多系統萎縮症は、国指定の難病です。
原因やその治療法などがわかっておらず、患者さんとそのご家族の不安と苦しみは、計り知れないものがあるでしょう。
そのような中、同じ病気に苦しみながらも懸命に前を向いてがんばる患者さんとご家族が、介護ブログを公開しています。
当事者しか知りえない情報交換の場ともなりますので、ぜひご覧ください。
多系統萎縮症(たけいとういしゅくしょう)について
その① 多系統萎縮症の種類は3つ
多系統萎縮症(multiple system atrophy)は、略して MSAと呼ばれます。
MSAは、その病変症状により、3つの種類にわけられています。
これは、脳神経のどの部位が障害を受けるかによるものです。
MSA:自律神経障害⇒脊髄に障害を受けている
MSA-P:パーキンソン症状目立つタイプ⇒大脳の一部である線条体が障害を受けている
MSA-C:小脳性運動失調が目立つタイプ⇒小脳が障害を受けている
その② 多系統萎縮症の原因
多系萎縮症の主な原因は、脳内に蓄積したαシヌクレインという異常構造物です。
これにより、小脳、脳幹、脊髄が障害を受けることから病気が発症すると言われています。
その③ 多系統萎縮症の症状
多系統萎縮症の症状は幅広いのですが、大きく分けて、3つの症状があります。
① 自律神経障害
多系統萎縮症では、自律神経症状が先行します。
尿失禁、頻尿などの排尿障害、起立性低血圧(立ち眩み)を中心に、発汗低下、体温調節障害などがおこります。
排尿障害は、進行すると残尿や尿が出せなくなる尿閉、ひいては腎盂腎炎の原因ともなるため注意が必要です。
② パーキンソン症状
パーキンソン症状は、ふるえ、動作緩慢、固縮(四肢や体幹の固さ)、発生異常など、大脳や脳幹が障害を受けて発生する症状です。手指が不規則に細かく震える、歩幅が小さくなる、動作が遅くなる、転倒しやすくなる、表情も乏しくなるという症状がみられます。
③小脳性運動失調
小脳が障害を受けると、歩行障害や構語障害がおこります。
体のバランスをとることが難しく、歩行時に腰の位置が定まらずゆらゆらと揺れたり、足を左右に広げて歩くようになります。
進行すると両足を揃えて立つことも困難です。
構語障害によりろれつが回らない、音と音がつながってしまうなどの症状がみられます。
その④ 多系統萎縮症の検査と診断
自律神経症状、パーキンソン症状、小脳性運動失調の3つがみられるときには、多系統萎縮症の可能性が高いと考えられ、鑑別検査をします。
検査は、起立テスト、残尿測定、膀胱内圧測定、パーキンソン病と鑑別検査、脳MRIを行います。
その⑤ 多系統萎縮症の治療
多系統萎縮症には、確かな治療薬は確立されていません。
症状を緩和する対症療法や合併症に対する治療を行います。
多系統萎縮症の人気介護ブログ
その① 『多系統萎縮症の旦那の介護生活』
2011の発症から現在まで、多系統萎縮症の症状、介護の形、家族の形についてつづられています。
その② 『多系統萎縮症とのおつきあい』
筆者のご主人が多系統萎縮症です。
症状発症からその進行に合わせて、夫婦のきずな、医療、介護、生活、金銭問題など、より良い方法を模索する様子が伝わってきます。
https://ameblo.jp/chitamasute/
その③ 『多系統萎縮症の夫と共に』
2009年にご主人が発症。病気の進行状況、介護、日々の出来事がつづられています。
夫に寄り添う妻の想いが、その文面に表現されています。
その④ 『多系統萎縮症の介護日記』
多系統萎縮症の奥様の介護日記です。
生きる喜びを感じる奥様のため「この先待ち構える危険とその対処法を知る」をテーマに、情報交換をしています。
https://plaza.rakuten.co.jp/syuichi6780/
まとめ
多系統萎縮症は、原因も治療法もわかっていない難病です。
この病に直面した本人はもちろん、ご家族の不安と苦しみは計り知れません。
同じ病と闘いながらも生きる喜びを感じる方々とそのご家族のブログは、情報交換の場となるとともに、お互いに気持ちを理解しあうことで心休まるひと時を提供してくれるでしょう。