介護施設でのモンスター家族にどう対応する?
今、介護業界では、モンスター家族の問題が大きくなっています。
モンスター家族とは、利用者の介護状態について、理不尽な要求を繰り返す家族です。
この記事では、なぜ今モンスター家族が増えているのか、その上手な対応策について、お伝えします。
モンスター家族ってどんな人?
モンスターはどこにでも存在します。
その代表と言えばモンスターペアレント。
我が子を大切に思いすぎる、我が子が一番と信じすぎるあまりに、学校や先生など周囲の人の対応にナンセンスなクレームをつけてくる親です。
介護の世界では、これがモンスター家族となるわけです。
モンスター家族とは、大切な自分の家族を思うばかりか、職員の態度や本人への対応など少しでも気にいらなければ大げさに取り上げて、理不尽な要求を繰り返す家族です。
介護職員は家族の代わりとばかりに、施設でできることできないことは関係なく、無理難題を押し付けます。
また、職員を信頼せず、自分の考えややり方だけが正しいと、それを押し付けてくることもあります。
モンスター家族が存在する理由
なぜモンスター家族が存在してしまうのでしょうか。
モンスター家族の存在は、介護業界を取り巻く環境の変化によるといわれています。
本来、介護の仕事は行政による福祉サービスの一つです。
2000年に介護保険制度がスタートする前は、この要介護者へどんなサービスを提供するか、どの施設で受け入れるかなどは、市町村により決められていました。
ところが、介護保険制度の開始と共に、様々な業界が営利目的に介護事業に参入し始め、営利法人の介護施設が軒を連ねたのです。
利用者側は、自分で介護施設を選び、介護サービスの1~3割を負担することになり、これまでの福祉サービスを受ける「利用者」という立場に加え、それに対してお金を払う「消費者」という立場にもなったのです。
また、営利目的で新規参入した施設は、当然のことながら入所者を「お客様」とする意識があり、「お客様第一」という考え方で運営しています。
その考え方が利用者のお客様意識をより高めることになり、もとは「お世話をしてもらう」という気持ちであったものが、「お金を払っているのだから当たり前」という意識に変化していったのです。
モンスター家族は、この強いお客様意識により、自分たちの権利を過剰に拡大することによって起こっています。
モンスター家族を未然に防ぐ方法は?
利用者の家族の中には、家族を思うあまり施設での介護が十分でないという懐疑心が過ぎて、過度な要求をしたり、職員を家族の代わりのように細かな対応を期待し、それがエスカレートしていく人がいます。
このような状態にならないよう、はじめから家族とのコミュニケーションをよくとり、職員と家族との信頼関係の構築に努めましょう。
利用者の毎日の生活の様子を伝えると、それがたとえ小さなことであっても、関わりを持ってくれている、しっかりみてくれていると感じるものです。
家族が信頼して任せてくれるということが、モンスター家族を未然に防ぐことに繋がり、そのために介護する側は利用者だけでなく、家族への気配りも必要であるでしょう。
モンスター家族の対応策
モンスター家族が様々な要求やクレームをつけてくる時には、ことを大きくしないよう上手に対応しなければなりません。
まず気を付けたいことは、同じ土俵に立たないこと。相手が声を荒げても常に冷静を保ち、最後まで話を聞きましょう。
話の途中で否定するとさらに揉めるはめになります。
以下のポイントを押さえて、冷静に対応しましょう。
- 相手の気持ちによりそい、静かに話を聞く相手が話しているとき、途中で遮らない
- 理不尽な要求には妥協せず、難しい理由を説明する
- 個人で対応しきれないときは管理者を含めて組織で対応する
- 暴言、暴力にエスカレートし、対応しきれなければ警察を呼ぶ
まとめ
介護業界では、モンスター家族が問題となっています。
介護施設での利用者へのケアに対して、理不尽な要求をしたりクレームをつける家族です。
日頃から家族との信頼関係構築に努めるとともに、モンスター家族への上手な対応策を頭に入れ、組織レベルで対応しましょう。