笑うことによって、心身状態を向上させる効果が期待できることをご存じでしょうか。
楽しいことや、おもしろい出来事に遭遇したときに人は笑います。
しかしそのような出来事がなくとも、意図的に笑うことによって、笑いによる恩恵を得ることができます。
今回は介護予防の取り組みとして、笑いヨガにスポットをあてて解説していきます。
笑うことによって得られる心身状態の向上や、笑いヨガに関して興味がある方は参考になさってください。
笑いが高齢者にもたらす効果
笑いヨガの解説に移る前に、笑いが高齢者にもたらす効果について確認していきましょう。
笑いには呼吸機能の改善や血圧の低下、気分・感情の高揚が期待できます。
大笑いするには大きく呼吸を行う必要があり、その結果呼吸に用いられる筋肉を動かすことが求められます。
継続的に笑っていると呼吸に必要な筋肉の動きが促され、呼吸機能の改善につながるのです。
また血管が膨張することによって得られる血圧の低下も、笑いが高齢者にもたらす効果の一つとして挙げられます。
特に年を重ねると動脈が硬化し、血管の縮む力が弱まってしまいます。
結果的に高血圧や動脈硬化が引き起こされてしまうのです。
身体的な恩恵だけでなく、笑いにはメンタル面においても良い効果があるとされています。
笑いは気分転換が行え、前向な意見を持つ高齢者の増加が確認されたという報告があります。
さらにはうつ症状の改善にとどまらず、認知機能の低下防止も期待できるのです。
ほぼ毎日笑う人とほとんど笑わない人では、後者の方が1年経過したのちの、認知機能の大きな低下が確認されたという、調査結果を大阪府立健康科学センターが発表しました。
【参考サイト:健康長寿ネット 笑いの健康効果】
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/warai-kenko/waraitokenko.html
以上が笑いが高齢者にもたらす効果になります。
日頃から笑うことを意識し、心身を健康に保ちたいところです。
次の項目では笑いヨガについて解説していきます。
笑いヨガについて
笑いの体操とヨガの呼吸法を組み合わせたのが、笑いヨガであり、ラフターヨガとも呼称されています。
介護予防の一つとして、笑いヨガがどのような効果をもたらすか、確認していきましょう。
その① 笑いヨガという健康法
笑いヨガの考案者は、インドのムンバイの医師マダン・カタリアです。
彼は笑うことによって得られる健康効果は明らかになっているものの、なぜ都会に住む人々は笑っていないのかと疑問に感じていました。
人々が笑っていないのは笑う場所がないからだと想い、笑いクラブを開設しました。
クラブの開設当初は愉快な話の披露を中心に行っていましたが、言葉を用いた笑いに限界が見え始めていたのです。
そこでストレッチ・掛け声と組み合わせてクラブの運営を行うと、人々に受け入れられて、インド中に広まっていきました。
その後インドを超え、ヨーロッパやアメリカ、メキシコに広まり、世界100カ国以上で笑いヨガが行われるようになったのです。
笑いヨガはお金や道具も必要とせず、また笑いは言語が異なる人々の間でも通用するコミュニケーション方法だったため、多くの国に広まることとなりました。
【参考サイト:日本笑いヨガ協会 笑いヨガとは】
https://www.waraiyoga.org/warai-yoga
前の項目で紹介したように、笑うことによって様々な効果を得られます。
しかし人は笑いを誘発する言葉や行動がないと、自発的に笑うことはできません。
そこで体操に笑いを組み込むことにより、自発的に笑うのと同じ生理的な変化が起き、笑いの健康効果が期待できるのです。
笑いヨガクラブは全国に点在するため、気になる方は笑いヨガクラブの見学におもむくとよいでしょう。
その② 笑いヨガを実施してくれる人
笑いヨガを実施するのは、笑いヨガリーダーやヨガティーチャー、認定講師です。
日本笑いヨガ協会では、笑いヨガについて学べる2つの認定プログラムが開かれています。
1つ目は笑いヨガリーダー養成講座です。
2日間で笑いヨガに関する知識を習得でき、笑いヨガの歴史・理念や高齢者の笑いヨガなどの、プログラムが用意されています。
2つ目は笑いヨガティーチャー養成講座です。
こちらの講座は、前述の笑いヨガリーダー講座を受講した方を対象としています。
通常は5日間の合宿で講座が行われ、笑いヨガについて集中した学習を行うのが特徴的です。
【参考サイト:日本笑いヨガ協会 ”笑いヨガ”の2つの認定プログラム】
https://www.waraiyoga.org/learn
日本ヨガ協会以外にも、笑いヨガの講師の養成を行っている機関も存在します。
また講座の実施形態は対面だけでなく、オンラインも存在します。
近隣の地域で笑いヨガの養成講座が開催されていないときには、オンライン講座を受講するのも選択肢の一つです。
今回紹介した講座以外については、「笑いヨガ 資格」等のキーワードで検索を行えば、見つけることができるでしょう。
その③ 笑いヨガの効果を事例で紹介
つづいて笑いヨガの効果を実例で紹介していきます。
笑いヨガの効果として、はじめに紹介するのは身体的効果です。
笑いヨガを行う前後で脈拍や呼吸数の減少、酸素飽和度の上昇などの効果が確認されました。
笑うことにより大きく息を吸い、吐く動作が行われ、結果的に体内の酸素量が増加し、副交感神経が優位に働きはじめたことが要因として考えられます。
副交感神経が優位になると、脈拍・呼吸がゆるやかになります。
心理的な効果として、楽しい気分になるや体が軽くなるなどの声が聞かれました。
これも副交感神経が優位になったことによって、セロトニンの分泌が増加し、ストレスが軽減されたためと予想されます。
【参考サイト:健康長寿ネット ラフターヨガ(笑いヨガ)】
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/warai-kenko/laughteryoga.html
以上が笑いヨガの概要や実施してくれる人、その効果についてです。
さいごに笑いヨガのやり方の一例を紹介していきます。
笑いヨガのやり方
笑いヨガのやり方ですが、まずは笑顔をつくります。
無理のない範囲で、作り笑顔でも問題ありません。
理由がなく、笑顔を作ることが重要なポイントです。
笑顔を作ったら腹式呼吸を行い、ハッハッハッと声に出し笑いましょう。
腹式呼吸を行うことにより、横隔膜が上下に動き、酸素を多く取り入れられます。
慣れていない方には難しいかもしれませんが、腹式呼吸を行いつつ、笑いヨガを行いたいところです。
【参考サイト:お笑い好きな20代男子が送るOWALIFE! 笑いヨガとは?やり方や方法は?教室に通う生徒に効果あり?】
https://owalife01.com/waraiyoga-yarikata
上記のやり方は笑いヨガの一例です。
笑いヨガの本格的なやり方は笑いヨガクラブにて、習得することができます。
今回紹介した、笑いヨガのやり方と異なる方法を身に着けたい方は、当該クラブへの参加を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
笑いが高齢者にもたらす効果や笑いヨガ、笑いヨガのやり方を解説してきました。
介護予防として行う笑いについて、理解を深められたのではないでしょうか。
笑う事が介護予防の第一歩!『笑いヨガ』をご紹介!をまとめると
- 呼吸機能の改善や血圧の低下、気分・感情の高揚が、笑いが高齢者にもたらす効果として挙げられる
- ストレッチと掛け声を組み合わせて考案された笑いヨガは、笑いヨガリーダーや笑いヨガティーチャーなどが講座を実施している
- 笑顔を作り、腹式呼吸を行いながら、声を出して笑うことが笑いヨガのやり方の一例である
ということがあります。
高齢者でなくとも、日頃から笑うことが少ないと気分が落ち込み、健康上でも悪影響が発生する可能性があります。
無理のない範囲で笑いヨガを効果的に活用し、介護予防を行いたいところです。
要介護者だけでなく、介護者や家族が笑顔に満ち溢れた日常生活が送れるよう、介護を行っていきましょう。