公的な介護施設の一つが、介護老人保健施設です。
属に「ろうけん(老健)」と呼ばれていますが、老人ホームと何か違うの?と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、介護老人保健施設とは何か???詳細にお伝えします。
介護老人保健施設の概要
介護老人保健施設は、要介護高齢者の自宅復帰を目指した公的な介護保険施設です。
その① 利用できる人
65歳以上で要介護状態の人が対象です。要介護1から5まで対応しています。
その② 目指しているもの
介護老人保健施設の目的は、身体機能が弱くなった高齢者の自宅復帰です。
病気やケガなどが原因で要介護状態となった高齢者に、医師の管理のもと、看護と介護を提供します。
また、将来的に自宅へ戻って生活することを第一目的に、リハビリを行います。
その③ スタッフについて
介護老人保健施設は、病院と介護施設の中間のような役割を持っています。
医療ケアの充実のため、医師や看護師の配置が手厚く、リハビリ専門職の配置も義務付けられています。
医 師: 常勤。入所者100人に対し1人以上
看護師: 看護・介護職員合わせて、入所者3人に対し1人以上。看護師は介護職員総数の2/7程度。
理学療法士、作業療法士: 入所者100人に対し1人以上
その④ リハビリについて
自宅復帰を目的とした老健では、起き上がり、歩行訓練、ベッドから車いすへの移乗など、個々の状態に合わせて、必要なリハビリを行います。
自宅復帰が近づくと、実際に自宅の状態も確認し、どのような動作が必要になるかも考慮したリハビリメニューとすることもあります。
老健でのリハビリは維持期と呼ばれ、病院と比べると頻度は少ないです。
入所者1人に対し、1回20~30分、週に2回以上のリハビリの実施が決められています。そのうち1回は集団リハビリの場合もあります。
施設によっては状況により週3回以上のリハビリを行うところもありますが、人員体制や人件費などの問題で、簡単でないようです。
介護老人福祉施設の費用について
老健の月々の支払料金の主な内訳は、居住費(家賃)、食費、介護サービス費(自己負担分)です。
公的な介護施設のため、収入によって住民税非課税世帯の場合は減免措置があります。
減免の対象となると、居住費と食費が安くなります。
また、介護サービス費は要介護度によって金額に差があります。
その① 部屋のタイプで料金が違う
老健の中には、プライバシーを重視した個室と、複数人が同室の多床室があります。
また最近は、ユニットケアを取り入れたユニット型個室もあり、部屋のタイプで料金が変わります。
その② 食費と居住費について
食費は、提供される食事の、食材費、調理費などです。
一日3食とおやつ代で、1500~2000円位です。
居住費は、入居している部屋の家賃で、個室やユニット型個室は1700~2000円/日、多床室は380円/日が相場です。(施設によって異なります)
その③ 『まるめ』について
老健に入所すると、入所中の医療費・薬代は請求されません。
これは、入所者が老健に支払う費用の中に含まれているからです。
これが「まるめ」です。「全てひっくるめて」という意味合いです。
入所者の多くは入所前からなんらかの薬を服用していますが、入所すると主治医が老健に在籍する医者となり、薬もその医者の管理下で施設が処方します。
そして、その薬代は施設持ちいう形になっています。
そうなると、老健側としては、あまり高い薬は使いたくありません。
施設側の利益が少なくなるからです。
老健入所の申し込み時には、必ず処方されている薬について聞かれますが、これはどんな薬を服用しているか、そしてその費用についても確認する意味があります。
あまり高価な薬を使っていると、入所を断られる可能性もあります。
介護老人福祉施設と特別養護老人ホームの違い
公的な介護施設というと、特別養護老人ホームがよく知られています。
特別養護老人ホームは、要介護高齢者が安心して暮らせる生活の場としての役割がメインです。
寝たきりなど重度の介護状態でも対応でき、入所期間に制限なく、終の棲家として長く居住することができます。
その① スタッフの配置について
老健は、在宅復帰が目標で、そのための医療ケアやリハビリに重点が置かれています。
そのため、常勤医師をはじめ、看護師、リハビリ専門職員が手厚く配置されています。
特養は介護がメインのため、医師や看護師の配置は施設によって異なります。
その② 利用期間について
老健は在宅復帰を目指すため、原則として3~6か月とされています。
ただし、リハビリが思うように進んでいない、自宅の環境が整っていないなどの理由で、その期間中に自宅に帰れないことが多いという実態もあります。
特養は、入居期間に制限はありません。
その③ 入所要件について
老健:要介護1以上の高齢者が対象です。
老健は、病院と老人ホームの中間にあたる施設と言われ、自宅復帰を目指したリハビリを目的としています。
比較的状態が安定している人が対象で、病院を退院するが自宅へ戻るにはまだ不安などという高齢者が入所し、介護を受けながらリハビリ訓練を行います。
特養:要介護3以上の高齢者が対象です。特養は、自宅での生活が難しい介護度の高い高齢者のための施設です。
その④ サービス内容について
老健は、病院と老人ホームの中間的存在で、身体介護サービス、手厚い医療ケア、リハビリが主なサービスです。
洗濯など簡単な生活支援サービス、機能訓練につながるようなレクレーションも行うところが増えています。
特養は、要介護者が安心できる生活の場としての役割から、生活支援サービス、身体介護サービスを提供します。
QOLも大切にし、毎日のレクレーションから季節の行事、地域との交流など、様々なイベントで、高齢者の生活に刺激を与えてくれます。
上手な介護老人保健施設の選び方
老健は、退院を予定している患者がまだ自宅復帰が難しいときに利用する施設です。
自宅復帰を目指すため、比較的回転が速く、特養のような膨大な待機者はいませんので、比較的入所しやすいです。
気になる老健があれば、見学に行きましょう。
施設によって、設備や雰囲気が異なります。
多床室か、個室か、ユニットケアかによっても、本人に合う・合わないがあります。
お昼時に行けば、食事の様子を見ることができます。
服用中の薬の確認、リハビリの頻度、日中の過ごし方、スタッフの人数などもきいておきましょう。
老健の中には、「在宅強化型」と言って、在宅復帰を強く推し進める方針の老健があります。
入居期間が定められている老健ですが、入所者が高齢のため、リハビリが予定通り進まずなかなか退去できない、特養待機中の居住先として利用するなど、長期利用の増加が実態です。
そこで、本来の3~6か月での在宅復帰を強化し回転をより速くしよういうものです。
できるだけ早く回復したい、また、早く入居したい時にはおすすめです。
まとめ
介護老人保健施設は、要介護高齢者が在宅復帰を目指すための施設です。
病院と老人ホームとの中間のような存在で、家に帰るにはまだ心もとないという要介護者をサポートしています。
特別擁護老人ホームと似ているように感じますが、その目的、受けられるサービス、毎日の過ごし方などが全く異なりますので、本人に合った施設を選びましょう。