在宅で介護を行っていると、病院への移動が大きな課題となります。
車椅子の人を一人で抱えて車に乗せるのは大変ですし、通院に家族が立ち会えない時もあります。
そんな時に便利なのが介護タクシーです。
介護タクシーは介護保険が適用となるのか?この記事では、介護タクシーについて詳しく解説します。
介護保険による介護タクシーとは?
介護タクシーとは車椅子の方を始め、障害を持つ方や高齢の方のための移動サービスです。
この介護タクシーは移動の部分については、介護保険の対象とはなりません。
一方「通院等乗降介助」にかかる費用については、介護保険の対象となり、1~3割の自己負担でサービスを受けることができます。
介護タクシーの利用に係る費用としては、タクシー料金(全額負担)+通院等乗降介助(1~3割負担)となります。
介護保険を適用する場合には、対象者や利用目的などに条件があります。
その① 利用対象
介護保険による介護タクシーの利用対象者は、自宅、有料老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などで生活をしていて、一人でバスや電車などの公共交通機関に乗ることができない要介護1~5の人です。
要支援と認定された方は利用することができません。
その② どんな時に利用するのか
介護保険適用の場合「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」と定められており、下記のように利用目的が限定されています。
- 通院(受診、リハビリ等)
- 補装具・補聴器・メガネなど本人自身でなければならない調整や買い物
- 預金の引き下ろし
- 選挙投票、公共機関における日常生活に必要な申請や届け出
このように、日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出だけ介護保険が適用され、仕事や趣味嗜好などの目的に利用することはできません。
その② サービスの具体的な内容
介護タクシーの「通院等乗降介助」のサービスの具体的な内容は次の通りです。
1)出発の準備
- 介護タクシーが利用者宅まで迎車
- 着替えなどの外出準備介助
- タクシーまでの移動と乗車の介助
2)運転
- 目的地までの運転
3)現地到着
- 降車介助、目的の場所までの移動介助
- 通院時は受付及び受診科までの移動介助と病院スタッフへの声かけ(病院内介助は病院スタッフの役目とされる)
- 受診後の会計や薬の受け取りサポート
4)運転
- 利用者宅までの運転
5)帰宅後
- 降車介助、室内までの移動介助
- 必要に応じて着替えやおむつ交換など
介護保険による介護タクシーを利用する方法や条件
その① 担当のケアマネジャーに相談
介護タクシーは普通のタクシーと違い、完全予約制であるため、予約をする必要があり、原則として急に介護タクシーを利用することはできません。
また、ケアプランに則っての利用となるため、まずは担当のケアマネージャーへ相談する必要があります。
その② ケアプランへの立案
介護保険適用の場合の介護タクシーは原則ケアプランに則っての利用となるため、担当のケアマネージャーにケアプランを立案してもらいます。
通院等乗降介助のサービスの範囲はケアプランで決まるため、利用目的をケアマネジャーにしっかり伝えることが大切になります。
その③ タクシー業者との契約
介護タクシーが必要という判断が出たら、介護タクシー事業者との契約を結び、解除内容や同乗者、利用目的などを相談します。
利用する日時を調整し、当日利用となります。
介護保険による介護タクシーの利用料金
介護タクシーの料金は、タクシーの移送料金+介護報酬で決められます。
タクシーの移送料金は事業者によって異なりますが、介護報酬は国によって一定に定められており、以下の表の単位×単価をもとに決められます。
介護保険による介護タクシーを利用する際の注意点
介護保険による介護タクシーは利用対象者や利用目的が明確に定められており、それ以外では介護保険が適用されないという点に注意が必要です。
介護タクシーのおもな利用目的 (通院 ・公的機関での手続き ・通所施設見学 ・選挙の投票等)であっても、地域によっては介護保険の適用が許可されなかったり、同乗者に制限がかかったりすることもあります。
利用する前に確認をしておくと良いでしょう。
まとめ
この記事では、介護保険による介護タクシーの利用方法について詳しく解説しました。以下にこの記事について、まとめます。
- 介護タクシーとは車椅子の方を始め、障害を持つ方や高齢の方のための移動サービスです。移動の部分は介護保険の対象とはなりませんが、通院等乗降介助にかかる費用は介護保険の対象となります。
- 介護保険適用となる対象者は、在宅で生活していて、1人でバスや電車などの公共交通機関に乗ることができない要介護1~5の人です。保険適用の場合の利用目的は「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」と定められています。
- 介護保険での介護タクシーを利用する場合には、担当のケアマネジャーに相談、ケアプランを立案し、タクシー業者と契約をする必要があります。
- 介護保険による介護タクシーの利用料金はタクシーの移送料金+介護報酬で決められ、通院等介助において、時間や身体介助を共に伴う場合、伴わない場合で異なります。
在宅介護を行っていると、介護は全て家族で行わないとと思いがちですが、通院などが負担に感じる場合は、今回のような介護タクシーを利用することをお勧めします。
無理をすると事故などに繋がる可能性もあります。
プロの力を借りることで、利用者はより安全に通院等ができ、家族にとっては負担軽減となり、どちらにとってもプラスになると思います。