ショートステイは数日から1週間程度、特別養護老人ホーム等の介護事業所に泊まり、日常生活に必要なサポートを受けられる介護サービスです。
冠婚葬祭などの急な外出や、家族や身の回りの方の介護負担を減らす目的で利用されることが多いです。
今回はショートステイの利用料金の目安について、解説してきます。
ショートステイの料金体系
ショートステイの料金体系は以下の通りとなっています。
それぞれの料金について確認していきましょう。
その① 基本料金(自己負担部分)
基本料金は、ショートステイを利用すれば必ず発生する費用です。
介護保険が適用になり、1割から3割負担での利用となります。
介護サービスを利用したときの負担割合は、介護保険被保険者証に記載されています。
その② 食事代と居室
食事代と居室代は、介護保険の対象外となる料金です。
食事代であれば食事を取った分だけ、居室代であればショートステイを利用した日数だけ請求されます。
例えば入所日は朝食を自宅で取るケースが多く、施設での食事は昼食からとなります。
このような事例では朝食の料金は請求されません。
食事代の内訳や居室代は施設によって異なるため、ショートステイ事業所との契約時や担当ケアマネージャーに確認しておくことをおすすめします。
その③ 各種加算
各種加算は、ショートステイ事業所が提供しているサービスや人員配置によって発生する追加料金のようなものです。
各種加算は介護保険の適用対象であり、利用料金の1割から3割を負担することになります。
食事代の内訳や居室代と同様に、事業所で算定している加算が異なります。
施設との契約時には算定している加算について、契約の担当者から説明がありますので、気になる方は加算について、質問するとよいでしょう。
1日あたりのショートステイの料金目安
1日あたりのショートステイの料金の目安は、介護度や施設の居室タイプ、設備の配置状況によって異なります。
今回紹介するのは併設型と呼ばれる、特別養護老人ホームなどの介護施設に併設された事業所の料金です。
利用予定の事業所がどのタイプに当てはまるかを確認しておくと、ショートステイを利用した時の料金がよりイメージしやすいでしょう。
なお同じ居室タイプの事業所であっても、施設がある市区町村によって、利用料金が異なります。
次から解説していく利用料金は、目安として参考になさっていただければ幸いです。
その① 併設型の従来型個室(1割負担)
併設型の従来型個室とは、居室タイプが一般的な個室である施設のことを指します。
併設型の従来型個室の利用料金は、次の通りです。
その② 併設型の多床室(1割負担)
併設型の多床室は居室のタイプが大部屋である事業所のことです。
従来型の多床室の料金は以下の通りとなっています。
その③ 併設型のユニット型個室的多床室(1割負担)
併設型のユニット型個室的多床室では、大部屋を間仕切りで区切り作ったスペースで生活を送ります。
また居室に併設されているキッチンやトイレ、リビングなどはユニットと呼ばれるグループで共有することになります。
以前はユニット型準個室と呼ばれていました。
併設型のユニット型個室的多床室の利用料金は、次の通りです。
負担限度額認定証による減額
負担限度額認定証が発行されると、居室代と食費の金銭的負担を減らせます。
負担限度額認定は所得や預貯金等が一定の要件を満たした場合、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設(老健)等を利用したときの居住費と食費を一定額、軽減できる制度です。
この負担限度額認定の対象にはショートステイも含まれています。
負担限度額認定証には利用者負担段階と呼ばれる、第1段階から第3段階までの区分わけが記載されています。
居住費と食費の負担額は第3段階が最も多く、一方で第1段階が最も少ないです。
利用者負担段階ごとの居住費・食費は以下の通りです。
負担限度額認定の申請はショートステイを利用される方が住んでいる、市区町村の介護保険を担当している課で行うことになります。
負担限度額認定の申請にはいくつかの書類が必要です。
もし負担限度額認定の申請を行うのにハードルが高いと感じたら、担当ケアマネージャーへ負担限度額認定について相談することをおすすめします。
生活保護受給の場合
生活保護受給の場合、原則的に利用者負担段階は第1段階です。
ショートステイを利用したときに発生する基本料金や加算等の、介護保険の対象になる料金は生活扶助で対応することになります。
一方でショートステイの利用に際し、居住費は発生しません。
なぜかというと生活保護を受給している方は、原則的に多床室のショートステイを利用することになります。
前の項目で紹介した利用者負担段階の表にある通り、第1段階の方が多床室を利用した際の費用は0であるため、居住費は発生しないということです。
先ほど生活保護を受給している方は、原則的に多床室のショートステイ事業所を利用することになると紹介しましたが、1点注意が必要なことがあります。
それは多床室のショートステイ事業所がすべて満床であるケースです。
このような場合、多床室以外のショートステイ事業所を利用する可能性が発生します。
多床室以外の施設でショートステイを利用すると居室代が発生し、生活保護受給者が費用を負担することになります。
さいごに食費についてですが利用した分、生活保護受給者が支払います。
市区町村によっては、生活保護を担当する課と介護保険を担当する課が同一でないケースがあります。
そのため、生活保護を受給している方がショートステイを利用するときには、担当ケアマネージャーと連携し、スムーズなショートステイの利用を目指しましょう。
料金に含まれるもの
料金に含まれるものが、ショートステイの費用にはあります。
これから紹介していく費用はショートステイの基本料金に含まれるため、原則的に追加で支払う必要はありません。
その① オムツやパット代
オムツ代やパッド代は、基本料金に含まれるものです。
ただし施設で取り扱っているオムツやパット以外の、特定の商品を利用したい場合には別途料金が発生する可能性があります。
特定のオムツやパッドを利用したいときには、事前に事業所へ確認し、追加で料金が発生するかどうかを問い合わせましょう。
その② 洗濯代
洗濯代は施設によって、基本料金に含まれる場合があります。
しかし洗濯代の取り扱いについては、施設ごとに大きく異なるのが現状です。
洗濯代は基本料金に含まれるかどうか、必ず事業所へ確認することをおすすめします。
まとめ
ショートステイの利用料金の目安について解説してきました。
料金体系や負担限度額認定証など、ショートステイの利用料金について理解が深められたのではないでしょうか。
ショートステイの利用料金の目安についてまとめると
- ショートステイの利用料金は介護保険の対象である基本料金と各種加算、対象外である居住費・食費にわけられる。
- 従来型個室や従来型多床室、ユニット型個室的多床室など居室のタイプや設備の配置状況、介護度によって、基本料金が異なる。
- 所得や預貯金等が一定の要件を満たした場合、負担限度額認定の対象になり、利用者負担段階によって居住費と食費が減額される。
ということがあります。
利用料金はショートステイを利用している限り、付いて回ることです。
ショートしステイを利用しはじめたが、月々の利用料金が思ったよりも高かったということがないよう、事前に毎月どの程度の料金が発生するかを確認しましょう。