転居をしたときや65歳を迎えたとき、介護保険証が郵送されてくるはずなのに、なぜか届かないというケースがあります。
介護保険証は介護保険サービスの利用だけでなく、銀行や保険の本人確認や施設への入所申し込みなど、様々な場面で必要になります。
いざ必要になったときに手元にあるはずの介護保険証がなく、あわててその所在を探すことがないようにしたいものです。
今回は介護保険証が届かないときの対処方法について解説していきます。
介護保険証が届かず、頭を悩ませている方のご参考になれば幸いです。
介護保険証の重要性
原則的に介護保険証は、介護保険サービスを利用するときに必要になります。
しかし現在介護保険サービスの利用予定がないとしても、介護保険証を必要とする場面は多く存在します。
まずは介護保険証の重要性を確認するところからはじめましょう。
その① 一人にひとつしかない
介護保険証は一人にひとつしか発行されません。
医療保険証やパスポートのように、複数枚の介護保険証を所持できない仕組みです。
もし介護保険証が届かなかったり、紛失してしまったりした場合には、経済的な弊害が生じてしまいます。
具体的には介護保険サービスの利用料金の、介護保険負担分が10割となってしまうのです。
デイサービスの例ですと、1割負担と10割負担では、1カ月の利用料金は以下の通りとなります。
【要介護1の方が週3で1カ月間(計12回)、デイサービスを利用したときの料金例】
1割負担:674円(1回の料金)×12回=8,088円
10割負担:6,740円(1回の料金)×12回=80,880円
※各種加算、昼食代等の自費分は除く
上記の例では1割負担であれば約8千円の利用料金が、介護保険証がないと約8万円になってしまうことが確認できます。
介護保険証がないと事業所によっては、介護保険サービスの利用を断られるケースが存在します。
将来、介護保険サービスを予定していない方であっても、急病やケガを理由に、介護保険サービスを利用しなければならなくなる可能性があります。
介護保険証は替えが利く書類ではありませんので、どこにしまっているかを日頃から確認しておきましょう。
その② 自分だけが必要なわけではない
介護保険証は自分だけが必要であるわけではありません。
本人確認書類の1つとして、介護保険証が挙げられます。
銀行や保険の手続きで介護保険証が必要になるケースがあるのです。
本人確認書類は介護保険証以外でも替えが利きますが、可能性として自分だけが必要な書類ではないということを胸に留めておきましょう。
その③ 様々な場面で確認を受ける
様々な場面で介護保険証の確認を受けることがあります。
先ほど紹介した介護保険サービスを利用するとき以外にも、介護施設への入所申し込みをする際に、介護保険証の確認が求められます。
また介護施設への入所が内定した際にも、施設の担当者によって介護保険証の確認が必要な場合があります。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や、介護老人保健施設(老健)などの介護施設へは、申し込み後に短期間で入所できるわけではありません。
特に特別養護老人ホームは入所までに、年単位の期間が必要なことも珍しくないのです。
介護施設の利用を計画しているのであれば、早い入所申し込み手続きが望まれます。
介護保険証が届かないため、介護施設への入所申し込みが遅れるのは、可能な限り避けたいところです。
介護保険証が届かなければ連絡を
介護保険証が届かなければ、市区町村の役場へ連絡することを強くおすすめします。
連絡先は介護保険を担当する課です。
市区町村によって課の名称が異なりますので、役場のホームページや電話にて連絡先を確認しましょう。
これまで紹介して来たように、介護保険証が届かないと様々な弊害が生じますので、可能な限り早急な問い合わせを心がけましょう。
介護保険証が届くタイミングは65歳を迎えたときや、市区町村外へ転居したときです。
また要介護認定の申請を行ったときにも、後日介護保険証が郵送にて送られてきます。
特に注意しなければならないのが、要支援・要介護認定を受けている方が、市区町村外へ転居したときです。
市区町村外への転居をしたときには、転出元の市区町村へ介護保険証を返却することになります。
介護保険証の返却時に、かわりに介護保険受給資格証明書という書類が発行されます。
引越しが完了後、転入先の市区町村へ介護保険受給資格証明書を添えて、必要手続きを行うと、後日新しい介護保険証が郵送されてきます。
この転入先での手続きは住民票移動日より、14日以内に行う必要があります。
仮に必要手続きを行わずに15日を超えてしまった場合、介護保険サービスを利用するには、再び新規で要介護認定の申請をしなければなりません。
要介護認定に際して必要な書類の記載や、認定調査をもう一度行うことになります。
スムーズな介護保険サービスの利用のためにも、介護保険証が届かないのであれば、必ず市区町村の役場へ確認しましょう。
次の項目では、介護保険証が届かない場合に考えられる理由について解説していきます。
介護保険証が届かない場合に考えられる理由
介護保険証が届かない場合に考えられる理由は、大きく分けて2つになります。
1つ目が市区町村の事務処理ミスです。
介護保険証の郵送には人の手がかかるため、ヒューマンエラーによるミスは避けては通れません。
何らかの事務処理ミスにより、介護保険証が届かない状況におちいってしまっているのです。
2つ目が郵送先の記載ミスです。
宛先不在・転居先不在で郵送することが出来ず、戻ってきてしまうケースが見られると、ホームページに記載された自治体があります。
【参考サイト:小田原市、介護保険Q&A 保険証が届かないのですが…。】
重要なことは介護保険証が届かないことについて、責任の所在を明らかにすることではありません。
大切なのは可能な限り早急に介護保険証を手に入れるには、どのような手続きが必要なのかを確認することです。
上記のいずれの場合でも役所へ問い合わせをすれば、介護保険証が届かない理由を明らかにできますので、忘れずに役所への確認を行いたいところです。
まとめ
介護保険証の重要性や届かない理由、届かなかったときに行う連絡先を解説してきました。
介護保険証が届かないときに関して、理解が深められたのではないでしょうか。
介護保険証が届かない時の対処方法についてまとめると
- 介護保険証は一人につき1枚しか発行されず、健康保険証やパスポートと同じく、替えが利かない書類である
- 介護保険証は介護保険サービスを利用するときや、介護施設への入所申し込みをする際に必要になる
- 介護保険証が届かないときは、役所の事務処理ミスや郵送先の記載ミスが考えられ、役所の担当課へ確認するとよい
ということがあります。
介護保険サービスの利用を考えてなくとも、将来様々な理由によって、介護保険サービスの利用を迫られる可能性があります。
また施設入所や本人確認書類としても、介護保険証が必要になるケースが考えられますので、介護保険証の所在を明らかにしておくことを強くおすすめします。
介護保険証が必要になったときにあわてて探すことがないよう、65歳を迎えたときや他の市区町村へ転居したときは、介護保険証が手元に届いているか確認しましょう。