ショートステイ事業所が注意しなければならないことの1つに、利用者の忘れ物があります。
定期的にショートステイを利用している方であれば、忘れ物を見つけたとしても次回使用時に返却することが可能です。
しかしすべての利用者が、継続的に施設を利用してくれるとは限りません。
そこで重要になるのが、忘れ物のリスクを可能な限り下げることです。
今回はショートステイの忘れ物対策について解説していきます。
ショートステイの忘れ物対策をご紹介
ショートステイの忘れ物対策をご紹介していきます。
これから紹介する忘れ物対策はスタッフに限らず、持参物に関して同じルールで対応するということがポイントです。
その① 衣類への記名の徹底
1つ目が衣類への記名の徹底です。
ショートステイでは同日に複数の利用者を受け入れるため、苗字だけでなく、フルネームで記名するように利用者の家族へお願いしましょう。
時計や湯飲みなど直接名前を記載するのがためらわれる物や、紺・黒系統の衣類は、ネームペンでの記名ではなく、お名前シールやネームタグを活用します。
お名前シールやネームタグは100円ショップやホームセンターで購入可能です。
また継続的にショートステイを利用していると、記入した氏名が薄れてきてしまい、利用者の名前を判読するのが難しくなるケースがあります。
記載してある名前が薄れてきたら、家族へ名前の書き直しを依頼することをおすすめします。
その② 職員間の連携
2つ目が職員間の連携についてです。
多くの場合、ショートステイ事業所の職員はシフト制です。
そのため、入所時と退所時の対応を異なるスタッフが対応するケースがあります。
複数の人間が利用者の持参物を確認するため、職員間の連携は忘れ物対策では欠かせない要素です。
職員間で持ち物に関して情報共有をするとともに、持参物のチェックシートなどの書類を活用しましょう。
持参物のチェックシートは記載例を記した見本を用意しておき、記載方法を統一化しておくことが重要です。
衣類に下着は含まれるか、靴下は1枚単位もしくは1組単位どちらで数えるかなど、複数の数え方がある衣類や物品については、記載方法の統一化が必須になります。
もし職員のシフト調整を行えるのであれば、入退所時の対応を同一のスタッフで行うようにすれば、忘れ物を減らす助けになります。
その③ 脱衣時の衣類の取り扱い
3つ目が脱衣時の衣類の取り扱いについてです。
入浴介助や衣類の着脱介助をするときに、目の前の業務に追われ、衣類が紛失してしまうことがあります。
そこで脱いだ衣類を置く場所を、あらかじめ決めておくとよいでしょう。
衣類を決まった位置に置くようにすれば、棚などの設備の奥に衣類が落ちてしまうということが避けられ、紛失や忘れ物のリスクを下げられます。
その④ 貴重品持込の禁止
4つ目が貴重品持込の禁止です。
現金をはじめとした貴重品の持ち込みは、原則的に禁止することをおすすめします。
利用者や家族からの要請により、貴重品を持ち込まなければならないケースでは、施設の事務所に設置された金庫に保管・管理するとよいです。
貴重品を金庫に保管するときには、受取証などの書類を事前に用意しておき、対応した職員を明らかにしておけば、より適切に貴重品を保管できます。
ともあれ貴重品の持ち込みは可能な限り遠慮してもらうことを、利用者や家族へ理解してもらえるよう努めましょう。
その⑤ 持参物の写真撮影
5つ目は持参物の写真撮影です。
利用者の中には衣類や物品への記名をストレスに感じる方がいます。
そういった方にはデジカメなどで持参物の写真を撮り、対応するのも選択肢の1つです。
デジカメで持参物の写真を撮って記録しておくときには、正面からだけでなく異なるアングルで写真を撮りましょう。
湯飲みなどの破損の危険性があるものも、写真撮影が有効となっています。
利用者の家族から持参物の破損について問い合わせがあったときに、入所時に撮影した写真があれば、いつ持参物が破損したか特定する助けとなるためです。
要注意!紛失しやすいもの
次は要注意したい紛失しやすいものについて解説です。
これから紹介していく物品について注意するだけでも、忘れ物を減らすことにつながります。
その① 目薬や軟膏
紛失しやすく注意したい物品の1つ目は、目薬や軟膏です。
利用者が持参する目薬や軟膏に、記名してもらうことはもちろんのこと、目薬や軟膏の保管場所をスタッフ間で共有しておくことが必要です。
目薬や軟膏は医薬品であるため、施設によっては看護師が保管するケースがあります。
そういった場合は介護スタッフの間だけでなく、部署間の連絡調整を行なわなければなりません。
入退所の対応をするとき、どのようなタイミングで目薬や軟膏の管理を他部署へ移行するか、あらかじめ決めておけば部署間のトラブルを避けることができます。
また目薬や軟膏を使った処置を行う時間によっては、退所時の荷物を用意するときと同じタイミングで、目薬や軟膏を退所時の荷物へ入れられないことがあります。
目薬や軟膏などの医薬品はどのタイミングで退所時の荷物へ入れるかも、事前に決めておきましょう。
その② 靴下やタオル
2つ目は靴下やタオルです。
タオルは形が似通っており、また利用者によっては複数枚のタオルを持参することになるので、他利用者の物と混ざってしまい紛失しがちとなっています。
また靴下もタオルと同じように似たような形をしており、原則的に複数組用意する衣類です。
必ず見やすいところへ記名がされているかを確認するとともに、入所時に持参した同じ枚数の靴下やタオルが、退所時の荷物に含まれているかどうかをチェックしましょう。
その③ 義歯
さいごは義歯です。
義歯を忘れてしまう事例として、本人が義歯を装着していると思い込んでしまい、実際には洗面台の義歯入れに保管されていたということが挙げられます。
義歯を使用している利用者は入所時に義歯を装着しているか、着けていないのであれば荷物の中に義歯が保管されているかを確認しましょう。
また退所時には、居室内にある義歯の保管場所も確認するとよいです。
まとめ
ショートステイの忘れ物対策や、注意したい物品について解説してきました。
ショートステイで忘れ物を減らすには、様々な工夫が必要であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
ショートステイの忘れ物対策5選についてまとめると
- ショートステイの忘れ物対策は、衣類の記名を徹底や、持参物に関してスタッフ間・部署間で情報共有、貴重品の持ち込みを禁止するなどが挙げられる。
- ショートステイの持参物を管理する書類は、記載例を記した見本を用意し、記入方法を職員間で統一する。
- 目薬、軟膏などの医薬品やタオル・靴下、義歯などは、忘れやすい物品であるため要注意である。
ということがあります。
できる限り忘れ物をなくし、利用者に安心したショートステイを提供できるように業務を行いたいところです。
持参物への記名をはじめとした、介護スタッフだけでは対応できない忘れ物対策がありますので、相談員や介護スタッフから家族へ忘れ物を減らすための協力を要請する必要があります。
職員間の連携やチェックシート等の書類を整備し、忘れ物がないショートステイ事業所を目指しましょう。