介護用品のベッドとは
介護用ベッドは、ベッドの上で起き上がる、ベッドから立ち上がるという動作を補助してくれるベッドです。
福祉用具の一つで、「特殊寝台」という名前でも呼ばれています。
この介護用ベッドは、利用者だけでなく介護する側にもメリットがあります。
その① 介護を受ける側のメリット
介護用ベッドは、自力で体を動かすことが難しい人をサポートする様々な機能を持っています。
ベッドの上で体を起こしたい、膝を曲げたい、体の向きを変えたいなどという時に、介護ベッドの機能により、それらの動作がしやすくなります。
これにより、自分で体を動かしやすくなり、ベッドから立ち上がったり、車いすへ移ったりすることが比較的簡単にできるようになるため、ずっと同じ姿勢でいたり、寝たきりになることを防ぐことができます。
その② 介護をする側のメリット
介護は体力を使う仕事です。
寝ている人を起こすという動作一つとっても、体に負担がかかります。
この介護における体力的負担を、介護ベッドの上手な利用で軽減することができます。
例えば、腰をかがめるなど無理な姿勢での介護により、腰を痛めてしまうことは少なくありません。
そのようなとき、介護ベッドで高さを調整すればその負担を軽減することができます。
また、介護してもらう立場の人は、介護者に対して「あまり何度も頼むの悪い」などと気兼ねをしがちですが、介護者の負担が軽減されれば、そういった精神的な負担も減らすことができるでしょう。
介護用ベッドの機能と種類
介護用ベッドも開発が進み、いろいろな種類があります。
どんな機能があるか知り、適した介護用ベッドを選びましょう。
その① 介護用ベッドの3つの機能
・背上げ機能
背中を押し上げてくれる機能です。自分で起き上がることが難しいときや、ベッドの上で座っていたい時などに利用します。
背もたれを自分の好きな高さにすることができるため、ベッドから降りるとき、ベッドの上で座ったまま食事をとるというときに便利です。
・高さ調節機能
ベッドの高さ変えることができる機能です。
ベッドから安全に立ち上がるためには、ベッドに座って足が床にしっかりつくことが理想です。
そのため、個々に合った高さに設定する必要があります。
また、介護する側にとっても、介護する時自分に合った高さに調節することで、体にかかる負担を軽減することができます。
・膝上げ機能
ベッドの膝の部分を押し上げる機能です。
ベッドの背もたれを上げ、足を投げ出した状態で座ると、だんだん体が足側へずれてきてしまいます。
この時、膝の部分を押し上げることで、このずれを防ぐことができます。
また、長い時間横になったままでいると血行が悪くなり足がだるくなったりしますので、膝部分を上げて足のむくみを防止します。
背上げと膝上げを交互に行うと、より効果があります。
その② 介護用ベッドの5つの種類
介護ベッドの種類は、上記の機能を働かせるモータ―の数で差別化されています。
・1モーターベッド
ベッドの背上げ機能、または高さ調節機能のどちらかがついているベーシックなタイプです。
細かい調節は難しく、比較的介護度の低い人が、ベッドの上で起き上がるための補助として利用されることが多いです。
・2モーターベッド
背上げ機能と高さ調節機能の両方がついているタイプです。
1モーターベッドと比べるとランランクアップしており、背上げ機能と連動して膝上げ機能も付いている場合もあります。
自力で起き上がることが難しい、そして立ち上がりも不安という人におすすめです。
・3モーターベッド
背上げ機能、高さ調節機能、プラス膝上げ機能が備わっています。
それぞれの機能が個別で動き、より細かな調節で楽な姿勢を維持することができます。
自力で寝返りが打てない人、ベッドで長い時間過ごす人におすすめです。
・4モーターベッド
最新式の介護ベッドの一つです。
背上げ機能、高さ調節機能、膝上げ機能に加え、左右の方の部分が傾き寝返りを助ける機能がついています。
それぞれの機能が独立し、とても細かな介助ができます。
タイマーによる自動寝返り機能もあり、要介護度の高い人の床ずれ防止にも役立ちます。
ただ、操作が煩雑な点がデメリットです。
・1+1モーターベッド
背上げ機能と膝上げ機能がついているベッドです。
高さ調節機能はついていません。
2モーターベッドと混同しがちですが、2モーターベッドは、基本的に背上げと高さ調整。
かつ、ものによっては、背上げ機能に連動して動く膝上げ機能がついています。
1+1モーターベッドは、それぞれが個別で動くところがポイントです。
介護用ベッドの上手な選び方
上述したように、介護ベッドには様々な種類がありますので、利用者のニーズに合った一点を選びたいものです。
また、機能以外にもいくつかポイントがありますので、留意しながら選びましょう。
その① 安全性
介護ベッドを選ぶ上で最も大切なことは安全性です。
介護ベッドは高齢者や体が不自由な人が利用するものであり、転落事故や、挟まれ事故などが起こる可能性を考えなければなりません。
例えば、ベッドの柵部分に体の一部が挟まる、ベッドのグリップ部分に衣類が絡むなど、いろいろな事故の可能性があります。
そのため、介護ベッドを選ぶときには、JIS規格(日本工業規格)が表示されているものを選ぶ必要があります。
JIS規格を受けた製品は、製造工場の審査、完成された製品の審査の両方をパスし、安全性が保証されたものです。
利用者を守るために、必ずJIS規格を確認しましょう。
その② サイズ
介護ベッドにはいろいろなサイズがあります。
幅91㎝、長さ191㎝のレギュラーサイズを中心に、ミニサイズ、ロングサイズもあります。
ミニサイズは、身長が150㎝未満の人向けで、介護者が被介護者に接近して介護しやすく、狭い部屋でも置くことができます。
利用者の身長が176㎝以上の場合は、ロングサイズがおすすめです。
ベッドを設置する時、タイプによっては壁から5~10㎝離す必要があるものもあります。
部屋の広さと、ベッドの仕様、利用者の体形をよく考えて選びましょう。
その③ 付属品
要介護者といっても、その身体状態はそれぞれ異なるため、必要なものが違ってきます。
介護ベッドの付属品は、ベッドからのずり落ちを防止するサイドレール、ベッドから立ち上がるときに補助する手すり、ベッドの上での食事のための専用テーブル、ベッドから車いすへ移乗する時の移乗用ボードなどがあります。
その④ マットレス
介護ベッド用マットレスには、いろいろな硬さのものが用意されています。
身体状況により適したマットレスの硬さがあるからです。
ある程度自分で動くことができる、支えがあれば自立できる人には、適度な硬さのある方が、起き上がりや移動がしやすいです。
柔らかすぎると体が沈み、座ったり、寝返りを打つことが難しくなります。
自力で起き上がることはできても、自立はできず車いすへの移乗介助が必要な人は、適度な硬さで、さらにマットレスの縁がしっかりとして体を安定させるものが適しています。
寝たきりになると、床ずれが心配です。
そのため、体圧分散マットレスを選んでできるだけ床ずれ防止に努めましょう。
体圧分散マットレスは、一般のマットレスに比べ柔らかく、体重を分散するため、体の一部に体重が集中することを防ぎます。
硬さのほかには、通気性、抗菌加工、撥水加工、丸洗いできるかどうかなども、選択のポイントです。
介護保険でベッドを借りる場合の費用
介護のために使う福祉用品は介護保険が適用されるため、要介護認定者であれば安価でレンタルすることができます。
福祉用具のレンタル会社も多く、その人の身体状況を確認した上で、どんな福祉用具が適切かも相談にのってくれるでしょう。
介護保険を利用してレンタルできる福祉用具は限られており、介護ベッドとその付属品、車いすTとその付属品、床ずれ防止用具、歩行器、自動排泄処理装置などが主です。
要介護度によって保険適用の福祉用品が異なるため、しっかり確認することをおすすめします。
まとめ
自分や家族が要介護状態になった時、まず必要な介護用品の一つが介護ベッドです。
介護ベッドと言っても、その機能や種類はいろいろ。
それぞれの特徴を知り、利用者の身体状況にあったものを選びましょう。