介護が必要になった時、寝具を布団にするかベッドにするか迷うものですよね。
介護ベッドにも布団にも、それぞれメリットデメリットがあります。
大切なことは、要介護者が寝たきりにならないような状態を目指すことです。
要介護者がベッドや布団から離れ、生活空間を広げようと意欲を持つことができるような環境が理想的です。
個々の身体状況と生活習慣を鑑み、慎重に選択しましょう。
介護ベッドのメリット
その① 介護や掃除が簡単
介護ベッドと布団の大きな違いの一つが高さです。床から高さがあるため、介護者にとってメリットが多いです。
要介護者の体を起こす、立ち上がりを補助する、清拭など様々な介助の際、どうしても足腰に負担がかかりますが、介護ベッドは高さがあり、その微調整も効くため、負担が軽減されます。
また、ベッドの下にスペースがあるので、部屋の掃除も簡単です。
その② 立ち上がりの動作が楽
要介護者から見ると、ベッドから立ち上がる場合には、一旦ベッドわきに腰をかけた状態になり、そこからベッドのバーなどにつかまって立つことができるので、立ち上がりの動作が楽に行えます。
寝ている状態から起き上がるときも、サイドレールなどにつかまる、ベッドの背上げ機能を利用することで体への負担が軽くなります。
このようなことから、起きる、立ち上がることが億劫にならず、ベッドから離れることを促します。
その③ 床面が高く冬場温かい
床の上に直接敷く布団の場合、ひんやりとした床の冷たさが直接体に伝わってきて寒くて眠れないということがあります。
これに対し、ベッドは床より50㎝前後高くなっていますので、床の冷たさを感じることなく、寒い冬場も比較的温かくいられます。
その④ 湿気がこもりにくい
ベッドは床からの高さがあり、かつ、マットレスや布団を敷くベッドの土台部分はメッシュ状、すのこ状になって通気性がよくなっています。
そのため、マットレスや布団に湿気がこもりにくいというメリットがあります。
床に直接マットレスや布団を敷くと、湿気がこもり、ダニやカビの原因になりがちですが、ベッドであるとこのような心配が削減できます。
介護ベッドのデメリット
その① 転倒・転落のリスクがある
介護ベッドのメリットの一つにその高さがありますが、同時にデメリットともなりますので注意が必要です。
高さがある、ゆえに転落の可能性も秘めています。
また、ベッドへの乗り降りの際に転倒する可能性もあります。
特に、認知症患者のケアは生活習慣を変えないことが大切といわれています。
これまで布団に寝ていたところをベッドに変えてしまったため、布団に寝ているつもりでベッドの上に立ち上がってしまったという事例もあります。
現代の高齢者は、年代的にベッドに慣れていない人が多いので、要介護者の立場になって考えることも必要です。
その② ベッドの反対側に介助者が行きにくい
介護ベッドは場所をとります。
日本の家屋の一部屋は比較的小さいため、部屋の壁沿いに介護ベッドを置く人がほとんどです。
そうなると必然的に、片側からのみ介助を行うことになります。
その時々に必要なケアによって両側から介助したいということもありますが、介護ベッドの場合これが難しくなります。
布団のメリット
その① 場所を取らない
布団の第一のメリットは、場所を取らないことです。
日本の昔からの習慣通り、必要のない時にはたたんでしまうことができます。
寝たきりではない、座って居られる人の場合、布団をたたむことで狭い部屋であっても生活空間を広げて使うことができます。
その② 転落の心配がない
布団は床に直接敷いて寝るため、転落の心配がないことが大きなメリットです。
足腰が弱くなって立ち上がることが難しい人でも、布団から膝や手をついて移動したり、お尻をついて移動するということも可能で、これにより自力での生活空間を広げることに繋がります。
その③ 対象者に安心感がある
現在高齢の方の年代では、布団が慣れ親しんだ寝具でしょう。
ベッドの便利さは色々ありますが、何十年もの間慣れ親しんだ布団には、安心感があることは否めません。
これまでの生活習慣を継続しながら介護を受けることができるのであれば、その方が気持ち的に落ち着く人も少なくないでしょう。
布団のデメリット
その① 介護がしにくい
介護する側にとって、布団の上での介護は身体的に負担が大きいです。
寝ている人の起き上がりの補助、布団の上からの立ち上がりの補助などは、足腰に大きな負担がかかるものです。
ベッドであれば背もたれを起こした状態で座ることができますが、布団ではそれもできません。
座っていたい時、横になりたい時には、その都度布団⇔椅子間の移動が必要です。
その② 対象者が立ち上がりにくい
身体機能が弱ってしまい足腰が弱くなってくると、布団から立ち上がる動作が難しくなります。
布団から立ち上がるためには、膝や腰を曲げる、足で踏ん張る、手を使って体を支えるなどという動作が必要なのですが、高齢になるとただでさえそう言った動作が大変になるものです。
要介護状態になった人にとってはより難しいと言えるでしょう。
その③ 寝具が湿りやすい
布団は畳や床に直接敷くため、体の熱による湿気がこもります。
人は寝ている間にコップ一杯の汗をかくといわれ、熱と湿気により一晩でかなり湿ってしまうものです。
介護が必要になると、布団の上で過ごす時間が長くなりますので、布団を干す、布団を乾かすことが難しくなるという問題があります。
まとめ
介護が必要になると、介護ベッドを利用する人も多いです。
しかし誰もが介護ベッドが必要かと言うとそうではなく、使い慣れた布団のまま介護生活を送る人もいます。
介護ベッドにも布団にもメリットデメリットがあり、介護される人の身体状況や生活習慣に合わせて選ぶことが大切です。