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ショートステイで医療行為はどこまでOK?受入れが出来ないケースは?

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皆さんは、ショートステイのことについてご存知でしょうか。

施設に一時的に入所し、入浴・食事・排泄・機能訓練などのサービスを受けることができるサービスです。

普段は自宅で介護を受けている方が気分転換を図ったり、普段は介護している家族がリフレッシュ目的で介護から一時的に離れるレスパイトという目的だったり、介護者の急病や自宅の工事などの特別な事情により自宅介護が出来なくなった時に一時的に外泊する等の目的で利用されるサービスです。

専門の施設もしくは特別養護老人ホームなどに併設されているショートステイですが、全面的に専門的な介護を受けることができる一方で、医療面では弱点を抱えているサービスでもあります。

実際に利用中に帰宅を余儀なくされた例もあるでしょう。

そこで今回は、ショートステイと医療行為との関係性について解説していきたいと思います。

思わぬトラブルを回避するための一助となれば幸いです。

ショートステイでの受入れが難しい医療行為とは?


ショートステイの事業所は、単独型の場合と特別養護老人ホーム等に併設されている場合があります。

どちらも大きい施設の中で、まるで病院のような趣の建物で提供されている場合も少なくなくありません。

また、法定人員配置基準には医師や看護職員が位置づけられているため(嘱託医の場合が多い)、ある程度医療行為に対応してくれると考えている方もいるのではないでしょうか。

ここでは、具体的によくあるケースについて対応可能かどうか、説明していきます。

前もって申し上げますが、施設によって対応可能な行為は異なります。

ここでの解説はあくまで傾向となりますので、具体的に検討している方は当該施設に直接確認することを強くおススメします。

経管栄養

結論から申し上げると、△です。

経管栄養とは、胃瘻や鼻から出ている栄養チューブにカテーテルを接続して直接栄養を胃に流す医療行為です。

経管栄養を実施することができるのは、看護職員もしくは特定行為の研修を修了した介護職員となります。

また、特定行為の研修を修了した介護職員がいても、施設として介護員に特定行為を行わせる施設であることを都道府県に登録している施設でないと介護職員が行うことはできません。

更には、胃瘻からの経管栄養か鼻から出ている管から栄養を注入するかによっても研修の種類によって可否があるため、鼻からの経管栄養は対応できる介護職員がいないためダメ…というケースもあります。

そのため、実施できる施設とできない施設があるのです。

頻回に必要な吸引

ここも結論から申し上げると、×寄りの△です。

ここでいう吸引とは、口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内に溜まった痰を吸引器を用いて取り除く医療行為を言います。

実施できる職員の基準については、経管栄養と痰吸引がセットの研修になっているため基本的に経管栄養が出来る職員は痰吸引ができる場合が多いです。

しかし、経管栄養と大きく対応が異なる点があります。痰の溜まり方はその人の病状や体調によっても違いがあるため、定期的に行えばいいというものではありません。

経管栄養はいわゆる食事の代替方法であるため、その時間だけ対応可能な職員がいればOKです。

しかし、痰吸引は常時状態観察を行い、状況に応じて随時行う必要があるため、常に痰吸引に対応できる職員がいなければなりません。

実施可能な要件は同じですが、その性質上経管栄養よりハードルが高いのです。

在宅酸素

答えは、限りなく×に近い△です。

在宅酸素療法とは、COPDや肺がんなどによって肺の機能が低下したために酸素ボンベやコンセント式の酸素供給器機から酸素マスクや鼻腔に装着するカテーテルを用いて酸素を吸入しながら生活する治療方法です。

吸入する酸素濃度や器機は主治医の処方によって決定しますが、器機の操作やボンベの交換などは基本的に医療行為のため、介護員は操作することができません。

酸素ボンベを使った在宅酸素は、一時的に外出する時に使用し、屋内にいるときはコンセント式で空気中から酸素を高濃度化して送り出す機械を使用します。

そのため、在宅酸素療法を行っている方がショートステイを利用するためにはその酸素供給器機を施設内に持ち込むことができるかどうか確認する必要があるでしょう。

その方が歩いてトイレに移動したり、食事の際は酸素ボンベに切り替えるのか、それとも対応できる長さ(何十メートルも必要?)の吸入カテーテルを用意するのか?

多量の酸素ボンベを施設内に持ち込めるのか?という高いハードルがあります。

またそれに付随した細かな危険予測や他利用者への配慮も必要となりますので、どちらにせよ施設側の負担はかなり増えることになります。

更に言えば、ご存知の通り酸素ボンベは火気厳禁ですので、そこにあるだけでリスクを抱えるという見方もできるでしょう。

そういう意味でも特別な配慮が必要となります。

少なくとも、在宅酸素療法患者を受け入れる場合は急変の恐れがなく、在宅酸素療法の器機を自己管理できる方ということが最低限の条件となるでしょう。

点滴

答えは×です。

基本的にショートステイは体調が安定している方しか受け入れません。

素人目に見ても、点滴をしている人って“今具合が悪い方”ですよね。

実際にサービス利用中に体調を崩し点滴が必要な状態になると、利用を中断し帰宅していただく契約となっているケースが多いでしょう。

発熱や咳、下痢などの何らかの感染症を疑う症状が出れば、他利用者への感染拡大を防ぐためにもほぼ確実に帰宅していただくことになります。

例え医師や看護師が人員配置されているでしょ、と言ってもそれは別問題なのです。

ショートステイで医療行為が難しい理由


では、なぜショートステイでの医療行為が難しいのか?それについて説明していきます。

対応できる看護師が少ない(いない)

ショートステイの本来目的は、施設に短期間入所して生活上必要な介護や機能訓練を受けるところにあります。

そのため、あくまで看護師が行う医療行為は利用者の健康チェックやアドバイス、持参した飲み薬の投薬、突発的に医療行為が必要になったときの対応に限られます。

そのため、最低限度の数しか看護職員を配置していない施設が多いのです。

急に日常的な医療行為が必要な方が利用したいと相談が来ても、「看護職員が少ないから」という理由で断られるケースが少なくありません。

対応できるだけの人員がいない

じゃあ、経管栄養や痰吸引は研修終えた人なら出来るんでしょ、と思う方もいるでしょう。

ただ、前述の通り施設としてこれらの特定行為を実施するためには、施設としての条件をクリアして県に登録する必要があります。

勿論機材の準備や消毒設備等を揃えなければなりませんし、職員に特定行為の研修を受けさせるにも時間や費用が必要になります。

今までやっていなかった施設がその環境を整えるということは、経営上メリットがあると上層部が判断しなければできません。経営上メリットがあるということは、利用者からのニーズが多く、必要経費をペイできるほどの利用者が存在していることが具体的に明らかになっていなければなりません。

今や介護施設も倒産する時代です。そういった背に腹は変えられないという経営的側面も重要な視点なのです。

逆の視点で言えば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設に併設している場合はどうでしょうか?

元々の母体施設が特定行為を実施できる環境である場合があるため、そうなると設備や人員を共有できる併設型のショートステイとしても受け入れている場合があります。

安全面を配慮した施設の方針

そもそも、ショートステイ自体が体調安定している方でなければ受入れが困難であるという方針をうたっている所が少なくありません。

経管栄養が必要な方は通常の食事が取れないほど嚥下状態が良くない方です。唾液でむせて誤嚥性肺炎になる方もいます。

頻繁な痰吸引が必要な方、というのは自力で痰を出せないほど体力が落ちている方とも言えます。

吸引の途中に粘膜を刺激して出血したり、呼吸困難となってしまうリスクもあります。

在宅酸素療法や点滴が必要な方についても、身体機能は通常想定しているショートステイの利用者像と比較すると著しくリスクを抱えている状態と言えるでしょう。

そういったリスクを避けるため、そのようなリスクをさけ、事業の安全運転を図るために受け入れないという方針にしている所も多いのです。

まとめ


いかがでしたでしょうか。このように、ショートステイでは今回お示ししたような高度で日常的な医療行為を必要としている方について、利用をご遠慮いただいている…としている所が多いです。

受け入れている事業所でも、綿密な打ち合わせや急変時の対応などに迫られる場合が殆どで、レスパイトのため利用したとしても体調を崩しやすいかたであればいつ戻ってくるか分からない…という介護者が休まらない状況になることもあり得るでしょう。

ただ、同じショートステイでも、介護保険サービスには“短期入所療養介護(医療型ショートステイ)”というサービスがあります。

絶対数が少ないというデメリットがありますが、そこであれば今回のような医療行為を日常的に必要としている方でも受け入れてもらうことが出来るでしょう。

なんにせよ、医療行為が必要だからと言って利用を諦める必要はありません。

担当のケアマネジャーさんに相談すれば、ショートステイ以外で思いがけないサービスを提案されることもあるでしょう。

困ったときは独りで抱え込まずに、周囲に相談するという姿勢が非常に大切です。

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