要介護状態に至らないための対策として、介護予防は効果的な手法の1つとなっています。
健康で充実した毎日を送るためにも、日頃から介護予防を心がけたいところです。
今回は介護予防とは何かや、総合事業サービスについて解説していきます。
介護予防について、興味がある方は参考になさってください。
介護予防ってなんだろう?
介護予防とは、要介護状態に至らないための対策を指す言葉です。
介護予防の具体例を紹介する前に、まずは介護が必要になる原因から確認してきましょう。
その① 介護が必要になる原因
介護が必要になる原因は、1つだけではありません。
年を重ねたことによって引き起こされた衰弱や、心疾患・脳疾患などの病気、骨折をはじめとした外傷などが、介護が必要となる原因として挙げられます。
また認知症を発症したことにより、介護が必要になったというケースも見られます。
これらのことが総合的に影響し、心身の状態が悪化することにより、要介護状態に陥ってしまうのです。
内閣府が令和3年度に発表した高齢社会白書によると、65歳以上の方を対象とした調査では、要介護状態になった要因のうち、最も多いのは認知症でした。
次いで脳血管疾患、高齢による衰弱が要介護状態になった主な原因として挙げられます。
【参考サイト:内閣府 令和3年度高齢社会白書(全体版) 2 健康・福祉】
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/html/zenbun/s1_2_2.html
若いうちであればちょっとしたケガで済んだことも、年を重ねると生活の質(QOL)の低下をまねく要因となりかねません。
次の項目で紹介する、介護が必要になる前にできることを参考にし、介護予防に気を配りつつ日常生活を送りたいところです。
その② 介護が必要になる前にできること
介護が必要になる前にできることの、代表例をいくつか紹介します。
【介護が必要となる前にできること】
- 散歩をはじめとした歩く機会を増やす
- ゴルフや水泳などの、自分のペースで楽しめる運動をする
- たんぱく質やカルシウム、ビタミンD・Kなどの栄養が含まれた食事を摂る
- 人付き合いの機会の増加や読書、日記をつけること
介護が必要になる前にできることは運動や食事、余暇活動など多岐に渡ります。
そもそも人の筋肉の質、量、そして骨の強度は年を重ねるごとに低下していきます。
さらに栄養状態が悪化すれば、骨が弱くなり筋肉が少なくなるため、転倒による骨折の危険性が上昇してしまうのです。
全身に負担がかかるような運動ではなくとも、日常生活の中に体を動かす習慣を設けることにより、筋肉の増加や骨の強度向上が期待できます。
また食事も上記に挙げた栄養を含む、食品をバランスよく摂るように心がけましょう。
人付き合いの増加や読書、日記をつけることなどは、認知症の予防が期待できます。
介護予防の一環として運動や食事とあわせて、余暇活動への取り組みも無理のない範囲で行いたいところです。
介護予防と大きく関係する『総合事業サービス』ってなに?
介護予防を行っていく上で欠かせないのが、総合事業サービスです。
総合事業サービスは介護予防・日常生活支援総合事業と、介護保険制度において位置付けられています。
総合事業サービスは安心して日常生活が送れるよう、地域全体で高齢者をサポートし、必要な支援を行うことを目的としています。
はじめに総合事業サービスの概要について確認していきましょう。
その① 総合事業サービスの内容と種類
総合事業サービスは一般介護予防事業と、介護予防・生活支援サービス事業に大別されます。
一般介護予防事業は65歳以上の高齢者であれば、要支援認定の有無、心身状況にかかわらず利用することが可能です。
介護保険制度と異なり、市区町村が主体となり事業が展開されています。
体操教室や機能向上を目的としたセミナー、介護予防に関わる教室などがそれに当たります。
地域によって行われている、一般介護予防事業の内容・利用料金に違いがあるのが特徴的です。
具体的な内容について気になる場合には、市区町村の役場にて確認するとよいでしょう。
介護予防・生活支援サービス事業については、次の項目から詳しく解説していくので、そちらを参考になさってください。
その② 介護予防・生活支援サービス事業の対象者
つづいて介護予防・生活支援サービスについて、解説していきます。
はじめに当該事業の対象者に関して、確認していきましょう。
介護予防・生活支援サービス事業の対象者は以下の通りです。
【介護予防・生活支援サービス事業 対象者】
- 要支援1・2
- 基本チェックリストにて該当になった者
対象者1は要介護認定において、要支援1または2の認定が下りた者です。
対象者2の判断に使用される基本チェックリストとは、自身で生活機能が低下しているかどうかを判断できるツールとなっています。
25項目からなり、専門知識を有していなくとも、どのようなサービスが必要なのかを確認することが可能です。
確認事項にはバスや電車で一人で外出できるかや、昨年と比較し外出の機会が減少しているかなどとなっています。
市区町村の役場等で基本チェックリストによる判断を受けられます。
介護予防・生活支援サービスの対象者かどうか確認を希望する方は、市区町村の介護保険担当課へ相談するとよいでしょう。
なお基本チェックリストによって、事業の対象者であると判断されたあとでも、要介護認定を申請できます。
基本チェックにて、介護予防・生活支援サービスを利用できるのか確認したのち、要介護認定の申請を行うのも選択肢の一つです。
その③ 介護予防・生活支援サービス事業の内容
介護予防・生活支援サービスの内容は4種類です。
1つ目は訪問型サービスです。
自宅にホームヘルパーが来訪し、家事をはじめとした日常生活上で必要となる支援を行います。
提供されるサービスは食事の用意や、部屋の清掃などです。
利用者の状態やサービス事業所、地域によって、具体的なサービスの内容は異なります。
なお入浴や排せつなどの介助が必要である場合、介護事業者でなければ対応できません。
これらの介助を利用できるのは、要支援認定を受けた方のみとなるので注意しましょう。
2つ目は通所型サービスです。
施設へ日帰りでおもむき、食事や入浴などの支援を受けられます。
前述の通り、入浴をはじめとしたサービスの提供には介護従事者が必要となります。
そのため介護スタッフがいない事業所では、食事・入浴の代わりに機能訓練・レクリエーションが行われます。
3つ目はその他の生活支援サービスです。
その他の生活支援サービスとして、配食サービスや見守りサービスなどが挙げられます。
配食サービスは食事の用意が難しい者に対して、栄養改善を目的として行われ、見守りサービスは地域のボランティア等が実施します。
そしてさいごは介護予防ケアマネジメントです。
介護予防ケアプランの作成を、地域包括支援センターが行います。
利用者の状態に適したサービスの提供を目的とし、当該ケアプランが作成されます。
その④ サービスの類型について
さいごの項目では、サービスがどのような分類で定められているかを解説していきます。
前の項目で解説した訪問型・通所型サービスには、サービスの類型(分類)が存在します。
これは利用者が日常生活を送る上で発生するニーズにあわせて、市区町村が多様なサービスを提供できるように、参考材料として厚生労働省より示されました。
はじめに解説するのは訪問型サービスの類型です。
訪問型サービスの類型は以下の通りとなっています。
【訪問型サービス 類型】
※参考サイトを基に、筆者が表を作成
【参考サイト:厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方、サービスの類型 ①訪問型サービス】
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000192996.pdf
つづいて解説するのは通所型の類型です。
通所型サービスの類型は次の通りとなっています。
【通所型サービス 類型】
※参考サイトを基に、筆者が表を作成
【参考サイト:厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方、サービスの類型 ②通所型サービス】
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000192996.pdf
まとめ
介護予防とは何かや総合事業サービスの内容・種類を解説してきました。
介護予防について、理解を深められたのではないでしょうか。
【初心者・子供向け】介護予防についてわかりやすく解説!をまとめると
- 要介護状態にならないための対策が介護予防である。運動習慣や食事内容などが、介護予防を行う上で重要なポイントである
- 総合事業サービスは高齢者が安心して日常生活が送れるよう、社会全体でサポートしていく仕組みを指す言葉である
- 総合事業サービスは、65歳以上であれば利用可能な一般介護予防事業と、所定の要件を満たした方のみ利用できる、介護予防・生活支援サービスに大別される
ということがあります。
要介護状態になってしまうと、満足に体を動かせなくなってしまい、生活の質(QOL)が低下する恐れがあります。
日頃から介護予防を心がけ、ハリのある毎日を送るようにしましょう。