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介護施設に苦情やクレームを上手に訴える方法とは?

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介護施設を利用していると、提供されるケアに対し不満や要望を持つことがあります。

苦情やクレームを言うことにより、施設との関係が悪化し、利用者本人に悪い影響が出るのではないかと、考えている方もいることでしょう。

今回は介護施設に、苦情やクレームを上手に訴える方法について、解説していきます。

上手な苦情やクレームの訴え方に興味がある方は、ご参考になさってください。

介護施設への苦情やクレームを訴える方法

介護施設への苦情やクレームを訴える方法
はじめに介護施設に苦情やクレームを訴える際の、訴え先についてご紹介していきます。

上手に苦情やクレームを訴えるためのポイントは、苦情やクレームを訴える窓口を、段階的に変えるということです。

 その① 直接介護施設の担当窓口に訴える

はじめに直接、介護施設の苦情受付を行っている担当窓口へ訴えましょう。

苦情受付の窓口は施設によって異なります。

管理者やケアマネージャー、相談員が窓口となり、苦情やクレームに対応するケースが多くみられます。

もし利用している介護施設が、複数の介護サービスを運営している大規模な事業所であれば、運営会社の相談窓口や経営者へ、苦情やクレームを訴えるのも選択肢の1つです。

また施設によってはご意見箱を設置し、苦情やクレームを受け付けている場合もあります。

施設の苦情受付窓口に、直接苦情やクレームを訴えにくいと考えている方は、ご意見箱を活用してみるのもよいでしょう。

その② 自治体窓口に訴える

介護施設へ苦情やクレームを伝えても、改善が見込めない場合には、次に自治体の苦情受付窓口へ訴えます。

介護施設がある市区町村の、役場内の介護保険を担当する課が、苦情やクレームの訴え先として適切です。

介護施設との契約時に交付された契約書や重要事項説明書に、自治体窓口の連絡先が記載されています。

自治体へ苦情やクレームを訴える前には、契約書や重要事項説明書の確認をおすすめします。

その③ 国民健康保険団体連合会に訴える

自治体へ訴えてもなお改善が見られないのであれば、国民健康保険団体連合会(国保連)へ、苦情やクレームを伝えるとよいでしょう。

国保連は都道府県に設置された公法人で、介護報酬の審査支払業務や介護事業所への助言・指導、介護サービスに関する相談の受付を行っています。

苦情を受け付けた国保連は当該事業所に対し、指導助言を行い、事業所は助言をもとに改善に取り組みます。

インターネットで施設がある都道府県に所在する、国保連のホームページを検索すれば、国保連への相談方法を確認できます。

【参考サイト:東京都国民健康保険団体連合会、介護サービス苦情相談窓口について】

介護施設、自治体、そして国保連へと段階的に対応窓口を変えることが、上手に苦情やクレームを訴える際のポイントです。

苦情やクレームを訴える事によって期待できること

苦情やクレームを訴える事によって期待できること
介護施設に苦情やクレームを訴えると、施設が家族へ悪い印象を持ち、利用者本人に良い影響がないのではないかと、考える方もいることでしょう。

特に介護老人福祉施設(特養)を利用することになると、施設との付き合いは年単位になることも珍しくはありません。

しかし苦情やクレームを抱えたまま、介護サービスを利用していると、本人や家族は提供される介護サービスについて満足が得られず、施設への不信感が高まります。

それだけでなく施設のサービスの質が向上せず、利用者本人だけでなく、他の利用者も苦情やクレームを抱える原因となる可能性があります。

本人だけでなく、他の利用者が快適な介護サービスを利用するためにも、改善して欲しいことがある旨を訴えることは重要です。

苦情やクレームを上手く訴える方法

苦情やクレームを上手く訴える方法
苦情やクレームを上手く訴えるときに気を付けたいのが、冷静に事実を伝えるということです。

次から紹介する4つのポイントを胸に留め、苦情やクレームを伝えるように心がけましょう。

その① 感情的にならない

1つ目が感情的にならないということです。

感情を持たない人間は存在しません。

介護施設に苦情やクレームを訴えると思い至った時点で、怒りや不安、悲しみが心を支配していることでしょう。

しかし苦情やクレームを訴える目的は、心の内を相手にさらすことではなく、利用者本人が置かれている状況の改善です。

またこちらの負の感情は、相手の負の感情を引き出し、冷静な判断を遠ざけます。

感情的になり怒りにまかせて、苦情やクレームを訴えようとしているのであれば、一度クールダウンすることを強くおすすめします。

その② 事実を正確に伝える

2つ目が事実を正確に伝えることです。

人が発する言葉には、事実と意見の2種類が存在します。

苦情やクレームを訴える時には事実だけを、相手に伝えることが重要です。

事実関係が手短で簡単であれば問題ありませんが、複数の事実が絡み合い、苦情やクレームを訴えるに至った場合は注意が必要です。

苦情やクレームを訴えるに至った経緯を一度紙に書きだし、事実関係を再確認するのも選択肢の1つです。

その③ 本人や家族の感情も伝える

3つ目が本人や家族の感情も伝えることです。

このようなケアをされて本人が不安がっているや、家族は施設を信頼していたのに残念に思うなど、本人や家族の感情を伝えることも重要です。

本人や家族の感情を伝えるときにも、できるだけ冷静であれば、より効果的でしょう。

本人や家族の感情を伝えている間にヒートアップしてしまい、冷静さを欠いていると感じたときには、感情を伝えるのを中断することをおすすめします。

苦情やクレームを訴える際に2人で行い、片方が聞き手に回り、足らない部分をサポートするようにすれば、感情的になりすぎるのを防ぐ助けとなります。

その④ どのように対応して貰いたいか伝える

さいごにどのように対応してもらいたいかを伝えることです。

苦情やクレームを訴えるだけでなく、最終的にどのような対応方法を希望しているかを伝えることも、上手にクレームを訴えるポイントです。

もし具体的な対応方法が思いつかないのであれば、希望だけでも伝えるとよいでしょう。

希望する対応方法を伝えたとしても、介護施設からその場で返事がもらえるとは限らないことを、胸に留めておく必要があります。

施設側からその場で返答がなされないときには、いつ対応方法が明らかになるのかを、確認しておくとよいでしょう。

善良な施設なら苦情やクレームはありがたい!?

善良な施設なら苦情やクレームはありがたい!?
善良な介護施設であれば、苦情やクレームはありがたいと感じます。

苦情やクレームは介護スタッフや事務方、介護施設の経営者が日頃から行っている仕事ぶりを、再確認する助けとなるためです。

そのため施設によっては先ほど紹介したご意見箱を設置し、利用者や家族からの声を広く集めているのです。

しかし感情的になり苦情やクレームを訴えると、建設的な意見を述べているのでないと、施設側に判断される恐れがあります。

前項目で紹介した、苦情を上手に伝える方法を念頭に置き、苦情やクレームを訴えるようにしましょう。

まとめ

まとめ
介護施設へ苦情やクレームを訴える方法や、訴えることによって期待できること、上手に苦情を訴えるときのポイントに関して解説してきました。

施設に苦情やクレームを訴える方法について、理解が深められたのではないでしょうか。

介護施設に苦情やクレームを上手に訴える方法をまとめると

・苦情やクレームを訴えるときには介護施設、自治体、そして国民健康保険団体連合会へと、苦情受付窓口を段階的に変更するとよい

・感情的にならず事実のみを伝え、本人や家族の感情も加えて、どのような対応を希望するかを訴えるのが、上手に苦情を伝えるときのポイントである

・苦情やクレームは、介護職員の日頃からの業務内容を見直す機会となるため、建設的な考えのもと運営を行っている介護施設であれば、苦情を伝えたことをありがたいと感じる

ということがあります。

介護施設に限らず、何かしらのサービスを利用すると、苦情やクレームを伝えたい場面に遭遇します。

利用者や家族が安心して、介護サービスを利用するためにも、上手に苦情やクレームを伝えるようにしたいところです。

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