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特別養護老人ホームで受けられる医療行為とは?病院との違いとは?

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特別養護老人ホームで受けられる医療行為とは?病院との違いとは?

特別養護老人ホームは、終身にわたって入居が可能です。

また、要介護状態が上がって寝たきり状態となっても退去せず過ごすことができます。

そのため、どんな身体状況になっても安心して入居を継続できると考えられている方が多いようです。

しかし、医療行為となれば話は別です。医師や看護師の人員配置規定はありますが、万能ではありません。

また、病院とは違って医療行為のなかでも施設のなかで出来るものと出来ないものがあります。一旦入居してしまえばもうどうなっても安心、というわけでは決してないのです。

そこで今回は、特別養護老人ホームにおける医療行為への対応や位置づけについて解説していきます。

そもそも、医療行為とは?

そもそも、医療行為とは?

医療行為とは、人の疾病の治療や診断または予防のために、医学に基づいて行われる行為のことを指します。

一般的には「医行為」という言葉と同じ意味で用いられます。

医師法によれば、医師及び医師の指示を受けた看護師・助産師などの医療従事者のみが行うことが認められている治療や処置のことを指しています。

医学的な技術や判断がなければ人体に危害を及ぼす危険がある行為の総称とも解釈されています。

(引用:コトバンク https://kotobank.jp/word/%E5%8C%BB%E7%99%82%E8%A1%8C%E7%82%BA-436496

逆の視点で言えば、切開や縫合、エックス線の照射、薬剤の投与などは他者の身体に傷を付けたり体内に接触し外的科学的干渉をする行為であり、病気や怪我の治療や予防、生命の継続を図る行為などの正当な根拠がなければ傷害や暴行ともとらえられかねないものです。

つまり、これらの行為を業務として他者に対し実施することが医療行為なのです。

医療行為は、その内容が1から10まで法律で規定されているわけではありません。

様々な人体に対する医学的行為の中でも業務として行う行為の総称を医療行為としてくくっています。

例えば与薬に関して言えば、介護職員や看護職員がその業務の一環として行うものが医療行為であり、制限がかかります。

これに対し、要介護者に対しその家族が行う場合は、法律的には医療行為とは位置づけられません。そのため、よく「ご家族であれば(医療行為を)やってもよい」と説明されるわけです。

医師が行う行為が医療行為とみなされるためには、下記の3条件を満たす必要があります。

  • 治療を目的としていること
  • 承認された方法で行われていること
  • 患者本人の承諾があること

ただし、下記についてはこれらの条件を満たさない例外的医療行為と位置付けられています。

  • 輸血用血液の採決(献血)
  • 実験的治療行為(治験)
  • 先端医療
  • 幼児、精神障がい者、意識不明者など患者本人の承諾がとれないとき
  • 緊急時の医療(心肺蘇生など)

特別養護老人ホームで受けられる医療行為の例

特別養護老人ホームで受けられる医療行為の例

では、特別養護老人ホームにおける医療行為について具体的に考えていきましょう。

その施設の人員配置や都道府県への届出状況によって多少の差異がありますが、基本的には介護員ができる医療行為については法律や厚生労働省の解釈通知等によって具体的に規定されています。

また、医療行為に類する行為の中でも医療行為には含まれない旨が発出されているものもありますので、合わせて紹介していきます。

医療行為には類するが医療行為ではないとされている行為

  • 服薬介助(一包化され、事前に看護師や家族が用意しておいたものに限る)
  • 軟膏塗布(褥瘡の処置に関するものは除く)
  • 湿布の貼り付け
  • 目薬をさす
  • 坐薬を挿入する(坐薬を準備する行為は除く)
  • 軽い切り傷や擦り傷の処置(絆創膏を貼る程度の行為)
  • 体温計での体温測定
  • 自動血圧測定器での血圧測定(水銀血圧計はNG)
  • パルスオキシメーター(血中酸素濃度測定器)の装着
  • 鼻腔粘膜への薬剤噴射の介助

これらの行為は、もともと医療行為とされていたものやグレーゾーンだった行為ですが、厚生労働省から“医療行為ではない”と通達された行為です。

介護職員ができる医療行為

  • 耳垢を取り除く
  • 爪切りや爪に爪やすりをかける行為(白癬爪や巻き爪など異常がある爪はNG)
  • 歯ブラシや綿棒による口腔ケア(歯・舌・口腔粘膜)
  • ストーマ(人工肛門)のパウチに溜まった排泄物の除去
  • 専門的な管理を必要としないストーマの装具交換
  • 自己導尿の補助、カテーテルの準備、体位保持
  • 導尿カテーテルに繋がっているバッグに溜まった尿の廃棄
  • 市販の浣腸器による浣腸

上記のような行為は、法律上は医療行為ですが介護職が行ってもよいとされている行為です。

「認定特定行為業務従事者」として認定を受けた者ができる医療行為

  • 喀痰吸引(医師の指示の元、定期的に痰を取り除く)
  • 経管栄養(体外から管を通して栄養や水分を摂取する)

これらの行為は、「登録喀痰吸引等事業者」として都道府県に登録している事業所に所属している“喀痰吸引等研修”や“介護福祉士実務者研修”を修了した者が、県に「認定特定行為業務従事者」として登録した場合に実施することができます。

この条件があるので、特別養護老人ホームでも全ての施設で介護職員が喀痰吸引等をできるわけではありません。

看護師であればこの施設としての登録がなくても喀痰吸引等を実施することはできますが、設備や使用する器具の問題や、夜間は看護師が施設内にいないなどの状況により対応が限定的になってしまう場合も少なくありません。

施設によってはこれらの行為が必要な場合は受け入れできないと判断する特別養護老人ホームもあります。

特別養護老人ホームでの医療看護体制について

  • 日常的な健康管理
  • 日常的な健康管理は、介護員と看護師が連携して行われます。

    介護員の日ごろのかかわりの中で特変があった場合に看護師に連絡し、それを受けて看護師が状態を確認し対応する場合が多いです。

    必要に応じて看護師が嘱託医に連絡し、対応の指示を求める流れになります。

  • 日常的な受診
  • 特別な受診の場合は通院する形になりますが、定時薬の処方や風邪程度の対応であれば、週2回程度の往診や電話相談での薬剤処方で済ませる場合が多いです。

    今までの主治医がある場合も、入居した時点で特別養護老人ホームの嘱託医が主治医となります。

  • 服薬管理
  • 看護師がセットした薬を介護員が服薬介助するのが基本になります。

    1日3食の経口投与される薬は介護員が、経管栄養の入居者の服薬については看護師が対応している場合が多いようです。

    例えば「寝る前」と処方される薬についても複数の入居者への対応がしやすいよう、一律な時間でまとめて服薬介助に回る形をとっている施設が多いです。

  • 施設と協力医療機関との連携体制について
  • 施設に回診に来て健康状態を把握する「嘱託医」が中心になります。

    入院や手術、胃瘻の交換などが必要な時に連携するのが「協力病院」とされ事前に決まっています。

    何かあって専門的な病院での治療が必要になった場合は、しかるべき医療機関に紹介するという形をとっています。

    これらの医療連携は、看護師を中心にして行われます。

  • 緊急時対応
  • まずは嘱託医に連絡し、医師からの指示を仰ぎます。

    医師と連絡が取れない場合や命にかかわるような急変状態となっている場合は救急搬送の手続きをとります。

    看取り期に入っている方の呼吸が確認できなくなったときは、救急搬送せず嘱託医から死亡診断をしてもらいます。

特別養護老人ホームで受けるのが難しい医療行為

特別養護老人ホームで受けるのが難しい医療行為

特別養護老人ホームは医療機関ではありません。

人員配置上、医師はいますが嘱託医の体制をとっていることが多いため、常駐どころかとっさのときに連絡がつかない場合もあります。

また、高度な医療的ケアを日常的に必要としている方については受け入れを断る場合もあります。

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どのような場合に病院での治療が必要になるのか?

どのような場合に病院での治療が必要になるのか?

嘱託医の往診では診断が困難な場合や、急変状態、レントゲンなどの機材が必要な検査が必要になった際などは受診が必要になります。

通院治療には意思決定を必要とする場合が多いため、家族の同行を求める場合もあります。

想定外な治療行為が必要となり、病院側から同意を求められたとしても施設職員が責任を負うことはできないため、家族の到着を待つことになりますので、連携を図ることが非常に重要になります。

まとめ

まとめ

特別養護老人ホームは、医療機関ではなく、日常生活の延長線上にある“生活の場”です。

比較的体調が安定している方に対する日常的な医療的ケアであれば対応は可能ですが、急変時や専門的な医療行為が必要となる場合は対応が難しくなります。

また、施設によって人員配置に差があります。

例えば同じ特別養護老人ホームでも、人員配置や届出体制が整っていれば介護職員による昼夜問わない痰吸引が可能ですが、逆に登録していない施設であれば日中の看護師がいる時間しか対応できないということもあります。

入居前の情報収集と、継続的な医療行為が必要となった際の対応について施設とよく話し合って、以降の対応を検討していくということが大切になりますね。

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