介護保険施設にはさまざまな施設がありますが、介護医療院と介護老人保健施設(老健)とのはどのように違うのでしょうか?
この記事では介護医療院と介護老人保健施設との違いについて詳しく解説します。
介護医療院は2種類存在する
介護医療院は2018年4月に新設された施設のことで、廃止された介護療養型医療施設に代わるものです。
介護医療院は長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とする、「医療機能」「介護機能」「生活施設」を備えた介護保険施設です。
介護医療院には「介護医療院Ⅰ型」と「介護医療院Ⅱ型」の2種類が存在します。
以下にこの2種類の介護医療院について説明します。
その① 介護医療院Ⅰ型
介護医療院Ⅰ型は、介護療養病床(療養機能強化型)相当のサービスとなっています。
医療の必要性が比較的高く、容体が急変するリスクがある者を対象としています。
喀痰吸引や経管栄養を中心とした日常的・継続的な医学管理、24時間の看取り・ターミナルケア、当直体制(夜間・休日の対応)またはオンコール体制などに対応しています。
その② 介護医療院Ⅱ型
介護医療院Ⅱ型は、老人保健施設相当以上のサービスとなっています。
医療の必要性は多様ですが、容体は比較的安定した者を対象としています。
多様なニーズに対応する医学的管理、オンコール体制による看取り・ターミナルケアなどに対応しています。
介護医療院のメリットとデメリット
介護医療院にはメリットとデメリットがあります。
以下に介護医療院のメリット、デメリットについて説明します。
その① メリット
介護医療院のメリットとしては、医療機関に近い職員が配置されているため、医師が24時間常駐するところもあり、医療的に安心感が高いところだと言えます。
他の介護施設や老人ホームでは対応が難しい、喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアにも対応できるところも大きなメリットです。
また、長期療養にも対応しており、看取りやターミナルケアも行っているため、最期までいられるということも安心できるポイントです。
その② デメリット
介護医療院のデメリットとしては、介護医療院の居室は完全な個室ではなく、パーティションや家具などで仕切られている場合もあります。
隣の物音が気になる方は注意が必要です。
一般的な老人ホームの個室と比較した場合、プライバシーが完全に守られない部分があります。
また、介護医療院を利用するには、介護保険サービスの利用者負担金だけでなく、食費・居住費がかかります。
入所が長引くとトータルの費用が高額になるという費用面でのデメリットもあります。
介護医療院と老健(介護老人保健施設)の違い
介護医療院は、「要介護状態の高齢者が長期にわたって療養する生活施設」であり、医療的ケアが必要な方など、重度の要介護者にも対応できます。
一方で老健(介護老人保健施設)は、「在宅復帰に向けたリハビリを受ける施設」です。
退院して自宅に戻るときに、自宅での生活が送れるよう集中的にリハビリを行う施設です。
入居期間として想定されているのは3~6ヶ月程で、予定通りのリハビリの成果が出れば退去するということが前提となっています。
介護医療院は医療的ケアが充実した長期療養する施設であり、老健は一定期間のリハビリを受け病院と自宅の橋渡し役の施設であります。
それぞれの施設は目的が大きく違います。
まとめ
この記事では介護医療院と介護老人保健施設との違いについて詳しく解説しました。
以下にこの記事の内容についてまとめます。
- 介護医療院は長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とする、「医療機能」「介護機能」「生活施設」を備えた介護保険施設であり、医療の必要性が比較的高く、容体が急変するリスクがある者を対象とした「介護医療院Ⅰ型」と容体が比較的安定した者を対象とした「介護医療院Ⅱ型」の2種類が存在します。
- 介護医療院のメリットとしては、医療機関に近い職員が配置されているため、医療的に安心感が高く、他の介護施設では対応が難しい医療的ケアにも対応できるところです。また、長期療養にも対応しており、最期までいられるという点もあります。
- 介護医療院のデメリットとしては、介護医療院の居室は完全な個室ではないこともあり、一般的な老人ホームの個室と比較するとプライバシーが完全に守られない部分があります。また、介護医療院は入所が長引くとトータルの費用が高額になるという費用面でのデメリットもあります。
- 介護医療院は「要介護状態の高齢者が長期にわたって療養する生活施設」であり、介護老人保健施設は「在宅復帰に向けたリハビリを受ける施設」であるため、それぞれの施設は目的が大きく違います。
介護医療院、介護老人保健施設どちらにもそれぞれ特徴があり、メリット・デメリットがあります。
自分の親の施設入所を考えている場合、それぞれの特徴を理解し、より自分の目的にあった施設を選ぶことが大切です。
介護医療院はまだまだ新しい施設であり、情報も少ないですが、他の介護保険施設と比較し、選択肢の一つとして考えてみるのも良いでしょう。