特別擁護老人ホームは、原則として要介護3以上の方が対象です。
それでは、一人暮らしで要介護2のお年寄はどうなってしまうのでしょうか。
実はこのような方のために、特例が設けられています。
一定の条件を満たしていれば、介護1や2でも特別擁護老人ホームへ入所するチャンスがあります。
今回は、特別擁護老人ホームの特例入所について、詳しく説明します。
特養の受入れが原則要介護度3以上になった背景
特別擁護老人ホームは社会福祉法人により運営されており、有料老人ホームなどと比べて少ない負担で長期間入居できる老人ホームです。
そのため、申込者が多く入居までの待機機関が長いことが問題となっていました。
2014年度には、特養の待機者数は全国に約52万人にもなり、場合によっては数年待ちという状態だったのです。
これは当時、特養の入居申し込みの条件が、要介護度1~5とされていたことにあります。
比較的介護度が低い人でも入居することができたため、入居希望者が溢れていたという背景があります。
これが問題視され、2015年に制度の改正が行われました。
それまでの入居介護者が介護度1~5であったところを、「原則要介護3以上」し、待機期間の短縮と介護度の高い人が入所しやすい制度をめざしたのです。
要介護度1や要介護度2の人が特養を利用する方法
特養の入所申し込み条件が、「原則要介護3以上」となりましたが、要介護1と2の人が絶対に入所できないということではありません。
要介護1と2の人が特養に入所したい時には、「特例入所」という方法があります。
その① 特例入所という方法
特養の特例入所は、原則として要介護1と2の人の入所は認められていないものの、やむを得ない場合には入所を認めるという制度です。
その② 特例入所に当てはまる条件
認知症であるものであって、日常生活に支障をきたすような症状、行動、意思疎通の困難さが頻繁にみられる。
知的障害・精神障害などを伴い、日常生活に支障をきたすような症状、行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられる。
家族、その他による深刻な虐待が疑われるなどにより、心身の安全、安心の確保が困難な状態である。
単身世帯である、同居家族が高齢または病弱であるなどにより、家族などによる支援が期待できず、かつ地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分である。
その③ 特例入所の申請方法
特例入所の申請をしたいときは、希望する施設へ入所申込書を提出します。
これを受けて、施設側で入所調整委員会などを通して審査を行い、「やむを得ない事情」とする条件に合致するかどうかを判定します。
市区町村の介護保険課など担当部署へも連絡・相談されます。
条件に合い入所可能と判断されると本人にその旨が連絡されるとともに、入所の優先順位などが決められていきます。
希望者が多い場合は、申し込んだ順に入所が決まります。
ただし、緊急性が高いと認められた方を優先させるケースもあり、入所までの待期期間が長くなることもあります。
申し込みを行う前にあらかじめ施設に相談しておくことをおすすめします。
要支援で特養は利用できるのか?
特養は、原則として要介護度3以上、特例として要介護度1と2の人も受け入れます。
しかしながら、要支援の方は利用することができません。
入所している途中で心身状態がよくなり要支援になった場合には、退所となります。
まとめ
特別擁護老人ホームは、要介護度3以上の方が対象です。
しかし、事情でどうしても在宅介護ができないという人など、特別なケースでは要介護1と2の方も入所可能な場合があります。
まずは、施設に連絡し相談してみましょう。