近年よく聞かれる「ユニットケア」。老人ホームでも「ユニットケア」を取り入れる施設が増えています。
ユニットケアとはどのようなケアなのか、従来の介護と何が違うのか、メリット・デメリットと合わせてお伝えします。
ユニットケアとは?
ユニットケアとは、個人の尊厳を重要視し、一人一人の個性や生活リズムにあった暮らし方をサポートする介護の方法です。
老人ホームなどの介護施設は、入居している高齢者にとって自宅に代わる生活の場です。
そこで、できるだけ自宅での生活に近い暮らしができるように、個別のケアを行おうという考え方です。
その① 個室でプライバシーの保護
ユニットケアでは、10人前後の入所者が1ユニットとされ、各ユニットごとに担当のスタッフが決められています。
入所者のプライバシーを保護するため、個室対応となっており、他の入所者やスタッフとの交流の場として、リビング(食堂)が設けられています。
その② 個別ケアを実践
ユニットケアの最大の特徴が、「個別ケア」です。
これまで老人ホームというと、「集団ケア」となりがちでした。
多くの要介護者を24時間見守り介護してくれる反面、人手不足も相まって、効率化やスピード重視の介護にならざるを得ないところがありました。
しかし、個々が自宅で暮していた時のように個性や自分のリズムを保ちながら、必要な時にそれぞれに必要な介護を提供するのが、個別ケアです。
各ユニットを担当するスタッフは、交替はあるもののいつも同じメンバーのため、入所者との親交が深まり、安心感が高まります。
スタッフとの距離が近いため、何かあったらすぐに対応することができます。
その③ 人間関係の充実
ユニットケアでは、ユニット内に設けられたリビングスペースで、ユニット内の入所者やスタッフと共に、毎日顔を合わせます。
少人数制のため馴染みやすく、人間関係の充実を図ることができます。
スタッフにとっても、毎日同じ入所者のお世話をすることで、動向や体調の変化に敏感な対応ができます。
ユニットケアのメリットとデメリット
ユニットケアにもメリット・デメリットがありますので、みてみましょう。
その① メリット
個室のため、プライバシーが尊重される。
スタッフと入所者の距離が近く、入居者の変化に気づきやすい
個人個人の状況にあった個別ケアができる
リビングスペースがあるため、入所者同志の親交が深まる
感染症など、院内感染を低減できる
その② デメリット
個室のため、人によっては孤独感を感じることがある
少人数グループのため、人によっては他の入居者と気が合わないと居心地が悪い
個室のため、費用が高い
個室で、かつスタッフも少人数のため、一人の対応で部屋に入ってしまうと、他の入所者の様子が見えない
ユニット型個室とは?
介護施設の詳細に、個室、多床室、ユニット型個室などという表記があります。
このユニット型個室こそが、ユニットケアを理解するポイントです。
その① ユニットケアの実践の場
ユニットケアは、一人一人の個性や生活リズムにあった暮らし方をサポートする介護の方法です。
このユニットケアをスムーズに実践するための場が、「ユニット型個室」です。
スタッフの目が入所者一人一人に届きやすく、入所者のプライバシーや尊厳を守りながら、個々のリズムに合った介護がしやすい理想的な設備です。
その② 部屋や施設の構造について
「ユニット型個室」を取り入れた施設はその構造に特徴があり、施設全体が複数のユニットに分けられています。
1ユニットは、10室前後の個室と、一つの大きなリビングスペース、トイレ、キッチンから構成されます。
個室自体の造りは従来の個室とほぼ同じで、6~8畳ほど。
施設によっては、洗面所やトイレがついているところもあります。
その③ 料金について
ユニット型個室の料金は、従来型個室と同等です。
特別養護老人ホームでもユニット型個室を取り入れるところが増えており、多床室と比べるとかなり金額が上がりますので注意が必要です。
まとめ
個人の尊厳を守り、人間らしい介護を目指したユニットケア。
自宅にいるときのように自分のリズムで生活をしながら、充実した介護を受ける手段です。
ユニットケアについて理解を深め、介護施設を選ぶときの参考にしましょう。