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介護保険におけるショートステイで往診は可能?訪問診療との違いは?

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ショートステイとは、一時的に施設に入所して日常生活全般における介護を受けるサービスです。

本人が自宅から離れて気分転換を図ることが出来るだけでなく、普段自宅で介護する家族から見ても利用している間に休息を取ったり、普段できない家事を行ったり、精神的に休息のため旅行に出かけたり、冠婚葬祭に出かけたり…ひいては自宅の修理やリフォームの間利用したりと様々な活用方法がある人気のサービスです。

そんなショートステイ利用時に利用者の体調が悪化したときはどのように対応してくれるのでしょうか?

主治医の先生がよければ往診にも応じてくれるのでしょうか??

今回は、そんなショートステイ利用中の受診にかかる素朴な疑問について解説していきます。

まずは整理!『往診』と『訪問診療』の違い

ところで皆さん、医者がそれぞれの患者の自宅に行って診療行為を行うことを何というかご存知でしょうか?

パっと思い浮かぶのは、「往診」という言葉。

それ以外にも、「訪問診療」なんて言葉もありますよね。

それでは、この2つが実は目的も意味も違う内容の診療行為であるということをご存知でしょうか?

決して、「往診」=「訪問診療」ではないのです。

この2つの違いを紐解いていくと、実は今回のテーマの答えが見えてくるんです。

そこで、まずはこの2つの違いについて確認していきましょう。

その① 往診について

まずは往診。

往診とは、体調不良等の突発的な状態変化を原因として受診のために外出することができない状態の患者に対して、その要請に応じてその都度診療を行う行為のことを言います。

救急車を呼ぶほどではないが、自ら若しくは介助して受診に行くのも大変な状態…そのような状況の方が対象になります。

基本的には困ったときに依頼する臨時の対応になります。

往診では対応しきれず、結局救急搬送という形を取るケースも多いです。

その② 訪問診療について

それに対して訪問診療とは、毎月第1〇曜日の〇時頃にね…と、医師が事前に計画を立てて訪問し、診療する行為のことを言います。

定期的かつ計画的に訪問し、診療・治療・薬の処方・療養上の相談・指導等を行っていくものです。

また、患者やその家族から相談を受けた時点で既往歴や現在の病状を詳しく聞くとともに、関係医療機関等からも情報収集を図ります。

そのうえでどのように治療を受けたいか、家族の介護力や経済状況なども確認しながら治療計画立案・実行を進めていくものです。

そのため、緊急時の往診や救急搬送、入院への対応なども比較的スムーズに行うことができます。

24時間体制で在宅療養をサポートするのがコンセプトとも言える診療方法です。

ショートステイ利用中の往診は可能?

では、ここでもう一度。

ショートステイ利用中の往診は可能なのでしょうか?

答えは×。

事業所によっては状況に応じて△と言ったところでしょうか。

先ほどご説明しましたが、「往診」は、突発的に体調不良になった場合に患者若しくはその家族等の要請に応じて行う診療行為です。

病院に受診するイメージで言えば、夜間診療所や急患として飛び込むようなイメージなのです。

通常、ショートステイ利用中に体調悪化によってサービス利用継続が困難となった場合は、緊急連絡先に連絡した上で受診に連れて行ってもらうか救急搬送するかという対応になります。

体調が不安定な方のショートステイ利用は難しいケースが多いので、よほどの家庭事情がない限りはその受診後は自宅にお帰り頂くことを規定している事業所が多いです。

そのため、ショートステイ利用中に“救急搬送するほどではないが体調が悪くなった方”が出た場合は主治医から往診してもらうのではなく、家族に連絡して対応してもらうことになりますので、答えが×となるのです。

3 ショートステイ利用中の訪問診療は可能?

それに対して、ショートステイ利用中の訪問診療は?

答えは〇です。

訪問診療は、計画的に本人の居所に訪問して診療行為を行うサービス。

病状が安定している方は、通常定期的に通院して薬を貰ったり検査したりしますよね。

つまり、往診が急患に飛び込むイメージなのに対して訪問診療はあくまで“定期通院”の色が強い診療行為なのです。

そのため、たまたまショートステイ利用日と訪問診療の予定日が重なれば、その時の居所であるショートステイ先に訪問診療に来てくれるのです。

あくまで定期通院なので、ショートステイの施設としては断りません。

ここで一点注意を。

ショートステイは漢字で表すと短期“入所”。

一時的にそこが生活の場となるイメージです。

そのため、介護サービス利用中でもこのような診療行為を受けることが認められています。ショートステイ利用先から定期通院に外出する方もいます。

その一方で、デイサービスや通所リハビリは、介護サービスやリハビリを受けるために施設に“通う”サービスです。

そのために、具体的にサービス利用時間が決められています。

この時間中は診療行為を受けることができませんので注意です。

仮に通所介護の利用中に訪問診療の先生が来たら、そこで通所介護のサービスを中断して診療行為を受けることとなってしまいます。

そのため、通所系や訪問系のサービスを利用している方は、訪問診療の日程調整の際に重ならないように留意しましょう。

まとめ

このように、往診と訪問診療は似て非なる言葉であることが分かりました。

往診は、急な体調悪化によって外出を伴う受診が出来ない状態にある患者の要請に応じて行われる急患診療的行為なのに対し、訪問診療は定期的かつ計画的に居所を訪問し行われる、定期通院的診療行為であることをご説明しました。

この違いにより、ショートステイ利用中の往診は×だが、ショートステイ利用中の訪問診療は〇という結果になったのです。

誤解しがちな内容ですが、ここをしっかり整理して主治医の先生との関係作りをすすめることが、在宅療養のポイントになっています。

ぜひ、頭に入れておいて下さいね。

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