 介護医療院
その① 認知症専門ケア加算の目的
認知症専門ケア加算の目的は、介護保険施設やグループホームにおいて、認知症の専門的なケアを実施するため、認知症介護の経験や知識を有する者が、質の高い介護サービスを提供することを目的としています。
その② 算定される一日の単位
認知症専門ケア加算の取得できる単位数は、認知症専門ケア加算Ⅰと認知症専門ケア加算Ⅱとで異なります。
認知症専門ケア加算Ⅰの場合は、3単位/日、認知症専門ケア加算Ⅱの場合は、4単位/日となります。
その③ 算定するまでの準備(届出)
認知症専門ケア加算を算定するには、「認知症ケア加算に関する届出書」を市区町村へ提出する必要があります。
ここで届出書の内容について紹介します。
入所者総数、対象者数、入所者に対する対象者数の割合
また、この届出書とは別に以下の添付書類が必要となります。
- 認知症専門ケア加算Ⅰ
- 認知症専門ケア加算Ⅱ
認知症介護実践リーダー研修を終了した者に係る修了証の写し
認知症介護指導者研修を終了した者に係る修了証の写し
認知症専門ケア加算の算定要件(条件)
認知症専門ケア加算の算定要件は、認知症専門ケア加算Ⅰと認知症専門ケア加算Ⅱとで異なります。
以下にそれぞれの算定要件について説明します。
その① 認知症専門ケア加算Ⅰ
認知症専門ケア加算Ⅰの算定要件は以下です。
- 利用者の総数のうち、日常生活自立度Ⅲ(日常生活の行動に支障をきたす症状や行動があるため介護を必要とする者)以上の者が5割以上を占めること
- 認知症介護に関する専門的な研修を終了した者(認知症介護実践リーダー研修修了者)を日常生活自立度Ⅲ以上の対象者が20名に満たない場合は1名以上、20人以上の場合は19人を超えて10人またはその端数を増すごとに1人以上配置すること
- 認知症ケアに関することを職員間で留意事項の伝達または技術的指導の会議を定期的に実施していること
その② 認知症専門ケア加算Ⅱ
認知症専門ケア加算Ⅱの算定要件は以下です。
- 認知症専門ケア加算Ⅰを満たし、認知症介護指導者修了者を修了した者を1人以上配置すること
- 介護職員、看護職員ごとに研修計画を作成し実施すること(認知症介護指導者の研修修了者を1名配置し、指導を実施)
まとめ
この記事では、ショートステイにおける認知症専門ケア加算について、詳しく解説しました。以下にこの記事の内容について、まとめます。
- 認知症専門ケア加算は、介護保険施設などにおいて、認知症の専門的なケアを実施するため、認知症介護の経験や知識を有する者が、質の高い介護サービスを提供することを目的として作られたものです。認知症専門ケア加算ⅠとⅡがあり、取得できる単位数は認知症専門ケア加算Ⅰは3単位/日、認知症専門ケア加算Ⅱは4単位/日です。
- 認知症専門ケア加算の算定要件は、ⅠとⅡで異なります。認知症専門ケア加算Ⅰでは、利用者の総数のうち、日常生活自立度Ⅲ以上の者が5割以上を占めること、認知症介護に関する専門的な研修を終了した者の一定以上の配置、認知症ケアに関する留意事項の伝達や技術的指導の会議を定期的に実施していること、があります。認知症専門ケア加算Ⅱでは、Ⅰの要件に加えて、認知症介護指導者修了者を修了した者の1人以上の配置、介護職員、看護職員ごとの研修計画の作成・実施があります。
国の施策として2025年に向けての地域包括ケアシステムの構築をする中で、今後、認知症の人が増加することを見越して、介護報酬が見直されています。
2018年の介護報酬見直しでは、認知症専門ケア加算は短期入所生活介護サービス事業所、短期入所療養介護サービス事業所など多くのサービスに創設されました。
今後、認知症に関する専門的な支援は施設において必要なケアとなっていきます。
ショートステイを選ぶ際には、このような加算を算定しているのかどうかも、施設を判断する基準の一つとしましょう。