永年親しんできた畳に布団の生活。
足腰が弱っても「寝るときは布団がいい」という高齢の方も少なくありません。
ただ、布団はベッドのように高さ調整ができないため、立ち上がりが大変な面がありますよね。
この記事では、床からの立ち上がり介助について説明します。
コツをつかんだ介助をすることで、スムーズに立ち上がることができますので、ぜひ参考にしてください。
床から立ち上がる想定場面は在宅介護に多い
介護施設ではベッドが使われていますが、長年慣れ親しんだ習慣から、自宅では布団という高齢者は多いものです。
布団の良さはいろいろあるものの、足腰が弱ってしまうと布団から立ち上がることはとても大変。どうしても立ち上がり介助が必要になってきます。
また、思うように身体を動かすことが出来ない方が、ベッドや椅子に座っている間に床へずり落ちてしまったということも、介護の現場ではありがちで、そのような場合も立ち上がり介助が必要です。
これらは、介護施設ではなく在宅介護に多く見られるケースなのですが、床に座って動けないでいる人を立たせるということは、体力的に容易ではありません。
そこで、ご家族の方も、立ち上がり介助の方法を学ぶことをおすすめします。
立ち上がり介助の方法を身につければ、要介護者の安全と、ご自身の健康を守ることができますよ。
床からの立ち上がりの介護方法
その① 体操座りのように姿勢にする
床に足を投げ出した状態で座っている人を引っ張り上げても、立ち上がることはできません。
いきなり立ち上がらせるのではなく、まず、膝を曲げて体育座りの状態になってもらいましょう。
この時、片足をすこし前に出します。
両腕は、胸の前で組んでもらいましょう。
その② 介護者は対象者の後ろに回り両腕を差し込む
介助する人は対象者の後ろにまわり、対象者の脇から両腕を差し込み、対象者の腕をつかみます。
その③ 介助者と対象者はそのまま前に体重移動する
今、対象者の体重はおしりにかかっていて、介助者の重心も後ろよりにありますので、これを前方へ移動していきます。
対象者が立ち上がりやすい姿勢へと誘導するようなつもりで、体重を前にかけます。
対象者は自然に前かがみのような姿勢になり、おしりが床から浮いてきます。
前かがみの姿勢になると、自分の力で踏ん張りやすくなります。
その④ やや前方に力をいれ立ち上がるように介護する
対象者のおしりが浮いてきたら、後ろから斜め上向きに押し出すように介助します。
このとき、介助者は大きく足を開いて、安定した体勢をとります。
立ち上がったら、対象者の立位が安定したかどうか確認してから、離れましょう
床からの立ち上がりを介護する場合の注意点
その① ボディメカ二クスを活用する
床に座っている人を持ち上げようと思うと力任せになってしまい、介助者にとって肉体的負担が大きいです。
そこで、ボディメカニクスを活用し、小さな力でらくに介助ができるコツをつかみましょう。
- 両足を大きく開き、重心を下げて安定した体勢を取ります。
- 対象者に近づき、力を入れやすくします。
- 腕で持ち上げるのではなく、全身を使って体重移動をします。
- てこの原理を使います。
その② 可能な範囲で本人にも下肢に力を入れてもらう
対象者の身体状態にもよりますが、自分で足に力を入れることができる場合は、自分でもできるだけ足を踏ん張ってもらいましょう。
そうすることで、無理な力で引っ張り上げることなく、自然な流れで立ち上がることができます。
介助者の肉体的負担が軽減されるうえ、対象者本人の能力維持に繋がります。
その③ 最大の注意点は安全への配慮
立ち上がり介助は、床面から一気に不安定な立位までもっていくことから、安全性の配慮がとても大切です。
勢いがつきすぎると、立ち上がった瞬間にぐらつき、転倒の危険性もあります。
介助者がしっかりと安定した体勢を取り、ぐらつきや転倒が起きないよう、最大限の注意を払いましょう。
足元を整理し、滑りやすいもの、つまづきやすいものがあれば移動しておきましょう。
まとめ
高齢者の中には、足腰が弱くなっても慣れ親しんだ布団で眠りたいという人が少なくありません。
布団からの立ち上がりに介助が必要なときには、ボディメカニクスの活用をおすすめします。
立ち上がる高齢者の方にとっても、介助する方にとっても、負担が少なく安全に立ち上がることができますよ。