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ショートステイ中の福祉用具貸与は可能?ロングショート中は?

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デイサービスやホームヘルパー等の居宅サービスで13年間勤務していた私にとって、ショートステイの勤務に関わるようになって最も衝撃だったことのひとつに、福祉用具貸与に関する取扱いがありました。

それは、ショートステイは居宅サービスの分類であるが、利用者が必要な福祉用具は当該施設が用意すべきという概念です。

法律上、利用者がショートステイを利用するために必要な福祉用具を調達する費用はショートステイの介護報酬に含まれているという考え方です。

そのため、福祉用具貸与を利用し車椅子をレンタルしている利用者がショートステイを利用する際でも、施設備品の車椅子を持参して迎えに行くという一見すると理解しがたい現象が起こっているのです。

「何でそんなメンドクサイことをするんだ?頭が堅い人たちだなあ…」そう思ったのは私だけではないハズ。

今回は、そんなショートステイと福祉用具貸与の関係性について、具体例を以て解説していきたいと思います。

そもそも福祉用具貸与とは

まずは、福祉用具貸与の法的位置づけについて確認しましょう。

福祉用具貸与とは、在宅の要介護者に対して厚生労働大臣が定める福祉用具
を貸与することをいいます。

福祉用具貸与の目的

福祉用具とは、「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障がある要介護者の日常生活上の便宜を図るための用具および要介護者の機能訓練のための用具で、日常生活の自立を助けるためのもの」と定義づけられています。

つまり福祉用具貸与の目的は、特定の用具を貸与することによってこのような効果を得ること、と言えます。

福祉用具貸与の対象となる人

福祉用具貸与の対象となるのは、要支援1~要介護5の方です。

但し、後述しますが要介護度によっては特別な事情がない限りレンタルができない品目があります。

これらの用具をレンタルして利用することによって、今まで出来なかった動作が自力で出来るようになったり、介護者の負担が軽減されたり、機能訓練の助けとなるような効果を得られる方が対象となります。

例えば脳梗塞の後遺症による左半身麻痺で歩けなくなってしまった方の移動の自立のために車椅子をレンタルする、自力で起居動作が出来ない方を身体介護を行う際の介護負担を軽減するために電動ベッドをレンタルする、などと言った具合です。

必要な部分に適切な福祉用具を選定し活用します。

福祉用具貸与の種類

レンタルが可能な福祉用具は、全部で下記13種類に分けられています。

  • 車椅子
  • 車椅子付属品
  • 特殊寝台(電動ベッド)
  • 特殊寝台付属品
  • 床ずれ防止用具(送風装置または空気圧調整装置付空気マット、水等による体圧分散の全身用マット)
  • 体位変換器
  • 手すり(取付工事を伴わないもの)
  • スロープ(取付工事を伴わないもの)
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ(松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖に限る)
  • 認知症老人徘徊感知器
  • 移動用リフト(つり具の部分を覗く)
  • 自動排泄処理装置

ただし、要支援1~要介護1までの方は、上記の7~10までの4品目しかレンタルすることはできません。

また、車椅子付属品や特殊寝台付属品については「車椅子や特殊寝台と一体的に使用されるもの」と決まりがありますので、付属品のみレンタルすることもできないという規定になっています。

車椅子の福祉用具貸与について


それでは、車椅子の福祉用具貸与を一例にしてショートステイの利用中の取扱いについて具体的に確認していきましょう。

ロングショートと併用してレンタルは可能か?

ショートステイの利用方法として、通称ロングショートやミドルショートと言われる使い方があります。

ショートステイは、30日以上連続して利用してはならないという決まりがありますが、それに近い日数を連続して利用することをロングショートと言います。

また、それに準じる日数の間利用することをミドルショートと言ったりします。

この場合の福祉用具の取扱いはどうなるのでしょうか?

保険者によって細かな違いはありますが、基本的に「ショートステイ利用中でも福祉用具貸与費の算定は認められているが、これは、ショートステイ利用中の短い期間で、一度返却し、退所後再度搬入することが、非常に不合理であるということから認められているものである」という認識で対応している保険者が多いです。

つまり、短期間のショート利用であれば福祉用具を返却する必要はないが、中長期間ショートステイに滞在するのであれば自宅の福祉用具はいらないので一旦返却してくださいね、ということになります。

そのため、記事冒頭の「自宅に車椅子があるのに施設の車椅子を持って迎えに行く」という一見矛盾する自体が発生するのです。

ただ、この中長期間の日数については“一か月間”を指す保険者や福祉用具貸与の算定が半月を最低単位としていることから“15日間”を指す保険者があるようですので、個別に確認が必要でしょう。

3泊4日のショート利用でレンタルは可能か?

3泊4日程度であれば、レンタルは問題なく可能です。日ごろ使っている車椅子をショートステイ先に持ち込んで使用することも可能です。

ただし、利用期間を問わず「ショートステイで利用するために福祉用具貸与を利用することはできない」という規定がありますので、普段福祉用具貸与を利用していないがショート利用中は福祉用具が必要だ、という場合は利用先の施設備品を使用することになります。

車椅子以外の歩行器等はショートステイとの併用は可能?


車椅子や車椅子付属品、歩行器や歩行補助杖等移動に関する福祉用具であれば、ショートステイ利用中も使用することができます。

施設で用意する用具は基本的な用具に留まることが多く、本人の状態に合わせた使い慣れた用具をレンタルで利用している方は持ち込んだ方が安心してショートステイで過ごすことができるでしょう。

それ以外の品目については、持ち運びが困難なこともありショートステイ先に持ち込むのは難しいでしょう。

利用契約やサービス担当者会議の際に、日常使用している福祉用具について情報提供を行い、施設で用意できるか確認しておくのが望ましいです。

また、短期間のショート利用であれば一旦返却することなく、そのまま自宅に置いておくこともできます。

まとめ


このように、ショートステイ利用中に福祉用具貸与を利用できるかどうかは、ショートステイの利用期間や保険者の考え方によって取扱いが分かれることになります。

基本的に一か月間連続してショートステイを利用する場合、レンタルしている福祉用具を一旦返却する必要がある点は覚えておくとよいでしょう。

また、基本的にショートステイ利用中に必要な福祉用具については介護報酬に含まれるという観点から、事業所側が用意することがベースになっているという点についても押さえておくと話がスムーズです。

居住先の保険者によっても取扱いや考え方に違いがありますので、それ以外については、利用開始前に開かれるサービス担当者会議において個別に確認しておくのが無難です。

なんにせよ、要介護者が必要とする福祉用具というものはその方の心身の状況や生活環境、住宅環境により様々です。

一概に「コレはよくてコレはだめ」というものはありません。疑問に思ったときは個別に相談するのが一番でしょう。

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