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他人事ではない介護保険の課題!被保険者数は?財源は大丈夫なのか!?

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介護が必要になったときに介護サービスを利用することができる介護保険制度ですが、高齢化が進むにつれて需要が高まり、どんどん介護費用が膨れ上がっています。

これから被保険者数はどうなるのか、財源は大丈夫なのか、今後の介護保険の課題について、解説します。

【復習】なぜ介護保険が必要になった?


介護保険制度はどのような経緯でつくられたかを復習しましょう。

1980年代、病院への社会的入院や寝たきり老人が社会問題化していましたが、当時の老人福祉法では十分に対応しきれていませんでした。

この法制度のもとでは、利用者が自由にサービスを選べず、画一的なサービスばかりが提供されていまいした。

また、介護を理由とした長期入院が全国的に増え始めて医療費が増加していました。

さらに、90年代に入り高齢化が急速に進み、要介護状態の高齢者の増加、介護期間の長期化などが問題となり、家族への介護負担が増えていました。

平均寿命の延びや高齢化の進展に伴い、「要介護高齢者の増加」「介護期間の長期化」「核家族化」「介護する家族の高齢化」といった、家族だけで担いきれないという問題があり、これらの問題を解決すべく、介護を社会全体で支える制度として、2000年に介護保険制度が施行されました。

介護保険は、多くの人々で互助する生命保険と仕組みは基本的には同じものです。

幸いにして万一の事態が起きなければ、かけてきた保険料は不幸な事態に陥ってしまった他の方のために使われます。

介護保険制度は、年金や医療と同じく国が運営する社会保険制度の一つで、65歳以上の方(特定疾患の場合は40歳以上の方)に介護が必要になったとき、訪問介護や通所介護などの介護サービスを自己負担1〜3割で受けることができるものです。

2 最大の課題は財源が不足していること


介護保険制度では、サービスを利用する要介護認定を受けた人が料金の1割(一定所得以上の方の場合は2〜3割)を負担し、残りは公費(税金)と40歳以上の人が支払う介護保険料で半分ずつ賄われています。

高齢化が進み、介護需要が拡大しており、今までの方法では財源が不足し、すべてに対応するには、財政面で厳しい状況となります。

その① 財源不足の背景に少子高齢化がある

日本は年々少子高齢化が進んでおり、15歳未満の人口の割合は全体の12.3%、65歳以上の人口の割合は27.7%(2017年現在)となっており、高齢者の割合が25%を超える超高齢化社会です。

今後ますます少子高齢化は進むと予想されています。

日本の社会保障制度は、現役世代が高齢者を支える形となっていますが、少子高齢化が進むと、社会を支える現役世代の人口が減り、高齢者の人口が増え、1人の高齢者を支えるための生産年齢人口(15〜64歳)が年々減っていくことが予想されます。

前述した通り、介護保険制度の財源はサービスを利用する要介護認定を受けた人が料金の1割(一定所得以上の方の場合は2〜3割)を負担し、残りは公費(税金)と40歳以上の人が支払う介護保険料で半分ずつ賄われています。

少子高齢化が進み、現役世代の人口が減ることで、介護保険制度の財源となっている税金の収入が減り、介護保険の財源が不足していきます。

その② 若年世代の負担が増える

財政面を改善するためには、今後ますます高齢者が増える中で、支出を抑えることは難しく、それよりも収入を増やす必要があります。

国は、財源の不足を補うために、介護保険制度開始時には1割だった負担割合を、一定以上の所得がある方に対して2〜3割へと見直しました。

また、65歳以上の方(第1号被保険者)の保険料は、3年ごとに見直しが行われていますが、見直される度に値上がりしており、2000年の介護保険制度開始当初より約2倍の保険料となっています。

第1号被保険者の保険料の値上がりにも限界があり、今後は40歳以上の第2号被保険者の支払う介護保険料の値上がりが予想されます。

それでも財源が不足する場合は、介護保険料の支払い開始年齢を40歳以下に下げる動きが予想され、若年世代への負担が増えます。
 

その③ 介護業務の従事する人達の低賃金

厚生労働省の統計によると、福祉施設の介護職員の月給は2014年の全国平均が常勤で21万9700円、訪問介護(ホームヘルパー)22万700円と、全産業平均の32万9600円よりも、約11万円低い結果となっています。

介護という仕事の性質上、事業所にかかる人件費は、施設介護では介護報酬の6〜7割、訪問介護では9割ほとが人件費になると言われています。

ただでさえ、介護職員の低賃金は問題となっていますが、度重なる介護保険制度の改正により、介護報酬は下がる一方であり、そのため介護職員への賃金を上げることも難しくなっています。

介護が必要な高齢者は増えているにも関わらず、介護職員は低賃金により人手不足となっている現状があります。

その④ 寝たきり状態となっている人が多い

2018年現在、日本人の平均寿命は、男性が80.21歳、女性が86.61歳で、過去最高を年々更新し続けています。

平成の30年間で、男女共5歳ほど、平均寿命が延びています。医療の進歩により、がんや心疾患、脳血管疾患などの死亡率が低下しています。

そもそも平均寿命とは、その年に誕生した子どもが何年生きるかを推計したものです。これには介護が必要な寝たきりの状態も含まれています。

一方で、健康寿命というものもあり、これは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことであり、高齢化が進む日本で重要視されている指標です。

平均寿命と健康寿命には差があり、2016年現在、男性の平均寿命が81.21歳であるのに対して、健康寿命は71.19歳と9年以上の開きがあります。

女性はさらに差が大きく、平均寿命は86.61歳であるのに対して、健康寿命は74.21歳で、12年以上の開きがあります。

これは言い換えれば、男性は9年間、女性は12年間の間、何らかの介護が必要な状態であると言うことです。

平均寿命が延びているということから、健康な高齢者が増えているという訳ではなく、医療の進歩により、寝たきり状態の人が増え、介護が必要な人も増えているということです。

被保険者とサービスを受ける利用者の動向


2000年に介護保険制度が創設されて以来18年間を経過し、被保険者やサービスが必要な人の数は増えています。

以下に被保険者とサービスが必要な人の動向と予想について説明します。

その① 被保険者の動向と予想

2000年の介護保険制度創設時は、65歳以上の被保険者数は2,165万人でしたが、2018年4月現在、3,492万人であり、この18年間で1.6倍に増えました。

今後も高齢化はますます進み、65歳以上の高齢者数は、2025年には3,677万人で全人口の30%となり、2055年には3,704万人で全人口38%になる予想です。

また、75歳以上高齢者の全人口に占める割合は増加していき、2055年には25%を超える見込みです。

高齢化に伴い、今後も65歳以上の被保険者数は増加していくと予想されます。

その② サービスが必要な人の動向と予想

2000年の介護保険制度創設時は、要介護認定者の数は218万人でしたが、2018年4月現在、644万人であり、この17年間で3倍に増えました。

このうち、要支援1〜2、要介護1の軽度の認定者数が3.9倍と、大幅に増えています。

初め5年ほどで一気に認定者数が増え、その後5年ほどは緩やかな増加でしたが、またここ5年ほどで増加のペースが再び拡大しています。

また、要介護認定者の中でも実際にサービスを利用している人の数は、2000年には在宅サービス利用者数97万人、施設サービス利用者数52万人、計149万人でしたが、2018年4月現在、在宅サービス利用者数366万人、施設サービス利用者数93万人、地域密着サービス利用者数84万人、計474万人へ増加しました。

65歳以上の被保険者数が18年間で1.6倍に増える中、サービス利用者数は3.2倍に増え、高齢者の介護になくてはならないものとして、定着・発展しています。

サービス利用者数の中でも、在宅サービス利用者数が3.8倍と、大幅に増加しており、在宅介護がこれらかの介護の形として定着しています。

高齢化に伴い、要介護認定者数は増加し、入院日数の短縮などにより、今後も在宅で介護を必要とする人の数が増加していくことが予想されます。

結局介護保険は大丈夫?政府の対策案は?

今後も介護保険料は上昇していくと予想されます。

高齢化により、65歳以上で介護や支援が必要な人が増加しているためです。3年前に比べて要支援・要介護者は41万人増加しています。

今後ますます高齢化が進むため、保険料も上昇していき、団塊の世代が75歳以上になる2025年度、保険料は約7200円まで上がると予想されいます。

それと同時に人手不足で介護職員は約34万人も不足すると言われています。

また、少子化のために人口は年々減ってきており、2060年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率は40%近い水準になると予想されています。

この介護保険料の対策として、被保険者の介護保険料の引き上げや一定所得以上の方の負担割合の増大などがなされてきました。

75歳以上の介護保険の自己負担を2割に引き上げたり、要介護度の軽い人向けのサービスを保険からはずすなどの審議が取りざたされていますが、それでも財源が足りなくなると、40歳よりも若いうちから介護保険料を支払わないといけなくなる日が来るかもしれません。

まとめ


この記事では、被保険者数や財源など、介護保険の課題について、詳しく解説しました。以下にこの記事についてまとめました。

  • 平均寿命の延びや高齢化の進展に伴い、「要介護高齢者の増加」「介護期間の長期化」「核家族化」「介護する家族の高齢化」といった、家族だけで担いきれないという問題を解決すべく、介護を社会全体で支える制度として、2000年に介護保険制度が施行されました。
  • 少子高齢化が進み介護需要が拡大する一方で、生産年齢人口が減り、今までの方法では財源が不足しています。財政面を改善するためには、介護保険料の支払い開始年齢を40歳以下に下げる動きが予想され、若年世代への負担が増えます。また、介護業務に従事する人の低賃金や、寝たきり状態の人が多いことも課題となっています。
  • 2000年の介護保険制度創設時より、65歳以上の被保険者数は1.6倍に、要介護認定者数は3倍に、サービス利用者数は3.2倍に増えています。軽度の認定者数大幅に増え、サービス利用者数の中でも、在宅サービス利用者数が大幅に増えています。

介護保険制度は2000年に創設され、これまでに何度も見直しがされ、改定をしてきました。

しかし、高齢化はどんどん進み、介護費用が膨らみ財源が不足しています。

介護保険制度は、支える人がいるからこそ成り立つ制度であって、現在の介護保険制度の問題点が改善されないまま、少子高齢化がさらに進めば、自分たちの子どもや孫の世代の負担となります。

これからも持続していける制度にするにはどうしたら良いかが、今後の課題となります。

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