老人ホーム選びは簡単ではありません。老人ホームの種類は多数ある上、インターネット上のデータやパンフレットだけでは実態はわからないもの。
満足できる施設選びには時間と労力がかかります。
6つのポイントを知って、失敗しない老人ホーム選びを目指しましょう。
まずは施設の種類から選ぼう
老人ホームと一括りで言いますが、その中にはいろいろな種類があります。
それぞれが独自の性質を持っていますので、自分に合った施設を選ぶ必要があります。
① 介護付き有料老人ホーム
民間の老人ホームです。
受け入れの幅が広く、要支援から要介護、看取りまで幅広く対応するところが多いです。
あらゆる介護サービスが料金に含まれており安心感があります。
② 住宅型有料老人ホーム
高齢者の集合住宅というスタンスの老人ホームです。
個室の寝室と、共同の食堂や居間を使用し、食事、洗濯、清掃といった生活支援サービスが提供されます。
しかし、介護サービスは別契約のため、介護度が高くなると利用する介護サービス費が高くなる可能性があります。
デイサービス施設などが併設されているところもあります。
③ サービス付き高齢者住宅
高齢者用・バリアフリーの賃貸住宅です。要支援・要介護者、または60歳以上の方が入居できます。
基本的にキッチン、バスなどがついた賃貸住宅であり、個人の自由な生活ができます。
見守り、生活相談などのためのスタッフはいますが、介護サービスは別契約です。
要介護度が低く、自分である程度身の回りのことができる人におすすめです。
④ グループホーム
認知症と診断された高齢者のための施設です。
少人数のユニット型で、認知症介護に精通したスタッフが対応しています。
地域密着型で、お互いに協力しながら生活することで、認知症の進行を防ぐという目的があります。
看護師の配置は施設ごと様々なため、医療的ケアが必要な人は入居が難しい場合があります。
⑤ 特別養護老人ホーム
社会福祉法人運営の老人ホームです。国の補助などにより、良質のサービスを安く提供するため人気が高いです。
対象となる人は要介護3以上なのですが、それでも待機者が多くすぐには入居できない状況です。
費用が安いことが人気の理由ですが、収入に見合った費用が請求されますので、収入が多い人にとっては、民間の老人ホームとさほど変わらない可能性があります。
⑥ 介護老人保健施設
医療法人によって運営される、リハビリを目的とした施設です。
国からの補助によって費用は比較的安く人気がありますが、基本的に自宅復帰を目的としており、長期入所には不適切です。
要介護1から入所可能です。
老人ホームに何を望むのか?希望を洗い出してみよう
なぜ老人ホームへの入所を考えているのでしょうか?
その理由は何ですか?
今の生活の中で不便なこと、困っていること、老人ホームに頼らなければならない理由を考えてみましょう。
本人と家族が老人ホームに求めることを洗い出すことで、どんな老人ホームを選ぶべきかイメージがわいてきます。
(例)
- 話し相手がいないので、周りに人がいてほしい
- 家事全般ができないので、食事の提供と清掃・選択などの衛生面を見てほしい
- 新しいことが覚えられないので、困った時に説明してくれる人がほしい
- 一人で買い物に行けないので、買い物をしなくてよい環境がほしい
- 医者に行けないので、定期的に診察を受けさせてほしい
- 薬を飲めないので、薬の管理をしてほしい
- 引きこもりがちなので、人との交流がほしい
- 身体的機能が衰え一人では危険があるので、見守りがほしい
希望条件の優先度を考えよう
老人ホームに求めることを考えたら、希望する生活ができそうなホームを探していきます。
老人ホームは、施設ごとに細かな条件やカラーがあり、あらゆる側面から考えていかなければなりません。
老人ホームを選ぶうえでの具体的な条件と、その優先度を整理しておくと、本当に自分に合ったホームを探しやすいです。
① 受け入れ要介護度
老人ホームによって、受け入れる介護度が異なります。
自立から要介護度5まで幅広く受け入れるところもあれば、特養のように要介護3以上のみというところもあります。
まずはこれをパスしなければなりません。
② 費用
老人ホームに入所するとほとんどの方が長期的に生活することになります。
そして毎月費用が発生してきます。
その金額や料金体系は施設によって異なるため、細かいところまでしっかり確認しなければなりません。
毎月これだけの金額がかかる、5年、10年支払い続けるということを頭に入れ、無理の資金計画を立て、予算内に収まっているかを考えましょう。
有料老人ホームの場合は、入所前にまとまった額の初期費用を請求される場合もあります。
③ 立地
いくら立派な老人ホームに入所しても、やはり家族・自宅を離れて生活することにはストレスはあります。
時にホームシックになり不穏になることもあります。
家族が定期的に訪ねてきて、共に時間を過ごすことは、入所者の楽しみであり、心の安定につながります。
そのため、家族が通いやすい立地であることは一つの大切な条件です。
また、入所する本人が、にぎやかな場所が好きか、静かな田舎が好きかなども、条件の一つになるえしょう。
- 自宅から通いやすいか
- 勤務先から通いやすいか
- 公共交通手段はあるか
- 駐車場はあるか
- 静かな環境か、街中か
- 周りに散歩コースがあるか
- 買物はできるか
④ サービス内容
入所する人の身体状況に合ったサービス内容から条件を絞り込みましょう。
高齢者の中には、その人の身体状況により医療処置が必要な人もいます。
スタッフの人数や夜間体制、看護師や理学療法士の配置なども大切な条件です。
- 入浴、洗濯、食事介助、身支度などの介護サービスが十分か
- リハビリはどの程度まで可能か
- 病院への付き添いなど生活支援サービスに対応できるか
- 看護師の有無、対応できる医療処置
- 提携病院の有無
- 緊急時の対応
- 看取りは可能か
⑤ レクレーションやイベント
老人ホームでのレクレーションやイベントは、生活の中の楽しみや脳への刺激となり、高齢者の生活にとって必要不可欠です。
本人の趣味に合ったレクレーションがあれば、毎日を生き生きと過ごすことができるでしょう。
レクレーションやイベントの内容、頻度、外出イベントの有無、費用がが希望に合うか調べましょう。
⑥ 食事
美味しいものを食べることは、誰にとっても楽しみです。
老人ホームにおいても、食事は楽しみであり、かつ健康を保つための重要な時間です。
介護職や医療食など、高齢者の身体状況にあった食事の提供、介助に対応しているかに合わせて、本人好みのメニューや味付けが可能かなども、大きな条件の一つです。
条件に合う老人ホームを比較しよう
希望の条件が出そろったら、早速施設探しを始めましょう。
インターネット上にはたくさんのポータルサイトがあり、老人ホームの情報を検索することができます。
地元の地域包括センターや、役所では、老人ホームの一覧表などをもらえますので、それを基に自分で問い合わせをすることができます。
気になる老人ホームに見学に行こう
希望に近い老人ホームを絞ったら、必ず見学に行きましょう。
見学前に資料請求をすることも可能ですが、パンフレットだけでは実態はわかりません。
老人ホームを実際に訪れ、入所者の様子、スタッフの対応、施設の清潔感や明るさなどを見ることは、施設を選ぶ上で重要なことです。
複数の施設を見学していくと、見る目が磨かれ、その善し悪し、本人に合うか合わないかなどが、どんどんわかっていくものです。
雰囲気や設備の違い、施設内の間取り一つをとっても、本人に合うか合わないかが出てきます。
見学時にはしっかり記録をとって、比較検討に役立てましょう。
口コミも重要視しよう
利用者の声は、最も参考になる情報の一つです。
インターネット上にも、口コミが掲載されている施設があります。
近所の人、友人、ケアマネージャーなどにも声をかけ、気になる老人ホームの様子を知っていれば聞いてみましょう。
まとめ
老人ホーム選びには時間と労力がかかります。
効率よく、かつ満足できる老人ホームを選ぶために、希望する条件を洗い出し、優先順位を考えてみましょう。
見学に行けば、机上ではわからなかった施設の雰囲気がわかり、難しい施設選びに役立ちますよ。