介護保険制度での介護サービスを受けるためには、介護状態の認定審査を受ける必要があります。
この認定審査のプロセスの中のキーワードの一つが、「要介護認定等基準時間」です。
「要介護認定等基準時間」とは何か?これを知ることで、わかりにくい要介護度認定プロセスも理解しやすくなります。
今回は、「要介護度認定等基準時間」について、認定審査のプロセスと合わせて解説していきます。
要介護認定等基準時間とは?
介護保険制度では、高齢者の身体状態に応じた様々な介護サービスを受けることができます。
介護サービスを受けるためには、要支援または要介護の認定を受ける必要があり、この認定調査のプロセスの中で、大きな基準の一つとされるものが「要介護認定等基準時間」です。
要介護認定審査のプロセス
要介護認定を受けるためには、市区町村の介護認定審査会による認定審査をうけるのですが、これには一次審査と二次審査があります。
介護の必要度合いの判定は全国公平に行う必要があり、一次審査は調査票の内容を元にコンピューターで行われます。
その結果を元に、さらに特記されるべき事項などを鑑み、専門家による介護認定審査会の調査により二次審査が行われます。
その①一次審査
一次審査は、以下の情報に基づき、コンピューターによる審査です。
約3500人の高齢者のデータを元に、介護にかかる時間の予測も計算します。
- 市区町村認定調査員による心身症状に係る聞き取り調査
- 疾病、負傷の状態が記された主治医意見書
その②二次審査
二次審査は、以下の情報を基に、保険、医療、福祉など専門家による介護認定審査会が審査します。
- 一次審査の結果
- 主治医意見書
「要介護認定等基準時間」は、一次審査の際にコンピューターにより計算されます。
内容には5つの分類項目があり、それぞれの項目についてどのくらい介助の時間が必要か?がはじきだされます。
<要介護認定等基準時間の5項目>
- 直接的生活介助(入浴・排泄・食事などの介護)
- 関節生活介助(洗濯、掃除などの家事にかかわる介助)
- 問題行動関連行為(徘徊などによる探索、問題ごとの後始末にかかる行為)
- 機能訓練関連行為(歩行、日常生活の訓練など)
- 医療関連行為(輸液の管理等の診療補助)
要介護認定等基準時間と要介護状態区分の関係は?
介護保険サービスを受けるときに使う「要支援1」「要介護2」などという数字、これは一般的に「要介護度」と呼ばれることが多いのですが、正式には「要介護状態区分」といいます。
それぞれの「要介護状態区分」には、対応する「介護にかかる時間」が定められています。
認定審査の一次審査で計算された「要介護認定等基準時間」に認知症加算を足した時間から、要支援・要介護状態を決定していきます。
近年は高齢者、要介護者が急増しており、認定基準が厳しくなりつつあるといわれています。
<要介護認定等基準時間の分類>
- 要支援1:要介護認定等基準時間が 25分以上32分未満
- 要支援2:要介護認定等基準時間が、32分以上50分未満
- 要介護1:要介護認定等基準時間が、32分以上50分未満
- 要介護2:要介護認定等機運時間が、50分以上70分未満
- 要介護3:要介護認定等基準時間が、70分以上90分未満
- 要介護4:要介護認定等機運時間が、90分以上110分未満
- 要介護5:要介護認定等基準時間が、110分以上
<各要介護状態区分度の心身状態の例>
要介護状態区分
心身状態の例
- 要支援1
- 要支援2
- 要介護1
- 要介護2
- 要介護3
- 要介護4
- 要介護5
- 非該当(自立)
日常生活の能力は基本的にあるが、入浴など一部介助が必要。介護予防サービスにより機能が維持または改善する可能性が高い状態など。
食事や排せつなどほとんど自分でできるが、時々介助が必要な場合がある。
立ち上がり等に不安定さがみられる。重い認知症がなく心身状態が安定しており適切な介護予防サービスの利用により、状態の維持や改善が見込まれる状態など。
食事や排せつなどほとんど自分でできるが、時々介助が必要な場合がある。
立ち上がり等に不安定さがみられる。
心身状態が安定していないか、認知症等により部分的な介護を要する状態など。
食事や排せつに介助が必要なことがあり、身の回りの世話全般に介助が必要。
立ち上がりや歩行に支えが必要など。
排せつや身の回りの世話、立ち上がり等が自分でできない。
歩行が自分でできないことがあるなど。
排せつや身の回りの世話、立ち上がり等がほとんどできない。
歩行が自分でできない。問題行動や全般的な理解の低下がみられることがあるなど。
食事や排せつ、身の回りの世話、立ち上がりや歩行等がほとんどできない。
問題行動や全般的な理解の低下がみられることがあるなど。
歩行や立ち上がりなど、日常生活の基本動作を自分で行うことができ、クスリの内服や電話の利用などの手段的日常生活動作を行う能力もある状態。
介護保険サービスは利用できないが、市町村が行う保健・福祉サービス等の利用が可能な場合がある。
(参考) リジョブ https://relax-job.com/contents_list/20023
まとめ
介護サービスを受けるときに、本人に合った要介護度を計算するための一つの目安が「要介護認定等基準時間」です。
本人の心身状態を見て行われる判定調査においてコンピューターではじきだされ、全国公平な審査が行われるよう工夫されています。