何事にも目標を持つことは大切なことです。
小さな目標を一つ一つ達成することが、大きな目標達成に繋がります。
介護職に就く人も、将来こうありたいという姿を思い描き、それを目標に日々努力を重ねているのではないでしょうか。
一方で、毎日の業務に追われ明確な目標を立てることが難しいということも。
そこで今回は、介護技術を向上させる目標設定とキャリアパスについて、説明していきます。
介護人材のキャリアパスについて
高齢者の人口増加に伴い、介護職の需要は右肩上がりです。
これから介護職を目指そうという若者はもちろん、すでに介護業界で働いている人にとっても、将来どのようキャリアを積むことができるのかは、興味あるテーマではないでしょうか。
そこで、まずは介護職のキャリアパスについて理解を深めてみましょう。
厚生労働省では、将来懸念される介護人材の不足に対応するため、キャリアパス制度を導入しました。
これには、
- 介護士の処遇改善により人材を確保する
- 各事業所が人材を確保し、さらにその定着を図る
- 介護職というキャリアの中で、キャリアアップを可能とし、モチベーションを上げる
という目的があります。
キャリアパスは、各事業所がその規模や形態、目指す方向性、求める人材等に応じて、独自の物を作成します。
これは、その事業所の職員が、将来どの職位や役職を目指し、そのために何の資格を取得すべきか、または自分がどのように経歴を積んでいくかの道しるべとなるものです。
事業所側からしても、中長期的な事業計画を立てる上で、職員が身につける必要のある経験、能力を明確にすることができます。
介護福祉士の役割や期待されること
介護職のキャリアパスの中で、注目されている資格が「介護福祉士」です。
厚生労働省は、一定のキャリアを積んだ「介護福祉士」を介護リーダーに配置する方針を決めました。
介護リーダーは、グループやユニットでケアする介護現場におけるリーダーです。
グループ内介護スタッフのまとめ役で、介護の知識・技術はもちろん、人間関係を円滑にするヒューマンスキルも欠かせません。
また、認知症患者の増加、世帯構成の変化、制度改正、意識の変化など日々多様化するニーズへの柔軟な対応が求められます。
現場とマネジメントの中間に位置する介護リーダー=介護福祉士。介護・福祉の専門家であり、実際に介護現場で働き、チームをまとめ、マネジメントもするという、高度な技術を求められる資格です。
そして、介護職のキャリアパスの中で、非常に重要な位置づけであると言えます。
施設など事業所におけるキャリアパス導入の手順
① 組織体制の確立
指揮命令、責任の所在を明確にし、情報を確実に共有できるよう、組織体制を確立します。組織図の作成が効果的です。
② 職位階層の設定
組織図に沿って、一般職、主任、管理職などの職位階層を設定。人数が多い一般職は、初級、中級、上級など細分化します。
③ 役割と職務内容の設定
各階層ごと、役割、職務内容を設定します。
④ 能力・研修・資格などの設定
各階層ごと、求められる能力を設定します。併せて、業務上必要な研修・資格を設定します。
⑤ 賃金テーブルの設定
キャリアと能力に応じた各階層の賃金テーブルを作成します。
人事評価制度があればリンクさせるとよいでしょう。
目標設定と取り組みにはPDCAサイクル が重要
PDCAサイクルとは、ビジネス・企業で有効的に使われている手法です。
Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(評価)⇒Action(改善)
これを繰り返すことにより、生産・品質管理など、様々な管理業務を継続的に改善していきます。
PDCAサイクルは、ビジネスだけでなく個人の目標や生活習慣の改善にも非常に有効です。
P:自分の介護技術向上を阻んでいる問題を探し、それを克服する計画を立てます。
D:計画を実行するにあたり、理想的な結果がでそうな方法を複数実行し、テストします。
C:定期的に進捗状況を確認し、状況に応じて行動を調整し、取り組みの結果を検討します。
A:試した方法の内、効果のないものを中断します。
介護スタッフが介護技術を向上させる目標設定
その① 自分が目指したい方向性を決定する
キャリアを積んでいくにあたり、自分はどこを目指すのか?を決めていきます。
- 将来相談員になりたい
- 地域に貢献するケアマネージャーになりたい
- 介護現場のリーダーとしてチームを引っ張りたい
など、キャリアパスを参考に、長期目標を立ててみましょう。
その② 長期目標と短期目標を設定する
大まかな方向性を決めたものの、余りにも漠然としていると目標がブレがちです。
目標をたてたものの、その達成が3年後、5年後、もしくはそれ以上先となると、意識の継続が難しいもの。
そこで、短期、中期目標を設定することをおすすめします。
数日、一週間、一か月、半年、一年と、段階的に目標を決め、達成していくことで、最終的に大きな目標へ繋げていきます。
その③ 実施し自己評価を行なう
目標を設定しそれを実行したら、自己評価を行います。
自分の行動や作業が目標を達成したか、振り返って見直してみます。
達成できなかったのなら、それはなぜか?次はどうしたら改善できるか?まで考察します。
その④ 再度目標設定し実施する
自己評価に沿って、新たな目標を設定し実行します。
これを繰り返し、一つ一つの小さな目標をクリアしていくことで、最終的な目標達成となるでしょう。
まとめ
介護職の中でキャリアアップを可能とするため、キャリアパス制度が導入されました。
これを参考に将来の方向性を見極め、それに向かった目標を掲げてみてはいかがでしょうか。