介護認定の調査を受けて、「予想していた介護度と違った」、「実際はこんなに軽くない」と不満に思うことがあると思います。
こんな時、不服申し立てができるのはご存知でしょうか?
この記事では、介護保険の認定結果に不満があるときの、不服申し立てと区分変更申請について、詳しく解説します。
なぜ起こる実情と結果のズレ
介護保険を利用するには、認定調査を行い要介護認定を受けることが必要です。
介護保険被保険者証が手元に届くと、予想していた介護度と違うということはよくあることです。
このような実情と結果のズレはなぜ起こってしまうのでしょうか?
よくある原因として、体裁を気にして、認定調査の日に調査を受ける本人が頑張ってしまうということがあります。認定調査の前後は伝い歩きであったのに、その時は普通に歩けてしまう歩いてしまうなどです。
調査員は調査時の様子しかわからないため、「歩けている」と判断され、要介護認定が軽くなってしまうということがあります。
正しく調査をしてもらうためには、状況がわかっている人が立ち会い、普段の介護状況を整理して内容を把握しておくと良いです。
また、体裁を気にして張り切らず、ありのままの普段の姿を見てもらうことが大切です。
結果に不満がある場合の二つの対応
介護保険の申請を行うと、認定調査の結果約1ヶ月ほどで認定結果が自宅へ送付されます。
認定結果は要支援1〜2、要介護1〜5の7段階の区分です。
この要介護認定を受けることで、介護サービスを受けることができます。
認定の結果に不満がある場合の対応方法には、「不服申し立て」と「区分変更申請」の二つがあります。
この二つの違いについて説明します。
その① 不服申し立てをする
「不服申し立て」とは、一般的には行政処分や裁判などで不利益を受けた方が、再審、変更などを求める行為のことをいいます。
介護保険の分野では、要介護認定の結果に納得がいかない場合、都道府県の介護保険審査会に対して審査請求を行うことをいいます。
その② 区分変更申請をする
要介護認定区分は、要支援1〜2、要介護1〜5の全部で7段階に分けられており、それぞれに要介護者が利用できる利用上限額が設定されていて、その範囲内で自己負担額を1〜3割負担することで、様々な介護サービスを利用することができます。
「区分変更申請」とは、現在の要介護認定区分が現状に見合っていないと思われるときに、認定期間の途中で認定調査を行ってもらうものです。
不服申し立てについての詳細
以下に不服申し立ての詳細を説明します。
その① 不服申し立てができる人
要介護認定を受けた本人、およびその家族のみが審査請求を行うことができます。
または、委任状を作成することによって、代理人が審査請求することも可能となっています。
その② 不服申し立てをする場所
各都道府県の「介護保険審査会」宛てに審査請求書を提出します。
また、認定を出した区市町村へ提出することも可能となっています。
提出は窓口に直接持っていくか郵送でも行えます。
その③ 不服申し立てをするまでの期間
要介護度の認定が実際と違うと感じた場合には、認定が下りてから60日以内に、市区町村の介護保険担当課等に審査請求の申請をします。
その④ 不服申し立てをしてから結果がでるまで
不服申し立ては、同じ調査内容をもう一度再審査するものであり、新しい要介護認定の結果が出るまでに数ヵ月ほど時間がかかってしまいます。
区分変更申請についての詳細
以下に区分変更申請の詳細について、説明します。
その① 区分変更申請ができる人
区分変更申請ができる人は以下の場です。
①認定有効期間中に明らかに申請時より体調に悪化がみられ区分変更を行う必要性が生じた場合
②申請時は第二被保険者で申請して、認定をうけていた利用者が第一被保険者の年齢になり区分変更が必要になった場合
その② 区分変更申請をする場所
市区町村の窓口に「介護保険要介護・要支援区分変更申請書」があります。
自分で提出しても良いですが、区分変更についての手続き等は担当のケアマネージャーが後のケアプランの作成の事も考えて代理申請を行ってくれることが多いため、自分で申請を行うことはほとんどないです。
その③ 区分変更申請をするまでの期間
介護認定の有効期間は原則として12ヶ月ごとに更新となります。
区分変更申請をする場合、この有効期間に関わらず、いつでも要介護状態区分の変更を申請することができます。
その④ 区分変更申請してから結果がでるまで
区分変更申請してから、30日程度で新しい結果が出ます。
申請日にさかのぼって、新しい要介護認定が適用されます。
まとめ
この記事では介護保険の不服申し立て、区分変更申請について、詳しく解説しました。
以下にこの記事の内容について、まとめます。
- 介護保険の認定結果に不満がある場合は、「不服申し立て」と「区分変更申請」の二つの対応方法があります。
- 「不服申し立て」とは、介護保険の分野では、要介護認定の結果に納得がいかない場合、都道府県の介護保険審査会に対して審査請求を行うことをいいます。
- 「区分変更申請」とは、現在の要介護認定区分が現状に見合っていないと思われるときに、認定期間の途中で認定調査を行ってもらうものです。
- 不服申し立てをする場合は、認定が下りてから60日以内に審査請求の申請をする必要があります。区分変更申請をする場合は、有効期間に関わらずいつでも申請することができます。
- 不服申し立ては、同じ調査内容をもう一度再審査するものであり、新しい要介護認定の結果が出るまでに数ヵ月ほど時間がかかってしまいます。区分変更申請は、申請してから30日程度で新しい結果が出ます。
不服申し立てを行うことは可能ですが、時間もかかりますし、申請も面倒であるため、あまり使われていない方法です。
要介護認定に納得がいかない方は、区分変更申請の手段を取ることが多いです。
実際よりも軽い介護度が付いてしまうと、必要なサービスの量よりも実際に受けられるサービスの量が少なくなり、生活に支障がある場合もあります。
介護度に不満がある場合は、我慢せずに不服申し立てや区分変更申請を行うと良いです。
担当のケアマネージャーに相談してみると良いでしょう。