介護サービスは在宅介護・施設介護の2種類に大別されます。
両介護は共にメリット・デメリットが存在し、すべての人に最適な介護サービスは存在しません。
介護サービスの特徴を確認しつつ、要介護者・介護者に適したサービスを選ぶ必要があります。
今回は介護とは何かや在宅・施設介護の違いなどを解説していきます。
在宅・施設介護について、興味がある方は参考になさってください。
そもそも介護ってなに?法的な定義は?
まずは介護とは何かというところから、解説をはじめていきます。
介護保険法では、要介護状態を以下のように定義づけています。
この法律において「要介護状態」とは、身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(以下「要介護状態区分」という。)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。
【参考サイト:e-GOV 介護保険法 第7条】
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409AC0000000123
介護保険法において、要介護状態については定期付けされているものの、介護そのものについての定義づけはされていません。
しかし要介護状態の定義より、要介護状態に該当する者に対し、生活を送るうえで必要なケアを行うのが、介護であると読み解くことが可能です。
生活を送るうえで必要なケアは個人差があるため、利用者に寄り添った介護を行うように心がけたいところです。
現在の介護サービスの根幹をなす介護保険法ですが、2000年4月から同法が施行されて、20年以上の時が流れました。
介護保険制度が出来た経緯は、介護を取り巻く環境が大いに変化したためとされています。
どのような経緯で介護保険制度が制定されたのか、確認していきましょう。
昔の介護と今の介護
介護保険制度が制定される以前は、老人福祉法や老人医療法が介護の分野を支えていました。
老人福祉法・老人医療法下の介護では、時が経つに連れて多くの問題点が浮き彫りになっていきました。
利用者がサービスを選べないことや、中高所得層にとって利用料が負担となること、介護を理由とした一般病棟での長期入院などが、旧来の介護制度における問題点として挙げられます。
また高齢化の進行や要介護者の増加、介護期間が長期化するなどの背景によって、従来の制度では対応に限界が見え始めていました。
そこで社会全体で、高齢者の介護を支えていく仕組みが考案され、介護保険法の制定へとつながったのです。
介護保険法では利用者がサービスの選択を行え、生活上の世話に留まらず、高齢者の自立を支援するということが理念として据えられています。
【参考サイト:厚生労働省老健局 日本の介護保険制度について】
https://www.mhlw.go.jp/english/policy/care-welfare/care-welfare-elderly/dl/ltcisj_j.pdf
以上が介護とは何か、介護サービスをめぐる過去・現在についてです。
次の項目からは具体的な介護サービスの内容について、解説していきます。
介護保険制度の制定における介護
介護保険制度が制定されたことにより、自由にサービスを選べるようになりました。
介護の方針によって適したサービスは変化し、介護サービスは在宅介護・施設介護の2種類に大別されます。
その① 在宅介護
在宅介護とは家にいながら、介護サービスを利用しつつ、生活を送っていくことを指し示す言葉です。
在宅介護を行う上で利用が予想される、介護サービスの代表例をご紹介していきます。
【在宅介護向け 介護サービス一覧】
上表には記載していない、在宅介護向けのサービスも存在します。
その他の在宅介護向けサービスについて気になる方は、担当ケアマネージャーへ確認するとよいでしょう。
リハビリを中心としたサービスを希望している方や、家に手すりを付けたいなど、サービスを利用するにあたって、どのようなことを希望しているかをケアマネへ伝えることをおすすめします。
その② 施設介護
つづいて解説するのは、施設介護についてです。
老人ホームに代表される施設へと生活の場を移し、介護サービスの提供を受けます。
施設介護向けのサービスは以下の通りです。
【施設介護向け 介護サービス一覧】
以上が在宅介護・施設介護の概要についてです。
次の項目からは両介護のメリット・デメリットを解説していきます。
在宅介護のメリット・デメリット
在宅介護のメリット・デメリットから紹介していきます。
施設入所には長い待機期間が予想されるため、原則的には在宅介護を利用しつつ、施設介護の開始を待つ形になるでしょう。
その① メリット
在宅介護のメリットは住み慣れた場所を生活拠点にできることです。
また顔見知りの近隣住民とコミュニケーションを行えるのも、メリットの1つとして挙げられます。
さらに経済的な側面においても、在宅介護の恩恵を受けられます。
原則的に在宅介護より施設介護の方が、介護サービスにかかる費用が割高になるためです。
その② デメリット
在宅介護のデメリットは家族の負担が大きくなることです。
特に認知症を患っているケースでは、昼夜逆転や暴言暴行などによって、より介護者の心身の疲労が蓄積されていく傾向にあります。
介護サービスを効果的に活用しながら、介護疲れが溜まるのを防ぎつつ、日常生活を送りましょう。
施設介護のメリット・デメリット
さいごに解説するのは施設介護のメリット・デメリットについてです。
その① メリット
施設介護のメリットは家族の負担軽減が期待できることです。
在宅介護を行う上で家族が行うケアを、施設スタッフが代わりに行い、家族は仕事や家事などに時間を費やせるようになるでしょう。
また施設には介護スタッフだけでなく、医療スタッフも働いており、要介護者の健康上のサポートを受けることも可能となっています。
その② デメリット
施設介護のデメリットは経済的な負担が大きくなることです。
利用する施設にもよりますが、介護サービスにかかる費用が増加する可能性があります。
またある程度集団生活になじむ必要があり、個人主義の人にとっては大きなストレスとなることが懸念されるのも、デメリットの1つとして挙げられます。
まとめ
介護とは何かや在宅介護・施設介護の概要、両介護のメリット・デメリットを解説してきました。
在宅介護や施設介護について、理解を深められたのではないでしょうか。
介護とは何か?在宅介護と施設介護の違いはをまとめると
- 介護とは要介護状態にある方に対し、生活を送るうえで必要な支援を行うことである
- 在宅介護とは自宅で生活しつつ、介護サービスを受けることである。また施設介護は生活の場を施設へ移し、介護サービスの提供を受けることを指す
- 在宅介護は住み慣れた場所で、生活を送ることができる一方で、家族の負担が大きくなる恐れがある。施設介護は家族の介護負担軽減が期待できるが、介護費用の増加が懸念される。
ということがあります。
在宅介護・施設介護にはメリットとデメリットが存在します。
要介護者と介護者が共に安心して日常生活を送れるよう、介護サービスの特徴を確認し、適切なサービスの利用を心がけましょう。