起き上がりは、身体の機能が弱った高齢者にとって大変な動作で、かつ介助する方にとっても大きな労力を必要とします。
一方で、起き上がりはベッド離れのきっかけとなり、寝たきり防止につながることから、要介護度を上げないためにも重要な動作です。
起き上がり方法と流れを頭に入れ、介助する人、介助される人双方にとってスムーズな介助を行いましょう。
ベッドからの起き上がり方法と流れ
その① 対象者の膝を立てる
あおむけの状態で、膝を立てます。膝を立てることで、寝返りがしやすくなります。
その② 対象者を横向きにする
対象者の肩(肩甲骨)と骨盤横辺り(介助者の反対側)に手を当て、介助者側へ横向きにします。
まず顔を横に向け、上半身(肩甲骨)⇒下半身(骨盤横、大腿部)の順で手前に引くように動かしていきます。
この時、対象者が腕を組むと、介助がしやすいです。
横向きにしないで起こすことは、介助者の腕や腰に大きな負担となりますので注意が必要です。
その③ 足をベッドから下ろす
身体は寝かせたまま、腕を対象者の首の下に入れます。
腕の内側全体で側頭部を、手のひらで背中を支えます。
もう一方の手で両膝を抱えるようにもち、両足をベッドからおろします。
その④ 身体を手前に引いて起こす
対象者の上半身を起こします。
この時、お尻を軸にして、頭が弧を描くようなイメージでゆっくり引き起こします。
その⑤ 身体を安定させる
起き上がってすぐは転倒する可能性があります。
しばらくの間手を添えて、身体が安定するまで待ちます。
ベッドから起き上がり介助をする際の留意点
その① 起立性低血圧に注意する
起立性低血圧は、立ち眩みのことです。
急に起き上がったり立ち上がった時、血圧が低下し立ち眩みを引き起こし、転倒の危険性があります。
ベッドで横になる時間が長い要介護者は、急に起き上がると危険を伴いますので、ゆっくりとした動きで、安全を確保しましょう。
その② ボディメカ二クスを意識する
介助する側にも、介助される側も負担を感じさせないために、ボディメカニクスを意識しましょう。
身体の自然な動きを理解し、それに沿った介助をすることで、小さな力で介助することができます。
- 介助される人の身体を小さくする
- 介助される人の顔の向きを、動く方向へ向ける
- 介助される人の重心の高さに合わせて、密着して介助する
- 支持基底面を意識する
その③ 安全への配慮を十分にする
介助される人の身体の状態をよく理解しておきます。
動かしにくい部分、痛みのある部分などがないか、介助を始める前に声をかけて確認しましょう。
起き上がりの動作は転倒に繋がりやすいので、ゆっくりと慎重に行います。
対象者の首だけを支えて介助をすると、首に負担がかかります。
首は体の中でも弱い部分のため、必ず側頭部から背中に腕を当てて介助をします。
まとめ
起き上がりは、寝たきり防止にもつながる大切な介助です。
一人で起き上がりができない要介護者ができるだけベッドから離れた生活をするきっかけです。
介護者にとって体力的に負担の大きな介助ではありますが、コツを学び上手に行うことで、双方にとってスムーズな介助を行うことができます。