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介護保険における認定調査とは?入院中なら調査はどうなる?

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介護保険における認定調査とは?入院中なら調査はどうなる?
皆さまは、認定調査という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

認定調査とは、介護を必要とする方が介護保険サービスを利用するために必要な“要介護度”を認定してもらうための手続きの一つです。

認定調査員と呼ばれる方が、実際に申請者を訪問して心身の状態を確認し、要介護認定を決定するための大きな根拠となる重要な手続きになります。中には入院中に申請をする方もいるでしょう。

そんなとき、入院先まで調査に来てくれるのでしょうか?

今回は、そんな要介護認定における認定調査について、詳しく解説していきたいと思います。

介護保険の申請からサービスを受けるまで

介護保険の申請からサービスを受けるまで

介護保険サービスを利用するには、まずは要介護認定の申請をする必要があります。

申請は市町村役場に行います。最寄りの地域包括支援センターや、居宅介護支援事業所に依頼して代行申請してもらうことも可能です。

その後、今回テーマとなっている認定調査や主治医への受診(不要な場合あり)を経て、約1ヵ月ほどで要介護認定のレベルが決定。

要介護認定の決定については、認定調査の結果をもとにコンピュータを用いて一次判定が決定します。

この後、有識者で組織されている介護認定審査会において主治医が作成する“主治医意見書”と、この一次判定結果をもとに総合的に議論し、最終的な要介護度が決定されます。

決定した要介護度が記載された介護保険証は、申請した住所に郵送で届けられます。

その結果が非該当もしくは要支援の場合は、最寄りの地域包括支援センターが窓口となります。

要介護1~5の判定が出た場合は、任意の居宅介護支援事業所と利用契約を行い、サービス利用に向けた話し合いが始まることとなります。

その後、デイサービスやホームヘルパー等必要なサービスの提供事業者を選定し、サービス担当者会議を経てケアプランを作成。その後サービス事業者と利用契約を結んでいよいよサービス開始という流れになります。

この一連のプロセスの中で、要介護認定を決定するための最も重要なイベントの一つが今回テーマとなっている認定調査ということになるのです。

その① どんな人が調査に来るの?

新規申請の場合、認定調査には市町村役場から“認定調査員”と呼ばれている方が来ます。

各自治体によって細かい違いはありますが、介護支援専門員・保健師・看護師・理学療法士・作業療法士などの保健福祉関係の国家資格を持ち、認定調査に関する研修を受けた方々になっています。

ちなみに、新規申請時以外に区分変更という有効期間中に要介護度の見直しを求める手続きを行った際も自治体勤務の認定調査員が訪問しますが、通常の要介護認定有効期間満了による更新時の認定調査は、地域に点在する居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員が委託を受けて訪問します。

その② どんなことを調査するの?

主な調査内容は、下記の表をご参照ください。

【認定調査内容】

gg0541 表①

なお、それぞれの基本調査項目の詳細や定義については、インターネット上で公開されています。

少し専門的でボリュームのある内容ではありますが誰でも確認することが出来ますので、実際に認定調査に臨む前に目を通し、これに基づいて調査員に伝えたいことを整理しておくと効率よく進むでしょう。

参照:厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/index.html

その③ 時間はどれぐらいかかるの?

認定調査にかかる時間は、30~1時間程度です。

先日も私が担当する利用者様のご家族にそのことを説明したら「そんなに時間かかるの?」と驚かれましたが、実際はあっという間です。

特に〇分以内に終わらせないといけないという決まりはないのですが、あまり長いと要介護者本人に負担を与えてしまいます。

調査内容のうち、直接本人から確認する身体機能・起居動作や認知機能に関するテストをまとめて終わらせておくのが効率のいいやり方と言われています。

認定調査をする場所

認定調査をする場所

認定調査を実施する際、どこで行うのが一番いいのでしょうか?

次は、認定調査を実施する場所についてご紹介します。

その① 在宅介護なら自宅が基本

認定調査は、普段の生活の中で最も時間を過ごしている所…つまり自宅で行うことが基本とされています。

いつもどのような場所で、どのような環境の中で生活しているかを確認することが認定調査では大切で、知らない人から話しかけられて緊張したり、いつも以上に頑張って通常の能力以上のことを見せようとしたりしてしまうこともあるからです。

そのため、調査する際の条件を極力日常に近づける必要があります。

その② サービス事業所で行う場合もある!?

ショートステイをほぼ毎日利用していたり、日頃の様子を聞き取るために同席を求める家族との日程調整がつかなかったりするという理由で、実質的に自宅での調査が難しい場合があります。

その場合に、長期利用中のショートステイで調査を行ったことがありました。

しかしその場合は、個別の事情を詳しく自治体の担当者に説明し許可を得る必要があります。

よくアポイントを取るときに「デイサービスに通ってるからそっちに行ってくれ」とご家族様から言われることがあります。

しかし、デイサービスのサービス提供時のルールとして、本人の直接介護に関すること以外はサービス提供中にやってはいけないという決まりがあります。

つまり、デイサービス事業所で認定調査を行うということはサービス提供を中断させるということになってしまいます。

「家に他人を入れたくない」というようなことは理由になりません。

サービス提供事業所で認定調査を行うことは殆どないと言っていいでしょう。

自治体によっては、明確に「デイサービス等を利用中に認定調査を行うことは禁止です」と説明している所も多々あります。

日中に時間調整できなければ、調査員と家族の都合が許す限り夕方以降に調査を実施することもよくあります。

土日でも対応可能な調査員もいます。

そのように、あくまで自宅で実施するのが基本中の基本になっています。

その③ 調査予定日に入院中ならどうなる?

何らかの理由で入院しているところに認定調査のアポ取り連絡が来た…これはよくある話です。病院で認定調査を実施することもあります。

ただし、どんな場合でも入院先で認定調査を行うわけではありません。

例えば病院での治療が完了しておらず、病状が安定していない場合。

これはその時認定調査を行っても、そこから悪化して更に状態が悪くなってしまったり、逆に一番大変な時に調査をすることによって過度に重い要介護度になってしまったりすることがあるからです。

この場合は、病状が安定してある程度の治療が終わるのを待ってから行うケースが多いです。

その一方、病気の治療は終了しリハビリに移行している場合や、家族の負担軽減目的でレスパイト入院をしているといった状態が安定している方に対しては、よく入院先での認定調査が行われています。

まとめ

まとめ

認定調査とは、自治体の職員もしくは自治体から委託を受けた民間のケアマネジャーが行う調査です。

その内容は身体状態や日常生活上の動作ごとにどの部分に介護を必要としているのか、認知症の症状によってどのような部分にどのくらいの頻度で介護の手間が発生しているのか、特別に必要な医療行為があるか…などという内容について調査を実施します。

その具体的な内容については厚生労働省のホームページからいつでも確認することができます。

調査は特別な事情がある場合を除いて自宅で行い、その所要時間は30~1時間程度です。

この調査を行うのは認定調査員ですが、それには普段介護しているご家族や担当のケアマネジャー等が立ち会って、日頃の状況を詳しく具体的に調査員に説明することがポイントになります。

認定調査によって全てが決まるわけではありませんが、要介護認定を受ける上では非常に重要な位置づけとなっています。

調査の日程が決まったら、説明する内容について事前に整理しておくとよいでしょう。

より正確な認定結果や調査時間の短縮につながりますよ。

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