ズボンや下着の上げ下ろしや排泄行為自体は出来るけど、トイレまで移動するのが大変…。
そんな時に活躍するのが、ポータブルトイレです。
いわゆる大人用のおまるのようなものがそれに当たりますが、近ごろは大変便利に進化しています。
家具調や木目調は勿論、見た目だけでなくウォシュレットや消臭機能が付いたものまであるんです。
今回は、そんなポータブルトイレについて種類や特徴、お値段まで詳しくご紹介していきますよ。
ポータブルトイレは福祉用具購入の対象になる
子供用のおまると違い、ポータブルトイレは高価です。
そのため、ポータブルトイレは介護保険制度を活用して自己負担1~3割の比較的安価で購入することができます。
法律的には、“特定福祉用具販売”と呼ばれるサービスです。
しかし、それには条件があるので注意も必要です。
いざ購入したのはいいけど、介護保険で認めてもらえなかった!
…そんなことにならないように、介護保険制度利用の要件を満たすための条件や手順について、しっかり確認しておきましょう。
ポータブルトイレが購入できる対象者
介護保険制度でポータブルトイレを購入するためには、まず要支援1以上の要介護認定を受けていることが最低限の条件になります。
実際にポータブルトイレの必要性がある方であれば、身体に何らかの機能低下が認められる必要があります。
この用具を活用する方は、特に夜間トイレに起きた時にトイレまで歩いていくことが不安と感じている場合が多いです。
必要だと思ったら、まずは介護保険被保険者証を確認し、要支援1以上の判定がおりている事を確認しましょう。
支給限度額について
ポータブルトイレは介護保険を利用すれば自己負担割合に応じて1~3割の金額で購入できるということを冒頭でお伝えしました。
これは、購入時費用1年間で10万円を上限とし、実際の購入価格のうち1~3割を差し引いた金額が後日返金されるという仕組みになっており、これを償還払いによる購入と言います。
通常はこの形が原則ですが、市町村によっては初めから自己負担分の金額のみ購入時に支払えばよいという仕組みを取っている所もあります。
購入までの流れ
ポータブルトイレが必要だと感じたら、まずは担当ケアマネジャーさんに相談しましょう。
もし要支援1以上の認定は持っているけど、今まで何の介護サービスも利用していなかったという場合は担当のケアマネジャーさんがいない場合もあります。
そんなときは、各中学校区毎に設置されている、お近くの地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。
その後、相談を受けたケアマネジャーさんは相談者の心身の状態や生活状況等を聴取したり実際に見るなどして、ポータブルトイレの購入が必要か、使用に耐える身体状態かどうかを確認の上、それが位置づけられたケアプランの作成を行います。
それが完了すると、福祉用具の選定に入ります。
介護保険指定を受けた福祉用具販売店での購入でないと、介護保険対象として認めてもらえません。
確かにホームセンター等でもポータブルトイレは売っていますが、介護保険指定を受けていない店舗の場合は後ほどお金が返ってこないのでご注意を。
不安な方はケアマネジャーさんから業者を紹介してもらいましょう。
指定を受けている店舗には、必ず福祉用具専門相談員というソムリエのような業務を行っている方がいます。
その方に詳しい身体状況や使用イメージを伝えると、適切な商品を提案してくれるでしょう。
購入後は、購入した商品が分かる資料や領収書等を添付した上で自治体に申請する必要があります。
許可が出れば、購入費用のうち自己負担分の金額を差し引いた金額が口座振り込みで返金されるという流れになります。
この申請書の作成は、担当ケアマネジャーさんか福祉用具専門相談員さんが作成代行してくれる場合が多いので、購入時に合わせて相談しておくとよいでしょう。
ポータブルトイレの種類
ポータブルトイレには、大きく分けて4種類の形があり、さらにそこから様々な付加機能がつく形になります。
まずは基本の4種類について、その特徴や欠点、値段の目安についてご紹介していきます。
標準型
まずは標準型。プラスチック製で、安価・小型・軽量であることが特徴です。
プラスチック製ですので、汚れた際も掃除がし易くなっています。
高さ調整機能があるものもありますが、その機構はスペーサーを土台部分に詰め込むような簡易的なものです。
欠点は、その軽さ故不安定な点です。通常の体格の方であれば問題ありませんが、体重が重かったり、筋力の低下等によってポータブルトイレへの移乗時に全体重がかかったりしてしまうとポータブルトイレと一緒に引っくり返ってしまった…なんて事故が発生するリスクもあります。
費用は特に付加機能がついてないものであれば25,000~30,000円程度が相場です。脱臭機能や暖房便座機能が付くと70,000円くらいのものもあります。
木製椅子型
木製椅子型の特徴は、サイズが大きく重量もあるので安定している点です。
また、家具に調和するデザインの物や通常の椅子として使用できるものが多いです。
移乗の邪魔にならないよう、ひじ掛けが跳ね上げ式のものもあります。
その特徴の反面、持ち運びがしにくかったり、設置にスペースが必要だったりする欠点があります。
また、木製という材質の特性上、傷がついた所に汚れが入り込んでしまうと、拭いたり洗ったりしてもなかなか臭いが取れなくなってしまうこともあるでしょう。
価格は付加機能がないものであれば35,000~45,000円くらい。
木製椅子型にはウォシュレット機能や排泄物を自動的に消臭フィルムで密閉してくれる物などがあり、高額になると介護保険上限の100,000円を超える商品も少なくありません。
コモード型
コモード型とは、金属製のパイプでできたフレームにトイレの便座と排泄物受けバケツが付いた単調な作りのタイプになります。
自室で使用するには多少抵抗があるデザインなのが欠点ですが、その分作りは安定しており、かつ持ち運びも簡単で掃除もしやすく清潔を保ちやすいという点が特徴です。
高さ調整もしやすいので、利用者の体格や身体機能に合わせた調整がしやすくなっています。
価格は15,000~30,000円といったところで、構造上付加機能がついた商品は殆どありません。
ベッドサイド型
ベッドサイド型とは、その名の通りベッド脇に設置することによって横移乗することに主眼を置いた物になります。
形はコモード型に似ていて、家具との調和は困難なデザインです。
その一方、高さ調節やひじ掛けの跳ね上げ機能が簡単に出来ることがメリットと言えます。
安定性も高いです。
キャスターがついており、移動もさせやすくなっています。
なお、ベッドサイドに設置する場合は、座面とベッドの高さをそろえないとベッドからトイレへの移乗がしづらくなるので、注意が必要です。
価格は20,000~40,000円程度ですが、病院などでは使用している場合があるものの、そのデザインの悪さからコモード型も同様ですが、自宅介護でのニーズは非常に少なく、大手の介護用品カタログに掲載されていないこともあるくらいです。
ポータブルトイレの選び方のポイント
ポータブルトイレには様々な形や機能の商品があり、選ぶのが大変です。
福祉用具専門相談員や介護支援専門員の方に相談しながら、以下のポイントを着眼点に商品選びをしていきましょう。
設置場所
ポータブルトイレは持ち運びが可能ではあるものの、安定性を確保するためにそれなりの重量があるものが多いです。
利用者の排泄行為に介助が必要な場合は、その分のスペースも確保する必要があります。
まず置くところを決めて、それに適したサイズの物を選びましょう。
安定感
移乗動作のために体重がかかっても倒れたりグラついたりしない商品を選ぶ必要があります。
標準型のプラスチック製の物は高さ調整の際土台に詰め物をする形のものがあります。
素人がやると平行を保てない危険性もあります。
高さ・足元のスペース
人が立ち上がるためには、足を後ろに引いて前かがみになり、腰を浮かせることによって可能になります。
そのために適切な座面高さと足元のスペースが必要です。
移乗のしやすさ
特に筋力低下が認められる方が使用する場合は、ベッドとポータブルトイレの距離を縮めて最短距離にする必要があります。
その際に肘かけを跳ね上げることが出来れば、非常に便利ですよね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ポータブルトイレは、介護保険の対象で10万以下であれば1~3割の自己負担で購入することができます。
但し購入はケアプランに位置づけたうえで指定を受けた店舗から購入し、別途申請することによって自己負担分を差し引いた金額が返金される仕組みになっていますので、いきなり購入するのではなく、必ず担当のケアマネジャーさんに相談する必要があります。
夜間トイレに起きる際や、体調不良によってトイレまで歩いていくことへの不安を解消することができる福祉用具です。
その方の体形や心身機能に応じた選定が必要になってくるものでもあるので、購入の際はお店にいる福祉用具専門相談員さんに相談しながら選定するようにしましょう!