介護保険の住宅改修のサービスは、介護度の重い方しか受けられないと思っていませんか?
実は、介護度の軽い要支援(予防給付)の方でも住宅改修はできます。
この記事では要支援の方の介護予防住宅改修について、詳しく解説します。
介護予防住宅改修とは
介護予防住宅改修とは、要支援1または要支援2の認定を受けた在宅の利用者が、住みなれた自宅で生活が続けられるように、住宅の改修を行うサービスです。
利用者だけではなく回りで支える家族の意見も踏まえて改修計画を立てていきます。
要介護状態になることをできる限り防ぐ(発生を予防する)、あるいは状態がそれ以上悪化しないようにすることを目的としています。
高齢者の有する能力に応じ、自立した生活を営むことができるよう支援します。
介護予防住宅改修の対象種目
介護予防住宅改修の対象種目には、以下のものがあります。
その① 手すりの取付け
- 廊下、便所、浴室、玄関等で転倒予防や移動、移乗等の動作を助けることを目的として取り付けます。
- 手すりの形状は、二段式、縦付け、横付け等があります。
その② 段差の解消
- 居室、廊下、便所、浴室、玄関等の室間の床の段差、玄関から道路までの通路等の段差または傾斜を解消する工事です。
- 具体的には、敷居を低くする工事、スロープを設置する工事、浴室の床のかさ上げ等が想定されます。
その③ 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
- 居室での畳敷きからフローリングやビニールへの床材等の変更、浴室においては滑りにくいものへの変更等になります。
その④ 引き戸等への扉の取替え
- 開き戸を引き戸や折り戸、アコーディオンカーテン等に取り替えるといった扉全体の変更のほか、ドアノブの変更、戸車の設置なども含まれます。
その⑤ 洋式便器等への便器の取替え
- 和式便器から洋式便器への取り替え等が想定されます。
その⑥ その他上記の住宅改修に付帯する工事
手すり取付けのための壁の下地補強
- 浴室の床段差解消に伴う給排水設備工事
- 床材変更のための下地の補修、根太の補強
- 扉を取替えるための壁または柱の改修工事
- 便器を取替えるための給排水設置工事(水洗化または簡易水洗化に係るものを除く)や床材変更ほか
費用について
介護保険適用で支給限度額は10割=20万円となっています。
住宅改修に要した費用のうち1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)を本人が負担し、残りの9割(一定以上所得者の場合は8割または7割)が、介護保険から支給されます。
生涯を通して20万円までなので、何度かに分けて使うことも可能です。
転居時や介護度が3段階以上上がった場合には、再度20万円の住宅改修費を利用することができます。
介護保険における住宅改修費の支給は、利用者がいったん改修費用の全額を支払い、その後に申請をして保険料・税金による補助分の支給を受けるという、いわゆる「償還払い」を原則としています。
しかし、自治体によっては、利用者は改修費用の保険適用分のみで済む「受領委任払い」を行っているところもあります。
詳しくはお住いの自治体に確認してみましょう。
まとめ
この記事では要支援の方の介護予防住宅改修について、詳しく解説しました。
以下にこの記事の内容についてまとめます。
- 介護予防住宅改修とは、要支援1または要支援2の認定を受けた在宅の利用者が、住みなれた自宅で生活が続けられるように、住宅の改修を行うサービスです。要介護状態になることをできる限り防ぐ、あるいは状態がそれ以上悪化しないようにすることを目的としています。
- 介護予防住宅改修の対象種目には、①手すりの取付け、②段差の解消、③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更、④引き戸等への扉の取替え、⑤洋式便器等への便器の取替え、⑥その他上記の住宅改修に付帯する工事があります。
- 介護保険適用で支給限度額は10割=20万円であり、住宅改修に要した費用のうち1〜3割を本人が負担し、残りが介護保険から支給されます。「償還払い」が原則ですが、自治体によっては「受領委任払い」を行っているところもあります。
介護保険の住宅改修のサービスは、介護度の重い方だけのためのものではなく、介護度の軽い要支援の方に対するサービスがあります。
要支援の方が住宅改修を行い手すりを取り付け使用することによって、安全に在宅での生活を送ることができ、要介護状態になることを防ぐことができます。
要支援の方への住宅改修は、現在の介護予防の観点からはとても重要なことと言えます。
今の状態を維持するためにも、住宅改修で手すりを取り付け、安全に在宅生活を送れるように工夫しましょう。