認定調査は、新規に要介護認定を申請したとき、現在の要介護認定の有効期限が近づいたとき、介護の必要性が極端に上がった(下がった)ときに行う区分変更申請を行ったときに必ず行われる調査です。
自治体が要介護認定を行う上での重要な根拠のひとつとなっていることから、学校の学期末テストのような独特な緊張感が漂うものとなっています。
私も月に10件ほど認定調査員として調査に関わっていますが、毎回未だに緊張しています。
そこで今回は、この認定調査に臨むうえでのポイントや心構えを詳しくご紹介していきます。
思いがけず要介護度が軽く(重く)出てしまった!と後悔することがないように、一緒に勉強していきましょう。
注意するポイント① 本人以外からの情報を正しく伝える!
認知症の症状がある方の場合、日頃の自分の様子を体裁よく見せようとして取り繕って説明したり、物忘れや誤った認識によって自分が身の回りのことをちゃんと出来ていると説明することはよくある話です。
そのため、必ず日頃からその方に関わっている家族等が同席し、本人以外から正しい情報を伝える必要があります。
担当しているケアマネジャーさんに同席をお願いするのも有効です。
ケアマネジャーさんであれば、認定調査のルールや調査項目毎の定義や判断基準について理解しているかたも多く、また実際に日頃の業務で認定調査も行っていますので、効率的に正確に認定調査員に情報を伝えることができるでしょう。
注意するポイント② 持っている情報は全て伝える!
認定調査の項目は、様々な視点から要介護者の介護の状態について確認する内容になっています。
家族としては一見介護に当てはまらないと考えているような日々のちょっとしたお世話でも、実は介護の手間として評価される内容もあります。
例えば、男性の方でトイレは自分でできるけども、安定して立位を保てない場合は排尿行為の途中で体が動くことによって便器の周囲を濡らすことがあります。
これを家族が拭いている場合は介護しているという判断になるのです。
また実際には介護が行われていないような状況でも、介護の事情に詳しい認定調査員が確認したときに、本来であれば介護が必要と判断されることもあります。
このような場合も介護の手間として結果に反映されることになりますので、日々の様子などについて詳しく調査員に伝えることが重要です。
注意するポイント③ 普段していない事は必ず伝える!
冒頭で、認定調査はとても緊張するものだということだとお話ししました。
実際に調査していると、認知症で普段は話も通じないのに正確に質問に対して答えたり、普段はフラフラして見守りが必要な歩行状態なのにシッカリした足取りで歩いて見せた…こういうのはよくある話です。
認定調査は、実際に質問事項に該当する動作を実際にやってもらうことによって、その行為が自立しているか、一部介助が必要か、全介助が必要かを判断し、それを“介護の手間”と呼ばれる時間に換算し加算していくことで評価します。
そのため、実際の調査時の様子だけでなく、普段の様子を具体的に調査員に伝えることが非常に重要です。
介護を必要とする状況に対して、日頃からどのような頻度で、どのような内容で介護を行っているかを介護者の立場から説明することによって調査員はその様子を想像し、評価するのです。
注意するポイント④ 訪問した調査員の名前を確認する!
これは忘れがちなポイントなのですが、訪問して調査してくれた認定調査員の名前を確認し、メモを取るなどして記憶にとどめておくことも重要です。
要介護認定の更新調査の場合は民間のケアマネジャーが調査員として訪問しますので、どこの事業所から来たのかも覚えておきましょう。
自治体によっては、調査員の所属や氏名が記載された用紙を持参するところもあるようです。
名刺をもらうのもよいでしょう。
これは、本人の目の前では話しづらいことだったり、伝え忘れたことがあったりしたときに連絡して補足の情報を伝えることができるようにするためです。
調査の対応で緊張するのは本人だけではありません。
同席する家族の方も同様です。
要介護認定の結果が出たときに、「あのときあれを言い忘れたからだ…」なんて後悔しても何にもなりませんからね。
注意するポイント⑤ 現地で伝えられなければ電話やメモでの連絡を!
最後のポイントですが、当日その場で伝えられないことは調査の前後に調査員に情報を伝えるということです。
調査のためには、まず家族の方に日程調整の連絡がきます。
このときに初めて認定調査員の方とお話をするわけですが、本人の前で言えないことをメモして渡す旨を伝えておくとスムーズです。
もしくは、調査後に追加で情報を伝えられるように連絡先を聞いておくなどしておきましょう。
このような話が調査対象者の家族からあれば、具体的な情報をもらう前でも、「今度認定調査で行く方は○○な課題がある人だ」とある程度状況を推察できることになりますので、非常に有効です。
調査員の視点からみても、普段関わりのない方のところに調査に行くわけですので、事前に状態を推し量ることができるので家族の大変さといった事情も伝わります。
まとめ
今回は、認定調査を受ける上での大切なポイントについてお伝えしました。
まずは本人を見てもらうことになりますが、それだけでなく普段介護している家族からの情報をありのまま全て伝えることが大切です。
また、調査の際は緊張やよく見せようというという気持ちが働きますので、普段できないことが出来たりします。
介護者がなにも言わないと、「できる」と判断されてしまって正しい認定を受けられない可能性がありますので、普段の状態をしっかり伝えましょう。
さらには、調査員の所属や氏名を確認しておくことによって、調査の場では伝えられない内容を電話で話したり、メモを渡して説明するということが可能になります。
これによって、より介護者の大変さを正確に評価することができるのできるのです。
必要なサービスを必要分利用することができるよう、認定調査の際は事前の準備も大切だということがいえますね。