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短期入所生活介護で定員超過が認められるやむを得ない理由とは?

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短期入所生活介護(ショートステイ)は、やむを得ない理由があるときに限り、事業所の定員を超過して利用者を受け入れることができます。

ショートステイ事業所が定員を超えて利用者を受け入れるには、法律により定められた要項を満たさなければなりません。

今回は短期入所生活介護で定員超過が認められる、やむを得ない理由について解説していきます。

短期入所生活介護の目的

短期入所生活介護(ショートステイ)の目的から確認していきましょう。

短期入所生活介護は、在宅で生活を送る要支援、要介護認定者を対象とした介護サービスです。

ショートステイの目的は利用者が可能な限り在宅において、自立した生活を営むことができるよう利用者の心身の機能維持、利用者の家族の身体的・精神的負担の軽減を図ることです。

短期入所生活介護の具体的なサービス内容は、身の回りの世話を必要とする方が数日から1週間ほどの短期間、施設に泊まり日常生活を送ります。

ショートステイでは食事、入浴そして排泄介助の他、レクリエーションや簡単な機能訓練が提供されます。

やむ得ない事由による措置とは

やむを得ない事由による措置とは、高齢者の生命や身体に関わる危険性が高く、適切な対応をしないでおくと重大な結果を招くことが予想された場合に限り、市区町村が老人福祉法に基づき実施する手続きのことです。

その① 対象となる理由

やむを得ない事由の対象となるのは、家族や親族、同居人などの養護者による高齢者虐待からの保護が必要であると認められる場合です。

高齢者虐待以外にも災害時、または介護サービスの利用や要支援、要介護認定の申請が期待し難い場合も、やむを得ない事由の対象となる可能性があります。

上記の理由により、家族や親族、同居人から高齢者を保護し、65歳以上の高齢者を介護サービスの利用につなげます。

本人の同意があれば、養護者が反対したとしても介護サービスの利用が可能です。

その② 定員超過の取り扱い

定員超過の取り扱いは、一時的かつ特例的なものであるため、速やかに定員超過利用を解消しなければならないと定められています。

原則的に短期入所生活介護事業所は定員を超過して利用者を受け入れると、施設が受け取る分の介護報酬が減算対象になります。

しかしやむを得ない事由がある場合に限り、介護報酬は減算対象になりません。

やむを得ない事由を満たすのであれば、利用定員が40人未満である場合は1人、利用定員が40人以上である場合は2人まで定員超過が認められます。

さらに特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)が併設されている短期入所生活介護事業所であれば、ショートステイ事業所に空床がなくとも特別養護老人ホームの空床を利用し、緊急時の受け入れをすることが可能です。

特別養護老人ホームの空床以外にも、静養室を利用することにより緊急時であれば利用者を受け入れられます。

いずれにしろ定員を超過して利用者を受け入るときには、やむを得ない事由を満たしているかどうか、県や市区町村の介護保険担当課に確認することをつよくおすすめします。

緊急短期入所受入加算について

緊急短期入所受入加算は、短期入所生活介護で算定される加算の1つです。

やむを得ない事由によりショートステイの利用となる場合には、この緊急短期入所受入加算の算定要件を満たす可能性があります。

その① 緊急短期入所受入加算の目的

緊急短期入所受入加算の目的は利用者やその家族の状況に合わせ、ケアプランにおいて利用の計画がない利用者を、緊急で受け入れた事業所を評価することです。

緊急で利用者を受け入れる場合、施設は居室の準備や他利用者の調整を短時間で行う必要があり、それらのことを行った事業所を評価するために算定される加算と言えます。

その② 緊急短期入所受入加算の要件(条件)

緊急短期入所受入加算を算定するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 要件1:居宅サービス計画に計画されていない緊急的な受け入れであること
  • 要件2:担当ケアマネージャーが緊急の必要性および利用を認めていること
  • 要件3:緊急の利用者に関する利用の理由や期間、受け入れ後の対応を、事業所が記録すること
  • 要件4:緊急の利用を希望している方の受け入れが困難な場合は、別の事業所を紹介するなどの適切な対応を取ること
  • 要件5:受け入れ後の適切な介護方策について、担当ケアマネージャーと密接な連携を行い、相談すること

これらの要件は、緊急短期入所受入加算を算定するには事業所、担当ケアマネージャー間の連携が必要不可欠であることを表しています。

緊急時の受け入れ態勢だけでなく、受け入れ後の適切な介護方針の相談や受け入れが困難である場合に行う別事業所への連絡体制など、算定に必要な要件は多岐にわたります。

短時間でこれらの要件をすべて整備するのは困難であることが予想されます。

緊急短期入所受入加算の要件を整備するのとあわせて、事業所と関りがあるケアマネージャーや短期入所生活介護の利用者・家族へ、緊急短期入所受入加算について周知し、当該加算を算定するようにしたいとことです。

その③ 緊急短期入所受入加算の単価

緊急短期入所受入加算の単価は次の通りです。

1日当たり:90単位(原則として7日以内)

緊急短期入所受入加算を算定するにあたり、留意しなければならないことがあります。

それは緊急短期入所受入加算を算定できる日数についてです。

緊急短期入所受入加算を算定できるのは、原則として受け入れた日から起算して7日以内となります。

しかしやむを得ない事情により、受け入れた日から起算して7日以内に適切な介護方策が立てられない場合、14日を限度として当該加算を算定できます。

緊急短期入所受入加算を算定する場合、14日を超えて利用者を受け入れると当該加算を算定できないだけでなく、定員超過による介護報酬の減算対象となることに注意が必要です。

また認知症行動・心理症状緊急対応加算を算定している場合には、緊急短期入所受入加算は算定できません。

まとめ

短期入所生活介護の目的や、短期入所生活介護のやむを得ない事由による定員超過、緊急短期入所受入加算について、解説してきました。

高齢者虐待が認められる場合などに限り、事業所の定員を超過して利用者を受け入れられることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

また事業所によって、やむを得ない事由による緊急でショートステイを利用する場合には、緊急短期入所受入加算が発生する可能性があります。

短期入所生活介護で定員超過が認められるやむを得ない理由とは、をまとめると

  • 短期入所生活介護は利用者が可能な限り在宅において、自立した生活を営むことができるよう利用者の心身の機能維持、利用者の家族の身体的・精神的負担の軽減を目的としている。
  • 高齢者虐待が認められる場合や災害時、介護サービスの利用や要支援、要介護認定の申請が期待できない等のやむを得ない理由により、本人の同意があれば介護サービスを利用できる。
  • 緊急短期入所受入加算を算定するには、居宅サービス計画に計画されていない緊急の受け入れであることや、緊急の利用の理由、期間、受け入れ後の対応を記録することなどの要件を満たす必要がある。

ということがあります。

やむを得ない理由による定員超過や緊急短期入所受入加算の算定は、満たさなければならない要件がありますので事前に確認しておき、緊急時の受け入れをスムーズに行いたいところです。

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