介護オムツ代は医療費控除の対象であり、必要な手続きを行えばお金が還ってくる可能性があります。
とはいえ無条件にお金が還ってくるわけではありません。
支払った介護オムツ代・医療費の金額、課税所得に挙げられる、医療費控除の適用条件を満たす必要があります。
今回は介護オムツ代と医療費控除の関係性や、医療費控除の方法・必要書類などに関して解説していきます。
介護オムツ代に係わる医療費控除について、興味がある方はご参考になさってください。
そもそも医療費控除とは
はじめに医療費控除とは、どのような制度なのか解説していきます。
医療費控除は支払った医療費が一定額を超える場合、支払った医療費に応じて所得税が差し引かれる(控除される)制度です。
一定額以上の医療費を支払った場合、後日お金が還付される制度が医療費控除であるという、認識で問題ないでしょう。
1月1日から12月31日までの期間を対象とし、翌年の1月1日から5年間に確定申告を行うことが、医療費控除を受けるために必要な手続きです。
基本的に確定申告の期間は、翌年の2月16日から3月15日までですが、医療費控除は当該期間外であっても、5年以内であれば確定申告が行える特徴があります。
医療費控除のなかには介護おむつ代も含まれる
医療費控除の中には、介護オムツ代も含まれます。
ただし6カ月以上寝たきりで、医師の治療を受けており、おむつの使用が必要であると認められる場合に限り、介護オムツ代が医療費控除の対象となります。
また介護オムツ代を医療費控除の対象とするためには、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要になります。
医療費控除に介護オムツ代を含めようと考えている方は、確定申告を行う前に医療機関へ問い合わせを行い、おむつ使用証明書を用意しておくことをおすすめします。
2年目以降に医療費控除に介護オムツ代を含める場合は、「おむつ使用の確認証」などを「おむつ使用証明書」の代わりとすることが可能です。
おむつ使用の確認証を用いて確定申告を行う際には、要介護認定を受けていることが条件となりますので注意しましょう。
おむつ使用の確認証等は、市区町村の介護保険担当課にて手に入れることが出来ます。
【参考サイト:国税庁 寝たきりの者のおむつ代】
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/54.htm
介護オムツ代を含めた医療費控除の対象となる、代表的な費用は以下の通りです。
【医療費控除の対象となる医療費】
【参考サイト:国税庁 医療費控除の対象となる医療費】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
上表に挙げた医療費は、医療費控除の対象となる代表例ですので、医療費控除に該当するかどうかわからない費用については、居住地の税務署へ確認することをおすすめします。
医療控除の対象に関しては以上となります。
次の項目では、具体的な医療費控除の計算方法について確認していきましょう。
医療費控除の計算方法
医療費控除の計算方法は以下の通りです。
【医療費控除の計算式】
実際に支払った費用-(保険金などで補填される金額+10万円※)
※その年の総所得が200万円未満の方は、総所得の5%
なお控除される金額の上限は200万円となっています。
医療費控除の適用を受けるときに注意しなければならないのは、医療費控除の金額が後日還ってくる金額ではない点です。
上記の計算式により導き出された医療費控除額に、所得税率を掛けた金額が還付されます。
所得税率は、課税所得ごとに7段階に設定されています。
一般的な会社勤めをしている方であれば、源泉徴収票に記載された「給与所得控除後の金額-所得控除の合計」より、課税所得を算出することが可能です。
簡単なモデルケースを想定し、医療費控除の適用を受けた場合、具体的にいくらお金が還ってくるか確認しましょう。
【医療費控除のモデルケース】
Aさん(課税所得:300万円) 医療費が35万円、入院給付金が5万円
医療費控除:35万円-(5万円+10万円)=20万円
還付金:20万円×10%(所得税率)=2万円
【参考サイト:国税庁 所得税の税率】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
上記のモデルケースの場合、還付金は2万円となります。
インターネットで「医療費控除 シミュレーション」等のキーワードで検索を行えば、医療費控除の還付金を計算するのに役立つサイトを見つけることが可能です。
医療費控除の還付金を算出する際の参考にするとよいでしょう。
介護おむつ代を医療費控除にする方法と必要書類
さいごに介護おむつ代を医療費控除にする方法と、必要書類に関して解説していきます。
まずは医療費控除の方法についてです。
その① 医療費控除の方法
医療費控除を受けるには、確定申告を行う必要があります。
そして確定申告の方法は2通り存在します。
1つ目がインターネットで必要手続きを行うやり方です。
国税庁のホームページに確定申告に関する項目がありますので、そちらを参考にすることをおすすめします。
【参考書類:国税庁 所得税の確定申告】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm
2つ目が、居住地を管轄している税務署へ直接おもむき、申請書類を提出する方法です。
医療費控除を行う上で必要となる書類は以下の通りです。
【医療費控除の申請 必要書類】
- 確定申告の申請書
- 給与所得の源泉徴収票
- 医療控除の明細書
- 医療保険者から交付された医療通知書
※当該通知書がある場合、③医療控除の明細書は不要
医療控除の明細書は、医療控除の対象となる医療費が記載された領収書を基に作成します。
領収書の添付は必要ないものの、5年間保存しなければなりません。
医療控除の明細書の様式は、税務署からの取り寄せや国税庁のホームページからのダウンロードにより入手できます。
【参考サイト:国税庁 医療費控除の明細書の書き方など】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/iryouhikoujo2.htm
その② 介護おむつ代を医療費控除にする必要書類
前の項目で解説したように、介護オムツ代を医療費控除にするにはおむつ使用証明書、またはおむつ使用の確認証が必要になります。
はじめて介護オムツ代を医療費控除にする際には、おむつ使用証明書が必要になり、2年目以降であればおむつ使用の確認証を、おむつ使用証明書の代わりとすることが可能です。
おむつ使用証明書は医療機関にて、おむつ使用の確認証は自治体の介護保険担当課にて、発行される書類となっています。
おむつ使用証明書や、おむつ使用の確認証について、わからないことは発行機関へ確認するようにしましょう。
まとめ
医療費控除とはどのような制度なのかや、医療費控除の対象、計算方法などを解説してきました。
介護オムツ代に係る医療費控除に関して、理解を深められたのではないでしょうか。
介護おむつ代は医療費控除の対象に!?その方法や必要書類についてをまとめると
- 医療費控除とは医療費が一定額を超える場合、支払った費用に応じた金額が還付される制度である
- 傷病により6カ月以上寝たきりで、医師の治療を受けており、おむつの使用が必要であると認められる場合に限り、介護オムツ代が医療費控除の対象になる
- 確定申告の申請書や医療費控除の明細書、給与所得の源泉徴収票の他に、おむつ使用証明書・おむつ使用の確認証が、介護おむつ代を含めた医療費控除の申請に必要な書類である
ということがあります。
介護おむつ代だけでなく、介護保険サービス代や医療費など、介護を行うには出費がつきものです。
少しでも経済的な負担を軽減できるよう、医療費控除などの制度を積極的に活用しましょう。