介護休業給付金は介護休業中に、賃金の一定割合を受け取ることができる制度です。
介護休業中は原則的に賃金が発生しないため、可能であれば介護休業給付金を活用したいところです。
今回は介護休業給付金の概要や支給期間、支給額について解説していきます。
介護休業給付金に興味がある方はご参考になさってください。
介護休業給付金の概要
まずは介護休業給付金が、どのような制度なのかを解説していきます。
その① 支給対象者
介護休業給付金の対象者は以下の通りです。
【介護休業給付金 受給要件(対象者:無期・有期契約労働者)】
【参考サイト:厚生労働省、介護休業給付】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html
正社員をはじめとした無期契約労働者は、上記の要件を満たせば、介護休業給付金を受給できます。
一方で契約社員や派遣社員などの有期契約労働者は、上記の要件に加え、次の要件も満たす必要があります。
【介護休業給付金 追加要件(対象者:有期契約労働者)】
【参考サイト:厚生労働省、介護休業給付】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html
介護休業給付金の対象者かどうかわからないときは、勤め先や派遣会社の担当者へ確認するとよいでしょう。
以上が介護休業給付金の対象者についてです。
次の項目では、介護休業給付金を受給するために必要となる、介護休業に関して解説していきます。
その② 支給対象となる介護休業
介護休業は、家族に介護が必要だと認められた場合、一定期間の休暇を取得できる制度です。
介護休業で取得できる休暇の日数は、一年度を通し最大で93日間となっており、3回までの分割取得も可能となっています。
介護休業給付金の対象となる介護休業は、以下の通りに定められています。
【介護休業給付金の支給対象となる介護休業】
- 負傷や疾病、心身上の障害が原因となり、2週間以上にわたり常時介護が必要となる、家族の介護をするために取得した休業
- 被保険者が介護休業の初日、および末日とする日を事業主に申し出て、これによって被保険者が実際に取得した休業
【参考サイト:厚生労働省、介護休業給付】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html
なお次の表に該当する家族に、介護が必要であると認められた場合に限り、介護休業を取得することが可能です。
【介護休業の対象家族】
【参考サイト:厚生労働省、介護休業給付】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html
上記の配偶者には、婚姻を提出していないものの、事実上婚姻関係と同様の事情にある者も含みます。
その③ 給付の内容
つづいて介護休業給付金の給付内容に関してです。
介護休業期間を対象とし、原則的に介護休業取得前6カ月間に支払われた、賃金の約7割が介護休業給付金として支給されます。
ただし一部例外が存在し、介護休業中に賃金が発生した場合には、給付金が減額される可能性があるので注意が必要です。
支給額の計算方法や減額の割合については、次の項目で紹介していきます。
その④ 給付金の計算方法
介護休業給付金の計算方法は以下の通りです。
【介護休業給付金 計算方法】
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
休業開始前賃金日額は介護休業を取得する日から、さかのぼって6カ月間に支払われた総賃金を、180で割ることにより算出します。
また介護休業給付金の減額ですが、介護休業中に支払われた賃金が、開始時賃金日額×支給日数に対して、どの程度の割合だったかによって変化します。
介護休業給付金の減額は以下の通りとなっています。
【介護休業給付金 減額】
上表にある通り、介護休業中に支給された賃金が、開始時賃金日額×支給日数に対して、80%以上である場合、介護休業給付金が支給されません。
介護休業中に時間を短縮して出勤する予定の方や、有給手当や介護休業手当が支給される方は、介護休業給付金の減額に注意したいところです。
具体的にいくらくらい介護休業給付金が支給されるかは、のちの項目「3、介護休業給付金の支給額について」でご紹介しますので、そちらを参考になさってください。
介護休業給付金の概要については以上です。
次の項目では、介護休業給付金の支払い期間に関して、注意したいことを解説していきます。
介護休業給付金の支払い期間について
前の項目で解説したように、介護休業給付金の支払い期間は、介護休業を取得した日数となっています。
ただし介護休業中や、介護休業が終了したのちにすぐさま、介護休業給付金が支給されるわけではありません。
というのも介護休業給付金の申請は、介護休業が終了してから行う仕組みとなっているためです。
介護休業給付金は介護休業が終了したのち、しばらくしてから支給されることを頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
介護休業給付金の支払い期間について確認できたところで、次の項目では事例を用い、介護休業給付金の支給額について解説していきます。
介護休業給付金の支払額について
以下の方をモデルケースとして、介護休業給付金の支払額がいくらくらいになるか確認していきましょう。
【介護休業給付金 支払事例】
平均月収:15万円※
※介護休業を取得する日からさかのぼって、6カ月間を対象
介護休業給付金の支給額:月額10.05万円(1カ月を30日換算)
介護休業給付金の計算方法:15万円×6カ月間÷180日=0.5万円(休業開始時賃金日額)
0.5万円×30日×67%=10.05万円
上記のモデルケースからも確認できるように、介護休業開始前6カ月間の平均月収が15万円の方であれば、約10万円が介護休業給付金として支給されます。
【参考サイト:厚生労働省、介護休業給付】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158665.html
介護休業給付金の支給申請方法
さいごに介護休業給付金の支給申請方法について、解説していきます。
原則的に事業主が介護休業給付金の申請を行います。
希望すれば一部の手続きは事業主でなくとも行えますが、用意しなければならない書類が多くあるため、事業主へ申請を任せることをおすすめします。
その① 申請先
介護休業給付金の申請先は、勤め先の会社を管轄しているハローワークです。
介護休業給付金の申請は、2つの手続きを行う必要があります。
【介護休業給付金 必要手続き】
手続き① 受給資格確認
手続き② 支給申請
【参考サイト:東京都福祉保健局、雇用保険:介護休業給付の詳細】
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/chiryou/kouteki_shien/gan_kaigo/kaigo_kyufu.files/kaigo_kyufu.pdf#search='%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BC%91%E6%A5%AD%E7%B5%A6%E4%BB%98%E9%87%91+%E6%94%AF%E7%B5%A6%E9%A1%8D'
手続き①は事業主が行いますが、手続き②に関しては事業主、もしくは被保険者のどちらかが申請手続きを行えます。
また手続き①、②をともに事業主が行う場合、同時申請することになります。
その② 申請書類
介護休業給付金の申請書類は、手続きによって異なります。
次の表にある書類が、各手続きに必要となる書類です。
【介護休業給付金 申請書類】
【参考サイト:ハローワーク、介護休業給付金の支給申請関係手続】
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/kaigokyuugyou.pdf
手元にある書類が、上表のどの書類に該当するか不明なときは、管轄下内のハローワークへ確認することをおすすめします。
まとめ
介護休業給付金の概要や支払い期間、給付金額に関して解説してきました。
介護休業給付金について、理解が深められたのではないでしょうか。
介護休業給付金とはをまとめると
- 介護休業給付金を活用するには、雇用保険の被保険者であることや、介護休業を取得することを満たす必要がある
- 介護休業給付金は介護休業中に、介護休業が始まる前6カ月間に支払われた、平均月収の約7割の給付金が支給される
- 介護休業給付金の申請は、勤め先を管轄しているハローワークへ、原則的に事業主が行う
ということがあります。
誰しも家族に介護が必要になり、働き方を見直さなければならなくなる可能性があります。
介護と就労を両立できるように、介護休業や介護休業給付金などの制度を効果的に活用しましょう。