介護療養病床にかわる施設として、2018年4月より介護医療院が創設されました。
老人介護福祉施設(老健)や老人介護保険施設(老健)と同様に、介護医療院は公的な介護保険施設の1つです。
今回は介護医療院にスポットを当てて、料金の目安やおむつ代の取り扱いに関して、解説していきます。
介護医療院について興味がある方は、ご参考になさってください。
介護医療院の利用対象者について
利用料金の解説に移る前に、介護医療院の利用対象者について理解を深めましょう。
介護医療院の利用対象者は、状態が安定しているものの、医療的なケアを必要とする要介護者です。
介護医療院で対応可能な医療ケアは、喀痰吸引や経管栄養・胃ろうの管理、インスリン注射などが挙げられます。
また介護医療院は日常生活に必要な介護や医療的なケアだけでなく、看取りやターミナルケアに対応している特徴があります。
介護医療院は医療的なケアや介護の提供を行うだけでなく、生活施設として位置づけられています。
介護医療院の対象者について理解が深められたところで、次の項目では利用料金の目安に関して解説していきます。
介護医療院の料金の目安
介護医療院の料金の目安は、8万円から14万円となります。
※利用料金は参考サイトをもとに、筆者が概算。
【参考サイト:介護医療院 とうご、料金のご案内】
http://www.sayuukai.or.jp/tougo/ryoukin.html
介護医療院の料金は以下の構成により成り立っています。
【介護医療院の料金構成】
施設サービス費は介護保険サービスを利用する上で発生する、基本料金のようなものです。
介護医療院のみならず、介護保険サービスを利用すれば、原則的に発生する料金が施設サービス費です。
施設の種類や居室のタイプによって、1日あたりの施設サービス費が異なります。
介護医療院はⅠ型とⅡ型の2種類に大別されます。
Ⅰ型は従来の介護療養型病床に相当し、Ⅱ型は老人保健施設に相当するサービスの提供が行われます。
Ⅰ型とⅡ型を比較すると、Ⅰ型の方が手厚い医療的なケアを必要としている患者向けである、という認識で問題ないでしょう。
さらに医療処置を受けた人数・重症度の受け入れの割合によっても、施設サービス費が変化します。
各種加算は、職員の配置状況や提供しているサービスによって発生する料金です。
介護医療院の加算をいくつか紹介しておきます。
【介護医療院の加算 一例】
【参考サイト:厚生労働省、介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯 31ページ】
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000337651.pdf
施設サービス費、各種加算はともに介護保険の給付対象となる利用料金であり、利用料金の1割から3割を負担します。
それに対して、居住費・食費は利用した分請求され、実費負担することになります。
その他の費用は施設によって取り扱いが異なるため、その他の費用については施設担当者に確認しましょう。
今回はⅠ型の介護医療院(強化型A相当)を例に挙げ、要介護度別に利用料金の目安をご紹介していきます。
【参考サイト:介護医療院 とうご、料金のご案内】
http://www.sayuukai.or.jp/tougo/ryoukin.html
強化型A相当のⅠ型介護医療院は、重症度の割合や医療処置、ターミナルケアの割合が一定割合以上である施設を指します。
今回紹介する料金は目安であるため、利用料金の詳しい金額については、利用予定の施設へ確認することを強くおすすめします。
その① 要介護1の目安
介護医療院を要介護1の方が利用した場合の、料金の目安は以下の通りです。
【要介護1 Ⅰ型介護医療院(強化型A相当) 1カ月の利用料金】
※1 利用者負担段階は4段階
※2 1か月を30日とし、利用料金を計算
上表にある通り、1日当たりの利用料金は、多床室であれば2,813円、個室であれば3,974円となります。
要介護1の方は1カ月では、多床室であれば約8万4千円、個室であれば約12万円の利用料金が発生します。
その② 要介護2の目安
要介護2の方が、介護医療院を利用したときの料金は次の通りです。
【要介護2 Ⅰ型介護医療院(強化型A相当) 1カ月の利用料金】
※1 利用者負担段階は4段階
※2 1か月を30日とし、利用料金を計算
上表から確認できるように、多床室であれば1日当たり2,921円の利用料金が発生します。
対して個室であれば、1日当たりの利用料金は4,082円です。
1カ月間(30日間)利用したとすると、要介護2の方は多床室で約8万8千円、個室であれば約12万2千円が、利用料金の目安となります。
その③ 要介護3の目安
つづいて要介護3の利用料金の目安についてです。
要介護3の方が、介護医療院を利用した時の料金は以下の通りです。
【要介護3 Ⅰ型介護医療院(強化型A相当) 1カ月の利用料金】
※1 利用者負担段階は4段階
※2 1か月を30日とし、利用料金を計算
要介護3の方であれば、1日当たり多床室利用で3,154円、個室利用で4,315円となります。
要介護3の方が1カ月間(30日間)、利用した場合の利用料金の目安は、多床室を利用した場合は約9万5千円、個室を利用した場合は約13万円です。
その④ 要介護4の目安
要介護4の方の料金は以下の通りです。
【要介護4 Ⅰ型介護医療院(強化型A相当) 1カ月の利用料金】
※1 利用者負担段階は4段階
※2 1か月を30日とし、利用料金を計算
要介護4の1日当たりの料金は、多床室であれば3,253円、個室であれば4,414円です。
1カ月(30日)では多床室で約9万8千円、個室で約13万2千円が、介護医療院を利用したときの料金となります。
その⑤ 要介護5の目安
次が要介護5の方の、介護医療院の利用料金となります。
【要介護5 Ⅰ型介護医療院(強化型A相当) 1カ月の利用料金】
※1 利用者負担段階は4段階
※2 1か月を30日とし、利用料金を計算
1日当たりの利用料金は、多床室を利用すれば3,253円、個室を利用すれば4,414円の利用料金が発生します。
1カ月あたりでは、多床室利用で約9万8千円、個室利用で約13万2千円が、利用料金の目安です。
以上が要介護度別の、利用料金の目安についてです。
さいごに介護医療院の利用にあたり、自費となるものに関して解説していきます。
介護医療院の利用にあたり自費となるもの
介護医療院の利用にあたり自費となるものは、原則的に居住費と食費です。
ただし利用者負担段階の第1段階に該当する方が、多床室を利用した場合に限り、居住費が請求されません。
利用者負担段階は市区町村が決定する区分で、収入や預貯金の状況によって、第1段階から第4段階の計4つにわけられます。
第1段階に該当するには生活保護受給者、もしく世帯全員が市区町村税非課税で、老齢福祉年金を受給している方です。
居住費と食費以外の、自費となるその他の費用は、前の項目で紹介したように施設によって取り扱いが異なります。
入所を検討している施設がある場合は、可能な限り居住費と食費以外の、自費となるその他の費用に関して確認しておくことをおすすめします。
施設によって取り扱いが異なるものの、その他の費用に該当するのは、日用品や電気代、クリーニング代などが挙げられます。
なおおむつ代は施設サービス費に含まれるため、その他の費用として請求されることはありません。
しかし利用者の希望により、特定のおむつの利用を希望する場合には、その他の費用が発生する場合があります。
おむつについて強い希望がある方は、入所検討時に確認しておきたいところです。
まとめ
介護医療院の対象者や利用料金、自費扱いになる利用料金に関して解説してきました。
介護医療院について理解が深められたのではないでしょうか。
新施設・介護医療院の料金の目安をまとめると
- 介護医療院は長期療養を必要とする要介護者に、医療的なケアや介護を提供する生活の場としての役割がある
- Ⅰ型介護医療院(強化型A相当)の、1カ月の利用料金の目安は、8万円~14万円である
- 居住費と食費以外の、自費となる利用料金は施設によって扱いが異なる。またおむつ代は施設サービス費に含まれるため、原則的にその他の費用として請求されることはない
ということがあります。
介護医療院に関わらず、介護施設の入所前には多くの情報を手に入れることが望まれます。
介護医療院を利用し始めたが、料金のことで頭を抱えてしまうことがないよう、不明な点や不安に感じることは施設の担当者へ確認しましょう。