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生活保護の『介護扶助』とは?介護保険との関係は?

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生活保護の『介護扶助』とは?介護保険との関係は?

生活保護受給者は介護保険のサービスを受けることができるのかと、不安に思う方もいると思います。

生活保護には「介護扶助」というものがあり、介護保険との関係もあるものです。

この記事では、生活保護の介護扶助について詳しく解説します。

生活保護と介護保険の関係

生活保護と介護保険の関係

生活保護制度とは、資産や能力のすべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。

生活保護には①生活扶助、②医療扶助、③教育扶助、④住宅扶助、⑤介護扶助、⑥出産扶助、⑦生業扶助、⑧葬祭扶助の8つの扶助があります。この中で介護扶助が介護保険でのサービスに値します。

介護保険法による第1号被保険者(65歳以上)又は第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の場合、9割は介護保険が負担し1割が自己負担となります。

生活保護の場合、この1割の自己負担分が介護扶助費として支給されます。

40歳以上65歳未満の生活保護受給者の場合、社会保険等に加入していない限り介護保険に加入することはできません。

そのため特定疾病により要介護又は要支援状態にある生活保護受給者が介護サービスを利用する場合は10割が自己負担となり、この10割の自己負担分が介護扶助費として支給されます。

つまり介護サービスに掛かる費用は全額支給されるということです。

ただし保険対象外のサービスを利用した場合や、介護保険における支給限度額を超えたサービスを利用した場合は、自己負担分が発生します。

生活保護の申請方法

生活保護の申請方法

生活保護を受けるためには、要件があります。

生活保護は世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。

  1. 資産の活用:預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に当てる必要があります。
  2. 能力の活用:働くことが可能な方は、その能力に応じて働くことに努めなければなりません。
  3. あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用しなければなりません。
  4. 扶養義務者の扶養:親族等から援助を受けることができる場合は、援助をお願いしなければなりません。

これらの努力を行ったうえで、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。

生活保護制度の利用を希望される方は、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当まで相談をしましょう。

生活保護の申請にあたっては、必要な書類は特別ありませんが、生活保護の申請をした後の調査において、世帯の収入・資産等の状況がわかる資料(通帳の写しや給与明細等)を提出が必要な場合があります。

生活保護の申請をされた方には、保護の決定のために以下のような調査を実施されます。

  • 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
  • 預貯金、保険、不動産等の資産調査
  • 扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
  • 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
  • 就労の可能性の調査

生活保護制度の仕組みや各種社会保障施策等の活用について十分な説明を行うためにも、生活保護担当窓口での事前の相談が大切です。

生活保護の介護扶助について

生活保護の介護扶助について

介護扶助とは、生活保護法における8つの扶助の中の1つであり、被保護者が要介護、または要支援と認定された場合の扶助のことです。

介護保険の対象となる介護サービスについて最低限度の生活の内容として保障するためのもので、介護保険法に基づく介護サービスのすべてが対象になります。

現物給付で介護を受けられる

生活保護の給付方法は、金銭が直接支給される金銭給付と、医療や介護サービスの給付など、金銭以外の方法で給付する現物給付の2種類があります。

生活保護における8つの扶助の中で、医療扶助と介護扶助は現物給付です。

介護保険では、介護サービス費の1割を利用者が負担しないといけませんが、生活保護の方の介護扶助の場合は、サービス費の1割は自治体からサービス事業者へ直接支払われます、そのため、被保護者には金銭として介護扶助が支払われることはなく、現物給付となります。

介護扶助の8項目

介護扶助の項目は広義的には下記の全部8項目があります。

  1. 居宅介護
  2. 介護扶助の居宅介護等の範囲は、居宅介護支援計画等に基づいて行われますが、この居宅介護支援計画等は、原則として生活保護法による指定介護期間の指定を受けた居宅介護支援事業者等が作成した介護保険法に規定する居宅サービス計画(介護予防サービス計画)である必要があります。

    また、居宅介護等に係る介護扶助の程度は、介護保険法に定める居宅介護サービス費等区分支給限度基準額(介護予防サービス費等区分支給限度額)の範囲内となります。

  3. 福祉用具
  4. 支給対象は、厚生労働大臣が定める特定福祉用具販売に係る特定福祉用具(特定介護予防福祉用具販売)の種目に規定する種類の福祉用具となります。

    費用は、介護保険法に規定する居宅介護福祉用具購入費支給限度基準額(介護予防福祉用具購入費支給限度基準額)の範囲内において必要な最少限度の額です。
     

  5. 住宅改修
  6. 住宅改修の範囲は、厚生労働大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類に規定する種類の住宅改修です。

    住宅改修の程度は、介護保険法に規定する居宅介護住宅改修費支給限度基準額(介護予防住宅改修費支給限度基準額)の範囲内において必要な最少限度の額です。

  7. 施設介護
  8. 施設介護の種類は、地域密着型介護老人福祉施設入所者介護、介護福祉施設サービス、介護保健施設サービス、介護療養施設サービスです。

  9. 介護予防
  10. 上記の①の内容と同じです。

  11. 介護予防福祉用具
  12. 上記の②の内容と同じです。

  13. 介護予防住宅改修
  14. 上記の③の内容と同じです。

  15. 移送
  16. 移送費の支給は、次のいずれかに該当する場合に行い、その費用は最小限度の実費です。

1)訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所介護、通所リハビリテーション、福祉用具貸与、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、介護予防訪問介護、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテ ーション、介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーション、介護予防福祉用具貸与、介護予防認知症対応型通所介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の利用に伴う交通費又は送迎費

2)短期入所生活介護、短期入所療養介護、介護予防短期入所生活介護及び介護予防短期入所療養介護の利用に伴う送迎費

3)居宅療養管理指導及び介護予防居宅療養管理指導のための交通費

4)介護施設へ入所、退所に伴う移送のための交通費

①~④は要介護者を対象とした扶助であり、⑤~⑦は要支援者を対象とした扶助です。

介護保険の施設介護サービスの場合介護扶助はどうなる?

介護保険の施設介護サービスの場合介護扶助はどうなる?

前述したように、介護扶助には居宅介護、福祉用具、住宅改修、施設介護、移送があり、介護保険の施設介護サービスは、この中の「施設介護」に当たります。

介護サービス費のうち、9割は介護保険から給付され、1割の自己負担相当額が介護扶助により給付されます。

その① 介護扶助に該当する部分

介護施設に入所して生活するためにかかる費用の内訳は、施設介護サービス費、サービス加算、居住費、食費、管理費、日常生活費などがあります。

この中で介護保険が適用される施設介護サービス自己負担額、サービス加算などは介護扶助に該当します。それ以外の居住費、食費などは介護保険の適用外であり、自己負担額となるため、介護扶助には該当しません。

その② 『食費』と『居住費』はどうなる?

食費と居住費に関しては、特定入所者介護サービス費が適用されます。

特定入所者介護サービス費とは、居住費・食費について、負担限度額までを利用者が負担し、それを超えて基準費用額までが介護保険から給付されるものです。

また、生活保護受給者は原則として多床室を利用することとされています。

生活保護受給者が多床室を利用した場合は、特定入所者介護サービス費における負担限度額が0円であるため、全額が特定入所者介護サービス費として給付されることになります。

ただし、居室の空き状況などにより、例外的にユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室を利用することも認められます。

この場合、介護保険から特定入所者介護サービス費が給付されて、負担限度額の分が介護扶助の対応となります。

生活保護の方の特定入所者介護サービス費に関して、以下の表にまとめました。

gg0577 表①

その③ 『管理費』等その他のものはどうなる?

介護施設に入所するには、食費や居住費だけでなく、その他にも管理費や日常生活費などが必要となります。

それらの費用は、生活扶助の中の介護施設入所者基本生活費というもので対応されます。

これは、介護施設に入所している被保護者の一般生活費として支給されるものです。

まとめ

まとめ

この記事では、生活保護について、その中でも介護扶助について、詳しく解説してきました。以下にこの記事の内容について、まとめます。

  • 生活保護には8つの扶助があり、その中で介護扶助が介護保険でのサービスに値します。生活保護の場合、1割の自己負担分が介護扶助費として支給されます。
  • 生活保護はあらゆる努力を行った上で、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。
  • 生活保護の介護扶助とは、被保護者が要介護、または要支援と認定された場合の扶助です。介護保険のサービスすべてが対象となり、現物給付になります。介護扶助には①居宅介護、 ②福祉用具、③住宅改修、④施設介護、⑤介護予防、⑥介護予防福祉用具、⑦介護予防住宅改修、⑧移送の8つの項目があります。
  • 施設介護サービスに係る費用のうち、施設介護サービス自己負担額などが介護扶助に該当します。それ以外の居住費、食費などは介護扶助には該当しませんが、特定入所者介護サービス費が適用されるため、利用者の負担は負担限度額までとなります。

生活保護受給者の半数は高齢者であり、生活保護受給者の方が施設入所を望まれることも増えています。

生活保護受給者でも施設に入所できるのかと不安に思う方もいると思いますが、生活保護受給者でも、介護扶助により介護サービスを受けることができ、入所できる介護施設はあります。

しかし、施設によっては、生活保護受給者の受け入れをしていないところもあったり、人気の施設では順番待ちがあり、すぐに入所できないこともあります。

施設へ問い合わせるなど、情報収集をしっかりと行いましょう。

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