介護保険のサービスを利用する際には要介護認定を受ける必要があります。
この介護保険の認定レベルは、その方の状態に合わせて段階が分かれています。
この記事では、介護保険認定のレベルについて、詳しく解説します。
介護保険には『要支援』と『要介護』の2段階に分かれる
介護保険制度とは介護が必要な方に、その費用を給付してくれる保険です。
サービスをその総額の一部を負担することで受けることができます。
要介護状態区分に応じて、1ヶ月の区分支給限度基準額が決定されており、この範囲内であれば一部負担(負担割合は所得によって1~3割)で、介護サービスを受けることができます。
介護保険を利用するには各市町村から要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定は要支援、要介護の大きく2段階に分かれます。
この認定を受けて、初めて介護サービスを受けられるようになります。
介護サービスには訪問介護や訪問看護などの自宅で受けるサービス、デイサービスなどの施設へ通って受けるサービス、老人ホームなどの施設へ入所するサービスなどがあります。
それぞれの介護度によって受けられるサービスにも違いがあります。
それぞれの要介護度の状態と、その受けられるサービスについてまとめます。
その① 『要支援』状態とは
「要支援」状態とは、「生活機能が低下し、その改善の可能性が高いと見込まれる」状態です。要介護状態にならないための、介護予防の段階でもあります。
要支援1、要支援2の2段階があります。
その② 『要介護』状態とは
「要介護」状態とは、「現在、介護サービスが必要である」という状態です。
要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5の5段階があり、数字が大きくなるほど、より介護度が重くなることを表しています。
介護保険の『要支援』のレベルは2つ
要支援は要支援1、要支援2の2つのレベルがあります。
要支援1〜2と認定された方は、「予防給付」というサービスが受けられます。
要支援の方は、支援によって自立して生活できると判定されてるため、それ以上身体機能が低下して要介護の状態にならないよう、介護予防を目的としたサービスが用意されています。
予防給付について、以下の表に種類別にまとめました。
次に要支援の状態について、説明します。
その① 要支援1
- 居室の掃除や身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
- 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
要支援1の方の区分支給限度基準額は50,030円で、この区分支給限度基準額のうち、所得に応じて1〜3割が自己負担となります。
その② 要支援2
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
- 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
要支援2の方の区分支給限度基準額は104,730円で、この区分支給限度基準額のうち、所得に応じて1~3割が自己負担となります。
介護保険の『要介護』のレベルは5つ
要介護は要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5の5つのレベルがあります。
要介護1〜5と認定された方は、「介護給付」というサービスが受けられます。
介護給付について、以下の表に種類別にまとめました。
次に要介護の状態について説明します。
その① 要介護1
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
- 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
- 混乱や理解低下がみられることがある。
要介護1の方の区分支給限度基準額は166,920円で、この区分支給限度基準額のうち、所得に応じて1〜3割が自己負担となります。
その② 要介護2
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とする。
- 排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある。
- 混乱や理解低下がみられることがある。
要介護2の方の区分支給限度基準額は196,160円で、この区分支給限度基準額のうち、所得に応じて1〜3割が自己負担となります。
その③ 要介護3
- 身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできない。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがある。
- 排泄が自分ひとりでできない。
- いくつかの不安行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護3の方の区分支給限度基準額は269,310円で、この区分支給限度基準額のうち、所得に応じて1~3割が自己負担となります。
その④ 要介護4
- 身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話がほとんどできない。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分ひとりではできない。
- 排泄がほとんどできない。
- 多くの不安行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護4の方の区分支給限度基準額は308,060円で、この区分支給限度基準額のうち、所得に応じて1〜3割が自己負担となります。
その⑤ 要介護5
- 身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話ができない。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作ができない。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作ができない。
- 排泄や食事ができない。
- 多くの不安行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護5の方の区分支給限度基準額は360,650円で、この区分支給限度基準額のうち、所得に応じて1~3割が自己負担となります。
まとめ
この記事では、介護保険認定のレベルについて詳しく解説しました。
以下にこの記事の内容についてまとめます。
- 介護保険を利用するには各市町村から要介護認定を受ける必要があり、要支援、要介護の大きく2段階に分かれ、要支援1〜2、要介護1〜5の7区分に分かれます。
- 「要支援」状態は「生活機能が低下し、その改善の可能性が高いと見込まれる」状態で、「要介護」状態とは、「現在、介護サービスが必要である」という状態です。
- 要支援の方は「予防給付」というサービスが受けられ、要介護の方は「介護給付」とうサービスが受けられます。在宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスがあり、それぞれの介護度によって受けられるサービスにも違いがあります。
介護保険認定のレベルは7つのレベルに分かれており、それぞれのレベルによって受けられるサービスや、区分支給限度基準額にも違いがあります。
これはレベルによって必要なサービスの内容や量に違いがあるためです。
介護保険認定を受けている方は、適切なサービスを受けるためにも、ご自分の状態と認定のレベルが合っているのか確認してみると良いでしょう。