配偶者・家族の介護を続けていると、食欲不振や睡眠不足に悩まされるケースが見られます。
これらの症状が長期間続く場合、介護うつを発症している可能性があります。
今回は介護うつの症状や対策方法、相談先を解説していきます。
介護うつについて興味がある方は、参考になさってください。
介護うつの症状(サインを見逃すな!)
介護うつは介護を要因として表れる、うつ症状を指し示す言葉です。
介護うつは正式な病名ではありません。
しかし適切な対応を取らなければ、介護者だけでなく、要介護者にも様々な不利益が発生します。
介護を行うには多くの体力・精神力が必要になり、介護が長期間になると生きるためのエネルギーが不足してしまいます。
その結果、介護うつの症状が見られるようになるのです。
当該症状が2週間以上続く場合には、介護うつである可能性があるため、できるだけ早く治療をはじめとした対策を行うようにしましょう。
介護うつの症状は自分では気づきにくく、気づいたときには症状が悪化している場合もあります。
自分だけでなく周りの家族から見て、介護者に介護うつの症状が見られないかチェックするのが、重要なポイントです。
それでは介護うつの症状を確認していきましょう。
その① 食欲がない
1つ目の症状は食欲がないです。
食事を摂る気分にならないや、好物を食べてもおいしいと感じないなどの症状として表れ、食事量が減少するため体重が減ってしまうケースがあります。
食事を摂れないため、ますます体に栄養が行き渡らなくなり、その結果日々の生活意欲が減少する悪循環に陥ってしまいます。
好物を思い浮かべても、食べたいやおいしいと感じないときには注意が必要です。
その② 眠れない・睡眠が浅い・すぐ目が覚める
2つ目の症状は眠れないや睡眠が浅い、すぐ目が覚めるです。
主に睡眠状態に関する症状となっています。
仕事や家事、介護で疲れているにも関わらず、ゆっくりと眠れていないときには介護うつであることが疑われます。
先ほど紹介した食事と同様に、睡眠状況も介護うつであるかどうかを確認する際の重要な指標となります。
その③ 疲れが取れない
3つ目の症状は疲れが取れないです。
布団に入り横になっても疲れが取れないだけでなく、すぐに疲れを感じてしまうや、何をするにもわずらわしく感じてしまうなども、介護うつの症状として挙げられます。
疲れが緩和されない結果、頭痛や肩こりなどの具体的な症状として表れるケースもあります。
その④ なんとなく落ち着かず不安
4つ目の症状は、なんとなく落ち着かず不安であるです。
仕事や健康状態、経済状況など主な原因が思い当たらないにも係わらず、不安な気持ちが継続するのも、介護うつの症状の1つです。
何らかの原因があり、その結果落ち着きがないのであれば、その原因から精神状態が改善できないか検討してみましょう。
その⑤ 憂鬱な気持ちになる
さいごの症状は憂鬱な気持ちになるです。
趣味や好きなことに興味がなくなるや、以前よりも人と会うのに抵抗感を感じるようになったら、介護うつかもしれません。
ネガティブ思考におちいり、このまま生きていてもしかたないといった、生きる活力が失われてしまいます。
以上が介護うつの症状についてです。
次の項目では介護うつの予防方法に関して解説していきます。
介護うつの予防方法
介護うつの予防方法には、主介護者一人だけでは行えないものもあります。
主介護者だけでなく、家族や親族、介護事業者とともに、必要な対策を行いましょう。
その① 一人で抱え込まない
1つ目の予防方法は一人で抱え込まないです。
介護のプロである介護士ですら、介護にかかわるすべての作業を一人で行うことは不可能となっています。
このことを頭の片隅においておき、一人で介護を行えないからと言って、自分を責めてはいけません。
後の項目で紹介する相談できる人や、窓口を前もって確認しておくことをおすすめします。
介護に関する悩みを一人で抱え込まず、周囲の人々と共有するよう心がけたいところです。
その② ストレスがあることを自覚する
2つ目の予防方法はストレスがあることを自覚するです。
介護を行えば、ストレスを感じるのは自然なことです。
身体的・精神的な疲労がたまるだけでなく、自分の貴重な時間が減ってしまうという側面が介護にはあります。
特に理由がなくイライラしてしまうときには、介護に由来するストレスが溜まっているかもしれません。
ストレスがあることを自覚するとともに、そのストレスをどのように解消したらよいか、具体的な対策方法を検討することをおすすめします。
その③ 相談できる人をつくる
3つ目の予防方法は相談できる人を作ることです。
配偶者や兄弟姉妹へ相談できないのであれば、公的サービスへ相談するのも選択肢の1つです。
地域包括支援センターや、市区町村の介護保険担当課がそれにあたります。
地域包括支援センターは、地域に住んでいる高齢者の生活をサポートするために設置された施設であり、介護に関する相談窓口でもあるのです。
その④ 介護保険サービスを積極的に活用する
さいごの予防方法は介護保険サービスの積極的な活用です。
そもそも介護保険制度は、社会全体で介護を行うために作られた制度です。
核家族化や高齢化といった社会情勢を背景として、介護保険制度が制定されました。
介護保険サービスには日帰りで施設に通うデイサービスや、一定期間施設に宿泊するショートステイなどがあります。
介護保険サービスを効果的に活用し、介護者が休まる時間の確保を行いたいところです。
「介護うつかも?」と思ったら
さいごに介護うつではないかと思ったら、どのように対応したらよいか解説していきます。
介護うつは症状が悪化すると、回復に長い時間が必要になるケースが見られます。
そのため少しでも介護うつの兆候が見られた際には、相談・通院を行いましょう。
自分(介護をする人)のかかりつけ医に相談する
1つ目の対応方法は自分(介護をする人)のかかりつけ医に相談するです。
かかりつけ医があるのであれば、まずはそちらの医療機関へ相談するのも選択肢の1つとなっています。
介護うつが疑われる場合、後の項目で紹介する精神科や診療内科が適切です。
そのため医療機関によっては、他の病院を紹介される可能性があることを、頭の片隅に置いておきましょう。
心療内科や精神科に行ってみる
2つ目の対応方法は、診療内科や精神科に行ってみるです。
これらの診療科を受診するのに抵抗感を感じる方もいるため、そのような場合では介護者ではなく、周りの家族が病院へ問い合わせを行うことをおすすめします。
まとめ
介護うつの症状や予防方法、介護うつになってしまったときの対応法を解説してきました。
介護うつについて、理解を深められたのではないでしょうか。
介護うつってどんな病気?予防する方法や罹患後の対応は?をまとめると
- 介護うつの症状には食欲不振や寝不足、慢性的な疲れが挙げられる。これらの症状以外にも、気分が落ちつかないや憂鬱であることも、介護うつの症状である
- ストレスを一人で抱え込むことなく、適度に発散しながら介護を続けるようにするとよい。また介護保険サービスを効果的に活用し、介護うつの予防を行うとよい
- 介護うつではないかと感じたら、かかりつけ医や心療内科、精神科へ、可能な限り早い段階で相談することを強くおすすめする
ということがあります。
ある日突然、身近な人に介護が必要になるかもしれません。
そしてこのことは誰しも、介護うつになる可能性があることを指し示しています。
介護うつを患ってしまわぬよう、今回解説した予防方法を行うようにしましょう。