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認知症による暴力で介護施設を断られるって本当?対応策は?

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認知症の方の介護は、最も大変な介護の一つと言われています。

居宅介護にはいつか限界が見え、その時は介護施設入所のタイミングといえるでしょう。

認知症の方を受け入れる介護施設はたくさんありますが、認知症が原因で暴力が目立つようになると、入所を断れられることがあります。入所を断られてしまったらどうすればよいのでしょうか。

この記事では、認知症が原因の暴力と介護施設入所についてお話していきます。

なぜ認知症で暴力行為があるのか


認知症には様々な症状がありますが、感情コントロールができなくなることもその一つです。

私達の脳には前頭葉と呼ばれる器官があり、これは理性や感情を司る働きを持っています。

しかし、加齢や生活習慣など色々な原因でこの前頭葉が委縮すると、感情コントロールがうまくできず、これまでは抑えられていた怒りも抑えられなくなるといった症状が出てきます。

これが認知症で暴力行為が出てくる原因となっています。

介護施設で入所を断られるケースとは?


親や家族が認知症で暴力を振るうようになると、介護する家族は大変です。

居宅での介護は難しくなり介護施設への入所を考えざるを得ないでしょう。

介護施設にはいろいろな種類がありますが、その施設によって様々な受け入れ条件が定められています。

それらをクリアできないと入所は認められません。

利用者の家族は藁にもすがる思いで施設を探しますので、入所を断られてしまうと理不尽に感じるものですが、設備や職員配置状況など致し方ない部分もあります。

また、特別擁護老人ホームでは、介護保険法により「正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない」とされています。

つまり、「正当な理由」があれば入所を断ることができるわけです。

その① 医療的要因が強い場合

高齢者の中には、定期的な点滴が必用であったり、痰の吸引が必要となる人も少なくありません。

しかし、このような医療的処置には対応できない施設もあります。

入所したときには比較的健康だったものの、その後体調の変化により医療的処置が必要になった場合、退所について相談を受ける可能性もあります。

その② 取り返しのつかないケガをさせる可能性がある場合

認知症が原因で暴力行為が目立つ人も、入所を断られる可能性があります。

スタッフはもちろん、他の利用者に向けて暴力が出てしまいケガをさせる可能性はぬぐいきれないからです。

施設側としては単純に「対応が難しいから」という理由だけで断るわけではなく、長い目で見てご本人やご家族のためにならないと考えての判断です。

施設に入所するということは、そこが自分の第二の我が家となります。

周りの利用者の方々は、毎日衣食住を共にするいわば家族のように身近な存在になるわけです。

しかし、不満が異常に強かったり暴力的な言動が多いと、周りの人との人間関係もうまくいきません。

本人も居心地が悪く、生活の質は良いとは言えなくなります。

もちろん、実際に暴力が出てしまえば、取り返しのつかない大けがをさせてしまう可能性が大きく、それこそご本人のためにはならないのです。

介護施設で入所を断られた場合の対応策


では、希望の介護施設で入所を断られてしまった時には、どうすればよいでしょうか。

その① 精神科医療を活用する

認知症の症状が強くなり、暴力が目立つようになった時には、やはり専門の医師による適切な診察が功を奏します。

自宅介護が不可能で、介護施設でも断られてしまった場合には、精神病院に入院する方法も一つです。

精神病院入院には悪いイメージを持つ人も少なくありませんが、精神科医はその道のプロ。入院によりゆっくりと丁寧に診断をし、細かな症状に応じた投薬の微調整など、理想的な医療を受けることができます。

もちろん、病院によって病棟の様子や対応に差がありますので、介護施設と同様、よく下調べをして信頼できる病院を見つけましょう。

その② 多くの人を巻き込んで検討する

何事も一人で悩んでいては最良の方法は見つからないものです。

ケアマネージャー、地域包括センター、担当医師など、多くの人に相談し、幅広い視点からのアドバイスを得ましょう。

一つの施設で断られても、探せば受け入れてくれる施設が見つかるかもしれません。

最近では、民間の介護施設紹介業者も多く、こちらの希望や状況を伝えるとそれに合った施設を探してくれます。

見学にも連れて行ってくれますので非常に利用価値があります。

その③ 家族で相談をして方向性を考える

介護問題は家族の問題です。

施設に入れるとなると経済的な問題も絡んできます。

介護者一人で解決はできませんので、家族みんなで相談しましょう。

施設を探すのか、精神病院を当たるのか、それとも自宅でサービスを受けるのか、一人で抱えるには大きすぎる問題です。

自分の親はもちろん、祖父母や親戚の方だとしても、何らかの形でこれまでお世話になった人のために、協力し知恵をしぼりましょう。

まとめ


認知症にかかると理性と感情のコントロールが困難になります。

そのため、暴力的な言動が問題行動の一つとしてあげられます。

暴力が目立つようになると介護施設の入所を断られることがあり、利用者はもちろん介護者にとっても大きな問題です。

一か所で断られても他を根気よく探したり、精神科の利用を検討するなどの対応策はありますので、一人で抱え込まず、介護関係者や家族、親戚を巻き込んで、知恵を絞って最善の策を見つけましょう。

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